雨があがった
長い夜だった
太陽が昇る
世界は輝きを増していく
草木が張りきっている
暖かさが溢れ出す
小鳥は日向ぼっこして並んでる
いつも通りの水曜日
まだ一週間の折り返し
心の温度が少しずつ上がり
ゆっくり世界に溶けていく
雨があがった
長い夜だった
太陽が昇る
世界は輝きを増していく
草木が張りきっている
暖かさが溢れ出す
小鳥は日向ぼっこして並んでる
いつも通りの水曜日
まだ一週間の折り返し
心の温度が少しずつ上がり
ゆっくり世界に溶けていく
夜
私はよく夜に焦る
あれが不安でこれが心配で
未来が怖くて明日になるのが嫌で
眠りにつくことに抵抗したくなる
でも次の日眠いのはよくない
疲れているのもよくない
現に今私はかなり眠い
眠い体とは裏腹に
ジタバタとする心臓を抑えて
アラームを設定する
明日に楽しみは見出せなくても
ちょっとした喜びを考える
明日はスマホの壁紙を何にしようか
帰ったらほうじ茶を飲もうか番茶を飲もうか
どんな音楽を聴きながら移動しようか
好きなポップスかロックか洋楽か
久しぶりにオーケストラかアイドルか
そんなに自分を蔑まないで諦めないで
でもね
下を見て歩くことはわるいことじゃないんだ
こぼれ落ちそうなものに気づけるかも
新しい何かに出会えるかも
どんな好きを拾えるだろう
ほら少しずつわくわくしてきた
明日のことは明日の私に全て任せて
今はゆったり頭を溶かして
まぶたを溶かして
またね、世界。おやすみ、自分。
あなたがほしい
あなたがほしい
失ったあなたが
まだ出会っていないあなたが
か弱いあなたが
頼れるあなたが
私の中であなただけが足りない
一度も埋まったことがない
体の中心に浮いた穴
何かを得るだけ歪な輪郭をあらわにする
中身を持たない黒い塊に代わり
質量を持って周りを押しのける
心臓が圧迫され頭に血が巡らない
愛や恋など甘く柔らかなものでは埋められない
ましてや友情や情熱は蒸発してしまう
瞳の奥に真っ黒に映る
仮初めのものを無理矢理詰め込むと
何倍にもなって痛む
首を絞められたように痛む
心臓を握られたように痛む
頭を押さえられたように痛む
変えられない過去
変えられなかった未来
何にもならないからといって流れない涙
焦点が合わないけど明日もつくる笑顔
伝わらない温もり
伝わらない表情
どうしても伝えられない声
夢を見ている
幸せに包まれる夢を見ている
やさしいあなたの声をただ横で聴ける
ほほえむあなたをもう離さないでいられる
あたたかく残酷な冷たい夢を見ている
また魔物がやってきた
僕の内側にゆっくり這い出てきた
ゆっくりと侵食される感覚は
唐突に大きくなって体が乗っ取られる
まずは手先足先から熱を奪っていく
容赦なく心臓を握り潰そうとする
腹の下側で巣を作っているのか
ぐるぐると黒く重たい渦
上側では胃が圧迫され何度も戻しそうになる
狡猾で意地の悪い魔物
痛めつけられても表に傷は現れない
絶対にとどめは刺さず
生命力や生存意志が少しずつ
喰らわれる
やがて頭は真っ白になり
自分の意識では動かせなくなる
扉に手を添えた
君に会うために
そこに君はいるだろうか
いくつも先に行ってしまった君は
まだそこにいてくれるだろうか
時計の針に耐えられなくて逃げ出した僕を
2人の針を大事に歩み続けようとした決めた君は
どう思っているのだろう
「それはズルいよ」
前に君が目を細めそっと笑って言った
その言葉の意味が分からないまま
さらに道は違えていった
今はわかる
僕はずっと臆病だった
引き出しが増えるほどに
傷つくこと転ぶことが目に見えて
君に歩み寄ることすら怖くなった
この3年
自分を見つめるのに怯えて
君を避け続けたのに
目を閉じ耳をすませば
聞こえてくるのは君の声
僕の内側から鮮明に快活に
陰ることのない記憶
君は僕の真ん中でいつだってあたたかかった
笑顔も泣き顔も
全ての表情を覚えている
怒った時に涙目になるのも
嘘をついたときに斜め上を見るのも
自分の親指を上に手を繋ぎたがるのも
一つ一つ心に刻まれている
眩しくて眩しくて
遠ざけてしまったのに
僕は君から離れられないらしい
扉を開くことをためらってしまう
最悪の予想も見なければ絶対に現実にならない
でも僕は君に会いに来た
これだけは怖がりたくないから
息を止めて扉を開けた途端
風が吹いて
太陽の香りがした
涙はどうしたら流れるんだっけ
自分が動かなくて情けなくて
時間だけは一人また一人と僕を置いていく
追い詰めて責めて責めて責めて…
そうやって首を絞めて絞めて絞めれば
いつか耐えられなくて泣くはずだと
泣ければ前に進めるはずだと
信じていたのに
なんの希望も保証もないのに
そんな愚かなことに縋っていた
涙は一滴も流れず
心が握りつぶされる感覚
もういっそ本当に首を絞めて
少しずつ切りつけて殺したい
そっと存在を消せたら
どれだけ楽になれるだろう
どうにかして消えたい
こんな感情が間違いではないというのなら
解決策を教えてくれ
また全てが手遅れになるまで
爆音を聞き画面に齧り付き
時計を必死に眼から抜いて
声を殺して我をも眼から抜く
気づくいた時には宙に浮いていた
人の背中が見えた
嗚咽を漏らしながら震える背中
いつも元気なくせに一人で泣くのを知っていた
あぁこれは連れられるまでに許された猶予か
