もう 朝は来ない


私が望んでいた朝が沈んでいく


地平線を目指し海を彷徨い


この手で迎えに行こうと決めた朝が


顔も出さずに沈んでいく


どこまで来たのだろう


見渡す限りに陸は無く


細切れの息継ぎには慣れてしまった


このまま体力が尽き


溺れて終わるのか


いっそあぶくになれたなら


ここに馴染めるのか


サカナ達は不審者を遠巻きに観察し


ヒソヒソと話しては去っていく


冷たい海には溶けることもできず


間髪入れず来る波に襲われる


奪われ続ける感情と体温を守ろうと


心とは裏腹に体は必死に生きようとしている


もういい


もういいよ


心はとうに諦観を持ち始めているのに


なぜ楽に諦めさせてくれないのか


体は朝を望んでいる


太陽に照らされた温かな海を望んでいる


心は終止符を望んでいる


もう頑張ったと理由を並べ


この渇きに期待に切望に


そして失望と絶望に


涙を流す時間を望んでいる

愛を語る化け物がいた


あなたは愛されている


あなたが生きた軌跡は全て祝福されている


あなたの世界はまるで愛のキャンディ


一見硬くて辛いけど


実は甘くてとても素敵なもの


なぜなら私たちには愛があるから。


愛とは目に見えないもの


愛とは熱を帯びあたたかなもの


愛とはとても細やかなもの


愛とは粒子


愛とは空気


愛とは栄養


愛とは 愛とは 愛とは


この世を満たすもの


ラブソングを歌いましょう


全ては世界の愛を理解するため


そしてこの世の全ての愛を認めた時


あなたは愛そのものとなるのです


我々のような気づけぬ愛に悲しむ存在を


優しく赦し包み込む存在になるのです


それはとても素晴らしいこと


人々に崇められるようなこと


あなたも愛を知りましょう


あなたも愛となりましょう


私たちを救い導く


そう


それは


まるで



のような

あったかいなぁ


真冬の空が広がる下


「寒空の下」なんて誰が言い出したんだろう


僕は今こんなにもあったかいのに


喉から熱を帯びていく身体は


感覚がふわふわと


夢のように揺れている


誰の足音も聞こえない


風がただ木々をざわめかせる


そんなに祝福しないでおくれ


少しばかり恥ずかしくなる


ずっと思い描いていたことがやっと叶う


この世界を飛び出して


別の世界へ旅立つ


目に写るのは昼に散る星の輝き


肌で感じるのは春に爆ぜる凍雲の純白


あぁやっと終わりを迎える


そしてきっと始まりが僕を待っている


今行くよ僕の僕だけの僕のための天国へ

笑顔が素敵な人にはなれなくても


よく笑ってる朗らかな人でありたい


なんでも助けてくれる優秀な人にはなれなくても


よく話を聞いてくれる人でありたい


誰も憎まず羨まない楽しい人にはなれなくても


なんだか良い人と思われるようでありたい


心はドロドロでバキバキで


貼り付けた笑顔は端から崩れ始めている


それでも悲鳴も涙も閉じ込めて殺す


私って何がどうなんだっけ


表面に出ないように隠したものを


1つまた1つと見失っていく




愛にあふれる人にはなれなくても


よく感謝をしている人になりたかった


いつでも一緒にいたい人にはなれなくても


そこにいるとほっとする人になりたかった


誰からも好かれる人にはなれなくても


誰かからは愛される人になりたかった


私が愛せる人になりたかった


世は無常とは言うけれど


己で好きな宝物だけが変わっていき


かつて蓋をしたものだけは変わらなかった


他人に愛されるはずもなく


仮に好かれていても認められないのか


その気持ちは届かない


なんとなく嫌われているその槍は突き刺さり


現実以上に膨張する




お腹が空いた。


魂の純度を下げ続けるこの心臓を


裁き喰らえば満たされるだろうか。


生は罪だ


何も齎さなかった


雨と晴れは交互に訪れるが


