手のこと | ALS記

ALS記

2023年2月13日に診断されて、現在進行中。とりあえず仕事は続けています。進行がとても遅い症例のようで、その状況を記録して発信していこうと考えています。

 左利きなため、ALSの症状が真っ先に利き手に来たのが痛かった。職業によっては引退を余儀なくされていただろう。

 

 現在の左手は、人差し指・薬指がまっすぐ伸びないのと、親指は内側なら動きはするものの力が全く入らない状態(外側には動かせない)。興味深いのが、中指はその左右の指とは逆で、放っておくと伸びてしまって内側に曲げづらいということ。

 

 この結果、顔を洗う際に人差し指・薬指が曲がったまま、中指が伸びたままになってしまう。水が面白いように零れるので、右手で水を貯めるようにして何とかこなしている感じ。

 

 一方で、急に存在が注目されているのが右手だが、違和感がとても強いため箸とペンはどんなに不便でも左手に任されている。「右へ」とか「手前へ」とか、ラジコンで操作しているような感じで、とてもじゃないが細かい作業はできなそう。主に重宝されるのは洗濯バサミを握る時とか、重いドアを引く時とかの力仕事くらい。

 

 とはいえ、右利き中心の社会なので徐々に右手の活躍も増えつつある。鉄道の改札機や自販機、ATMの画面も右利き前提で設計されている。ハサミやカッターも右手の方が切れ味がよい。

 

 エスカレーターの手すりを掴む時に、ぐっと握ると力が入って、ずっと力んでいると疲れるのが普通の状態。それが、力が入らずに疲労もしない。そういう感覚なので、指が動いて物を掴んだとしても触れているだけな状態になる。

 

 このように指に力が入らない感覚は、子供の頃を思い出させる。小学校低学年の頃、朝の支度で上着のボタンが留められなくなったことがあって、それに近い。その時は力が全く入らずに、無理に力むと手首から先がくすぐったくなるような独特の感じがしていた。今の脱力感もそれに近くて、妙なくすぐったさを伴っている。


 指の動きも制約されている。握る動作はまだ問題ないものの、伸ばすのと横に動かすのが難しい。横の動きは左の全ての指に及んでいて、これがキーボード入力に影響している。

 

 このほかに、左薬指は勝手に指が動くことがある。緊張して物を持っている時に目立つのだけど、もしかしたら気づかない状態の時にも勝手に動いているのかも。

 

 もう一点追記しておくと、意外と厳しいのが手首の動きだった。左手首は外側に動かす力がほぼない。このため、肘を曲げた状態で重い物を保持するのが難しい。コップで水を飲む時や、縦位置のレバー(車のミッションなど)を上下に動かすのに苦労する。ここは恐らく上腕の外側の筋肉だと思う。この、手首を外に返す動きはキーボード入力にも支障が及んでいる。指を上げてキーから話す動作がうまく行かず、キーに置きっぱなしになりがち。この結果、誤入力が増えている。