第24回『仕事知』探究セミナー 『直観を鍛える』 | チエでつながる, ワザでつながる、ココロでつながる、価値を生みだす           ~ 物語思考が世界をかえる

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この世に生まれて間もなく、人は「ものがたり」と出会い、そこで広い世界とのつながりを作ります。このblogでは、「ものがたり」と共にある人の可能性を探求していきます。

暫くお休みしていた『仕事知探究セミナー』ですが、

530日(水)に久々開催しました。

 

今回は私たちが普段使っている『直観』がどの様なものなのか、

これをパフォーマンス向上に繋げていくには、

どの様な方法が考えられるのか、

 

共に体験しながら考えてみました。

 

明治の大哲学者である西田幾多郎は、

人間の意識が統一されて

主も客も無くなっている状態を“純粋経験”と表現しました。

 

“純粋経験”の状態にある人は、

「知覚が厳密なる統一と連絡を保ち、

意識が一より他に転ずるも、注意は始終物に向けられ、

 

前の作用が自ら後者を惹起し

その間に思惟を入るべき少しの亀裂もない」

状態なのだと言います。 

 

我々もしばしば経験する“何かに没頭している”状態が、

“純粋経験”に近いのかもしれません。 

 

西田に言わせれば、

この“純粋経験”の状態こそが、

人間が真の実在として“世界”と一体となっている瞬間であり、

 

人間が持つある種“霊的な”力が発揮されうる状態である、

ということの様(難解な西田の本を、私はそう読んでいる、

ということですが)です。

 

今回このセミナーに備えるべく、

比較的最近話題になった以下の著書(いずれも米国で発刊)を

参照してみました。

 

 

1.『ファスト アンド スロー』ダニエル・カーネマン

2.『「洞察力」があらゆる問題を解決する』ゲイリー・クライン

 

2冊は“問題”に対処する際の「視点の置き方」や

「思考を活性化する」方法を豊富に示しており、

問題を解決に導く上で有益なものであることは、

疑いようがないものです。

 

例えばクラインの著書には、

“見えない問題を見抜く方法”として、

 

“出来事のつながり、に着目する方法“、

出来事の偶然の一致に着目する方法“、

”出来事の矛盾に着目する方法“等が

 

事例と共に紹介されていて、

身近な問題を考えていく上で、大いに参考となります。

 

これらが示している方法はいずれも、

起きている事象を観察し、

観察の中に見出せる特性や法則性を取り出して、

未知の領域の解釈に活用していこう、との方向を持っています。

(ただし『ファスト アンド スロー』はヒューマンエラーに

重点を置いています。) 

 

客観的に事態を捉え、何故なぜと、

問いを重ねて本質に辿り着いていこうという、

言ってしまえば“科学的”な姿勢が基盤にあると感じられます。

 

そうした姿勢は勿論外せないし、

大事であることは間違いないのですが、

結局私たちが“直観”といって期待している部分に

応えてくれるかというと、ちょっと違う気がします。

 

間違っているのではなくて、

それだけではまだ足りない、と思えるのです。

 

「木から落ちるリンゴを見て、ニュートンは万有引力を発見した」

という話は、

 

一時“作り話”といわれていたものが、

最近友人の日記が見つかって、

やっぱり本当だったことが分かってきているそうです。 

 

私もそうだろうな、と思います。 

 

その時ニュートンはまさに“純粋経験”の中にあって、

全く別物として認識されていた2つの事柄が

パッとつながる瞬間に出会ったのではないか。

 

ニュートンにとって既知の事柄であった天体同士の相互作用と、

目の前に展開しているリンゴの落下とが、

 

何かの拍子に一気に繋がりあった、

そしてニュートンはそのことの“意味に気づけた”ところが

凄かったのだろうと思うのです。

 

そんな仮説を基に、

今回参加者に体験してもらったワークを通じて得られた

“直観”についての私の解釈は、以下のような感じです。 

 

“直観”は、現実認識が“純粋経験”の中で

一気に化学反応を起こしている状態である。

元にある現実認識の水準が高ければ高いほど、

また、純粋経験の純度(密度)が高ければ高いほど、

“直観”の精度は高まる。 

 

よい直観は地道な現実観察が無いところには

中々働かないのだと思う一方、

観察や合理的な思考だけでは

たどり着けない領域を“突き抜ける”為には、

“純粋経験”という環境(状態)が必要なのだと、

そんな風に思えます。

 

ご参加いただいた皆様、

ワーク終了の後も貴重なご意見を下さり、

私自身の学習も大いに進展しました。 

 

上記の内容は、今回ワークで得られたところから、

思考を一歩進めた状態で書いています。 

有難いことです。

 

改めてお礼申し上げます。