キャパを超えた水量は乾き切ることはない


終わらせればいい


愛の詩を歌いながら


笑顔で踊り狂いながら


地面を踏みつけながら


私を今やっと解放するの


あはは


アハハ


縺ゅ?縺ッ


#%@;;¥-¥;;)$•£~€’)”/]{^*+!!!.☆♪〆







はじまった


地球規模で見てしまえば


何が変わるわけでもない朝日


少し改まった空気が


ひんやりと耳を掠めていく


1月1日 晴れ


この空を祝福ととるのか


何も変わらぬ陽光ととるのか


過ぎていく日常の1ページにするには


重い1日


強制的に迎えているのに


良い日にしなきゃというプレッシャーが


数日前から粉雪のように降り積もっていた


少し煩わしく


少し高揚する


今年は何が起きるだろう


どんな言葉を紡ぐだろう


生きるか死ぬかさえ


わからない物語が次の章を刻み出す

ぽつぽつと


街から音がする


光りはじめる音がする


何かを祝うためなのか


何かを生み出すためなのか


何かを追い払うためなのか


まだ少しだけ早さを感じさせるそれは


今年は僕に何を伝えるだろう


街が彩りを解き放ち


僕を飲み込むまであと数日


染まらない者は排され


灰色の輪郭を浮かび上がらせる


駅で耳をすませば


隔絶された個の世界を恐れ


色を求める声が聞こえてくる


完全な孤独に安寧を抱けない周囲の焦りが


少しだけ僕の覚悟を揺るがせた






(とっても余談なのですが、


ここまで読んでいただいて


3つの「何か」を想像したでしょうか。


元々1つの意味に留めるつもりもなく


最初は3つ目を植物保護のイノシシ避け


と、考えてたいたことは内緒なのでした。


失礼しました。)

あなたは微笑んでいた


春の木漏れ日のように穏やかに


夏の陽射しのように眩しく


秋の落陽のようにまっすぐに


冬日影のように透き通って


いつでもあたたかく優しく


ただ微笑んでいてくれた


あなたが照らしてくれるだけ


あなたに近い心は照らされて


あなたに遠い心は暗くなっていく


半月の心は回り続けた


半分が完全な闇に飲まれるまで


回る 回る 回る


明るいところはあなたに寄って


暗いところはあなたから逃げて


裂けてしまった心は二度と元には戻らない


あなたに救われるほど


あなたを呪っていく


微笑んでくれているあなたを


微笑んでいるだけのあなたを


2つの心は離れすぎて


私がどこにいるのかも分からない


全て悪いのは私


救われることに頼りすぎていた私


でも悪いのはあなた


最後まで救いきれないのに無闇に照らすあなた


天と地に運命は別れた


私はどっちにも行けるのだろう


そして最後には


どこにも行けないのだろう


どうにもならない心は捨て置いて


あなたから離れる手段を探した


私があなたを傷つける前に

人生ってのはね 歌えば大きくなるもんさ

 

人生ってのはね 語れば小さくなるもんさ

 

人生ってのは 夢が生まれては消えてゆくもんさ

 

人生ってのはね 何も持ってなかったやつが何か持つようになる物語なのさ

 

踊れ 踊れ 今はただ

 

踊れ 踊れ 何もかも忘れて

 

明日がんばればいいのさ

 

今日は1歩外に出た

 

今日は1つ宿題をやった

 

今日は1つおいしそうにご飯を食べた

 

今日は 今日も 生きてる

 

なんてえらいんだ

 

俺たちは生きている

 

ミミズも オケラもだったか

 

生きてる

 

生命みんな兄弟みたいなもんさ

 

今日は 歌え 踊れ 酒を飲め

 

弱肉強食も競争社会も

 

明日からでいいじゃないか

 

明日は何をしなきゃなんて今は忘れて

 

今この時を生きている自分を褒め称えろ

 

自分を愛せ そしてお前を愛せる

 

そういうもんさ

 

人生ってのは 愛で転がってゆくもんさ

 

