私たちは沢山のストーリーに支えられている | チエでつながる, ワザでつながる、ココロでつながる、価値を生みだす           ~ 物語思考が世界をかえる

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この世に生まれて間もなく、人は「ものがたり」と出会い、そこで広い世界とのつながりを作ります。このblogでは、「ものがたり」と共にある人の可能性を探求していきます。

 

『急がば回れ』、『失敗は成功の基』、

『驕る平家は久しからず』、…

 

日本には多くの諺がありますが、

実際に色々な場面で、

私たちはしばしばこれらの言葉を思い出して、

判断の基準にしたり、

気を引き締めたりと、

結構お世話になっています。

 

これらの諺が、

いつ、どんな形で語られ始めたかは、

今日知る由もありませんが、

 

間違いなく言えるのは、

これらが人々の膨大な実体験を基とした

裏づけの確かな経験則であることです。

 

諺はリアルストーリーが法則化された

知恵の塊と言ってよいでしょう。

 

私たちはまた、

歴史の事象からも大きな影響を受けています。

 

一介の水飲み百姓から

並外れた機転と才覚で信長(上司)の

信頼を取り付け、

最後は天下を手に入れた秀吉の話は、

この社会で成功者になっていくための

様々なヒントを人々に与えてくれています。

 

犬猿の仲だった薩摩と長州を結び付けて

幕府に対抗できる一大勢力の形成に貢献した

坂本龍馬の見識と行動力に、

新しい時代を切り開く

ヒーローのイメージを持つ日本人は、

少なくないのではないでしょうか。

 

歴史に実在したこれら人々のストーリーは、

時代を超えて強い説得力を持っています。

 

高校生の頃、

5-6人の仲間と友人の家に集まって酒を飲み、

ドンチャン騒ぎをしていたことがバレて

学校から謹慎処分を受けたことがありました。

 

発覚直後に皆で

“ドンチャン騒ぎはやったけど、酒は一切飲んでないことにしよう”

と示し合わせ、私も約束通りしらを切って

教師達からの厳しい追及に耐えていました。

 

ところがどこかから砦が崩されたらしく、

若い教師に

「お前は窓際の席で、水割りを飲んでいたそうじゃないか」

と迫られ、

こりゃあダメだと陥落してしまったのでした。

 

学校から連絡を受けた父親は

「バカだなあ」という顔で何も言わなかったのですが、

その時母の発した言葉には、少なからず驚かされました。

 

母は、

「“飲んでない”と言ったのなら、最後まで通さなきゃ。

 それが大人ってもんよ」

 

自分の言葉に責任を持て、という意味で

そう言ったのだと理解しました。

 

母は教師をやっていたので、高校生が酒を飲むことを

それほど特殊だとは、

捉えていなかったのかもしれません。

 

嘘を良し、と思ってはいないはずですが、

私の芯の弱さを見抜いての、一言だったのだと思います。

 

「それが大人ってもんよ」という一言は、

その後の自分の人生で何度か母の声の響きと共に、

自分の在り方に影響を与えていると感じます。

 

という具合で、

そんなリアルストーリーは勿論、

 

家族、先輩、友人から聞くストーリー、

そして歴史の逸話や諺を合わせると、

私達が日常的に参照しているストーリーは、

おそらく相当膨大な量になると思います。

 

そしてそうであるならば、

参照できるストーリーの「量」と「質」が、

私たちの日常の

働きやすさとか生産性とか他者との関係とかに

少なからず影響していると、考えるべきでしょう。

 

自分がどんなストーリーと共に生きているのか。

 

そこに改めて意識を向けてみることが、

VUCAと呼ばれる今の時代には、

様々な意味で重要になってきていると感じます。