第11回「仕事知」探求セミナーを開いたので、内容の一部を
こちらに紹介したいと思います。
今回のテーマは「職場における学習効率をどう上げる?」でした。
能力的にそう変わらないのに、仕事の中で伸びる人とそうでもない
人がいます。 原因はいくつか考えられますが、仕事の中でおきる
「学習」の差は、ひとつの主な要因と思われます。
冒頭ではまず過去の「学習体験」を共有しあったのですが、
出てきたケースはいずれも“意図した学びではない”ものでした。
学ぼう、と構えてはいなかったところに、学びは生まれていました。
とはいえ、起きていた学びを分解していくと、
「学習」を導く要素は色々現れてきます。
職種や場面は違っても、いくつか共通点があることも分かります。
仕事は人間が意図をもってする、外界への働きかけです。
目的をもって行動し、外界からの反応を受け取り、
結果を評価して次につなげる。
基本的には、どんな仕事もこのサイクルを回しています。
そして、サイクルが正常に回る中に、学習が起きる契機もあります。
結果がうまくいかなかった時は、
目的は妥当だったのか、スキルは十分あったのか、などと、
原因を突き詰めていくことで、修正の道筋も見えてきます。
問題は、このサイクルがうまく回らなくなる阻害要因が結構あるし、
昨今はその種類が増えてきていることです。
自らの仕事の有効なところと不十分なところが顕在化したり、
自分の仕事の意味や意義が意識されていたり、
プロセスを俯瞰して検証したりする中に「学習」が生まれるのですが、
しばしば見えなくなってしまう領域が生まれ、学習が阻まれてしまうのです。
例えば、仕事の結果が聞こえてこない。 納期までに仕上げろと言われて
必死に仕上げたけれど、その後何も教えてもらえない、という話。
また、命じられて書類を作ったが、そもそもの目的や用途について
ちゃんと説明をしてもらえない、という話。
次々にノルマをこなすのに汲々としてしまい、流れをじっくり
振り返る余裕がない、という問題、など。
「学習」が進むということは、実践の知が向上する、ということです。
どうやったらより早く、そして正確にこの業務を進められるのか。
どのような広告が、より沢山のお客を引きつけるのか。
社内のコンセンサスを取り付けるのに、どういう方法が有効なのか。
日々の実践を通じて、世界がどうなっているかを知り、
より有効な形での振舞い方を学んでいくプロセス。
仕事をそう解釈することも可能です。
“世界をどう捉え、そことどう組み合っていくか“
やや大げさな感じですが、
これは自分が世界とどう対峙するか、について、
自分なりの方法論を確立していく歩みと、言えるのだと思います。
そう考えると、結局日々の実践という「学習」を通じて、
私たちは「生き方」を磨いていると、捉えてもいいでしょう。
セミナー後半には、
現在の仕事環境において、「学習」がどれだけ機能しているかを
10項目のリストで確認し、それぞれの背景にあるものを考えてみました。
リストには、
・ 自らの行動を自己決定できているか
・ 自分の行為の結果や反応は自分が受け取れているか
・ モデルや反面教師、相談相手はいるか
・ 行動のサイクルを振り返る機会を持っているか
等が並びます。
これらの項目をみていくと、
仕事に元々備わっている「学習」機能の一部が、
システムに「奪われて」しまっていることに気づいたり、
逆に、無意識のうちに自ら学習機能を停止させていたり、
知らぬ間に学びのチャンスを逸失していたことに気づいたりします。
データベースの便利さにすっかり寄りかかってしまい、
自ら考えなくなっていくケースなどは、この典型です。
無論、中には自分の力で取り戻すことが困難な領域もあります。
設計した部品が海外で生産されていて、それが第3国に売られているような
ケースでは、お客の声を聞くことなど確かに難しいでしょう。
とはいえ、元来仕事が含み持っている「学習」の機能は、
働く当事者が注意を向けることで、かなりの部分回復することが可能です。
「学習」という視点を自己の仕事実践に導入してみることで、
日々の働き方は大いに違ってくるだろうと思います。
とりあえずやれることはかなりありそうだ、と、
改めて確認できたところが、今回セミナーの収穫でした。
ありがとうございました。
【第12回「仕事知」探求セミナーについて】
次回の開催は4月21日(木)です。
テーマは「フィードバックの上手な受け方」です。
詳細は
こくちーず http://kokucheese.com/event/index/384479/
をご確認ください。