胸を抑えた
どうしようもなく痛いのに涙は出ない
きっと
のこされた人の気持ちを知っているからだ
悲しくて切なくて虚しくて苦しくて
でも笑顔でいることを望んでいるはずだと
自分に言い聞かせて前に進まなければと
強引に自分を動かす気持ちを知っているからだ
周りにぼくと同じ者はいない
声を…
声をかけるべきだろうか
きっと届かないだろう
しかしもし届いてしまったら
この子に声が聞こえてしまったら
ぼくを失った悲しみを
思い出させてはしまわないだろうか
何度痛みを覚えても立ち上がれと
教えてきたのはぼくだ
でもできれば辛い思いはしてほしくなかった
前より記憶が朧げになっていた
忘れてしましそうな恐怖が声を届けようとする
落ち着け、落ち着け
もう決して戻らないものがすぐそこに見えた時
それはとても辛いのだ
今までぼくは聖人にはなれなかった
優しさも愛さえも結局自分のためだった
厳しくすることが苦手で
なんとか諭そうと必死だった
寂しい思いをさせてしまっただろう
最後まで甘えてしまいそうになる自分を律した
残されたぼくの愛でこの子を包もう
たまに笑顔で思い出してくれるように
そして
このまま旅に出よう
やがて全て忘れて消えてしまうまで
この世界をまわり拾った愛を各地に撒こう
きっと芽をだしてくれるはずだ
ゆっくりと背中に手を置いた
あたたかな背中をさすりながら
ありがとう
思わず漏れてしまった言葉とぴたりと止まる背中
ぼくはやっぱり聖人にはなれなかった
画面から歌が聞こえる
のどを痛めないのかと思うほどハスキーな声
男性ボーカルなのに音域がとても広い声
ひたすらに甘く渋く愛を語る声
今の世は個性が勝つらしい
秀才の上に個性が立つ
個性を長所とし武器とする時代
無個性な僕には何もない
何もない 空っぽだ
個性が尊重され尊敬され
個性が素晴らしいとされるこの世界に
わたしはなんで何もないのだろう
人の様子を見て
誰かに合わせて
自分の絶対的な意見もない
好きなものはあるけど趣味はなく
どう生きてゆけばいいかもわからない
「君の個性は素晴らしい」
「個性豊かな多様性の時代だ」
「人の個性を大事にしていかなければ」
「個性って素晴らしいんだよ」
個性、こせい、コセイ…
そうか、個性は素晴らしいのか
排除されるべきものではないのはそうだろう
全員に好かれる個性なんてあるわけもないが
全員から嫌われる個性もないはずだ
ただそんな言葉を聞くたびに
頭が痛くなる
無個性で空っぽな自分の内側で
劣等感が跳ね回る
生きていてはいけないのかもしれない
排除されるべきは自分なんじゃないか
おかしくなりそうだ
ベランダに立ち下を見る
飛び降りたら壊れた自分の中から
いったい何がでてくるのだろう
きっと何もでてきやしない
ただそこに壊れた人形があるだけだ
誰かが言った
『無個性も個性だ。胸を張れ。』
と
ふざけるなと思った
簡単に人を救えると思うな
人の気持ちを変えられると思い込んでいる
貴様の愉悦に反吐が出る
だから僕は綴る
無個性の苦と正義を
救える命も感情も何もないけれど
この世で僕に武器になる個性はないけれど
人にあわせて人のために行動し
人を不快にさせずたまに笑顔をつくる
僕らは素晴らしいはずだ
個性が闊歩する時代
それは僕らがいるから成り立つ時代である
生きろ無個性
嘆くな無個性
なんの力にもなれなくても
そう叫ぶ
無個性は目立たないかもしれない
時代は変えられないかもしれない
何も残らないかもしれない
それでも
それでも
僕らは確かにここにいる
喜び悲しみ誰かをいたわり思いやる
僕らは絶対に素晴らしい
チョコを中心に世界が回る
特別な日はあなたのことばかり考える
遠く離れているあなたは何をしているのだろう
きっとこんなふうにチョコと闘っているんだろう
台所に立つライオンのように勇ましく
包丁を持つ怪盗のように不敵な笑みを浮かべて
砕いて溶かすマジシャンのように素早く丁寧に
ゆっくり混ぜる大きな愛もいっぱいに
夜にかかってくるいつもの電話
待ってましたと手に取るスマホ
声を聴いただけであったかくなり
心があなたでゆっくり溶ける
言葉にしなくても想いが届く
その幸せに声が詰まる
でも今日くらいはちゃんと伝えたい
照れてごまかすあなたを想像しながら
ありったけの心を込めて
溢れだした感情を
精一杯まっすぐに。
「お前が主役だ
人生は一度きりで
その物語を綴るのはお前自身
お前が主人公だ」
そんな言葉に惑わされて
上手く生きなきゃと強迫観念
選択肢が見えなくて
あるはずなのに見えなくて
動けなくて
もう動きたくもなくて
返して帰して
僕の人生を僕の本心を
最後はどうせみんな死ぬのだと
どう生きようと死ぬだけだと
傷さえも死ねばなくなると
誰かそう言ってくれ
怖くて怖くて仕方ないんだ
何が正解なんだ
どうしたら誰も傷つけずにいられるのか
自分が関わることで喜んでくれる人たちは
誰もが笑える通過点を
どうやったら通れるのか
愛の哀歌を避けられる術を
愛の在り処を示す風景を
教えてくれ
誰も傷つけなくない
誰の邪魔もしたくない
誰の迷惑にもなりたくない
目を瞑り声を押し殺す僕を
そっと救ってくれ
「お前は脇役だ
精一杯生きている人間の
足元に転がっている石ころ
お前はエキストラだ」
その言葉だけが欲しかった