人生ってのは 終わるまでが人生なのさ

『ごめんね、ごめんね、』


夜ひとり部屋にいると聞こえてきた


どこかで聞いたことがある気がする声


『いらないよね、ごめんね、』


何かを配り歩いているのか


『怖いよね、痛いよね、おぞましいよね』


今日は嫌なことがあったから


また自分を嫌いになったから


もう全部全部捨ててやろうと思ってたのに


ひたすら謝りながらゆらめいていく


何かを押し付けているのだろうか


声は遠くで聞こえたと思うと近づいて


身構えてると遠のいて


安心した瞬間


耳元で囁かれた


「ごめんね、あげるね、」


背筋が凍る


心臓が跳ねる


鼓動が聞こえたら私が思い出せないこいつに


私だと理解されるのではないか


もしくは認識できてしまっていると


バレて何かされるのではないか


目と口に手を当て音を殺す


この恐怖も苦しみも全部


心なんて余計なものがあるせいだ


『捨てていいからね、気にしないからね、』


弱々しい


そのくせ奥底に威圧を感じさせる声


私はこいつが嫌いだ


なぜかそう強くそう思った時


音が途切れた


声が止み私は目をそっと開いた


" 気づかれている "


私を覗き込みながらにゅぅっと差し出された手


溶けている


中身もそれに侵されるようにこいつの手も


何かがどろどろに溶けて中から棘が剥き出しだ


ぽっかりと空いた目はじっと私の瞳を捉えて


何かを訴えかけている


なんなんだお前は


かつては誰だったんだ


必死に息を吸う


そして吐いた


ゆっくりと手のひらを差し出した


『ごめんね、ありがとうね、』


そっと私の手にどろどろの何かを置いた


あたたかい


気持ち悪いはずなのに


柔らかな春のような心安らぐあたたかさ


一瞬手に感じた冷たく鋭い残酷な棘は


そいつの手に刺さっていた


「その棘はどうしたらいいの?」


私は思わず問いかけた


『ごめんね、いいの、』


びっくりしたような目


『でもね、できれば、とってほしいの、』


もじもじしながら半ば諦めているように


伏し目がちに答えられると断れなくて


何がなんだかわからないがとりあえず抜いた


血のようなものが流れたが


もうどろどろで血かも定かではなかった


『ありがとうね、もう大丈夫だね、』


口のないそいつが笑ったような声で言うのが


奇妙で不気味でおかしかった


「そうだね、もう大丈夫だね」


窓から注がれる光


こいつがくれた物とは別の


だけど同じようにあたたかな朝陽


眩しさに思わず目を逸らすと


そいつはいつのまにか消えていた




今日の始まりを告げるように


鳥たちが鳴き始める


嫌なことがあった悲しみは消えないけれど


あいつからもらったあたたかさも残っている


「ありがとう」


私は動き出した


あいつとの " 大丈夫 " を胸に

夕日を看取り

 

月の産声を見届ける

 

丘の上に立つ僕は音もなく移ろう空を見守った

 

街灯りを見下ろして

 

星明りに照らされて

 

輝きに挟まれた暗い暗い足元

 

吸い込まれそうなほど何も見えない周囲

 

怖いけれど少し安心する

 

いつも感じていた形のない不安が

 

具現化してくれたようだった

 

僕は心臓を暗闇に溶かす

 

少しずつゆっくりじっくりと

 

ドロドロとした内側から不純物が流れていく

 

不安 辛さ 苦しみ 心細さ

 

鼓動を不規則に揺らすそれらが

 

闇夜に攫われていく

 

このまま飲まれて自分ごと溶けられたなら

 

それでも身体だけが感覚を失っていく

 

心臓と意識はずっと前から乖離していて

 

自分を生きているような感覚になれない

 

己が生きているのか生きている人の目を借りているのか

 

喜んでいるのは悲しんでいるのは

 

この身体を持つ自分という存在

 

理解と感情がズレている

 

まるで鏡の中にいるようで

 

僕は誰だろう

 

消えてしまいそうな狭間で

 

月の光は僕の意識だけを繋ぎとめていた