お花が咲いていた

 

ただそこに咲いていた

 

その花には毒があった

 

それは花にとって必要な成分

 

芋虫や鹿から身を守るための鎧

 

その花は鮮やかな色をしていた

 

それは花にとって大事な色

 

花粉を運んでもらいうための目印

 

ヒトはその鮮やかな色を愛していた

 

摘んで花飾りを作った

 

素敵な花言葉のついた贈り物だった

 

ヒトが食べた

 

何も調べずその花を食べた

 

ヒトは倒れた

 

毒があるから当り前に倒れた

 

ヒトは死ななかった

 

花の毒は鎧であり武器ではなかった

 

ヒトは忌み嫌った

 

曰く、その花は人を殺すためのものだと

 

曰く、その花の色は毒々しく世を乱すと

 

曰く、その花は死神に魅入られたものだと

 

曰く、その花は生れ落ちるべきではなかったと

 

花は駆除された

 

ヒトを害する花は敵であった

 

花は燃やされた

 

飾ることは不謹慎とされた

 

花言葉は変わった

 

綺麗な見た目をして本性は醜いとされた

 

ただそこに静かに咲いていた花

 

食べないでねと伝えたかっただけの花

 

蝶や鳥とともに風に揺れたかっただけの花

 

ヒトに見つからなければ

 

ヒトに食べられなければ

 

ヒトがエゴにまみれていなければ

 

花は絶えた

 

種も記憶も残らず絶えた

 

思い違いと過言と妄信と憶測で絶えた

 

ヒトが絶やした

小さな灯火がともった

 

それが唯一の光だった

 

道しるべにもならないほどの

 

足元をやっと照らす明かり

 

でもそれだけが縋れる藁だった

 

一歩

 

また一歩

 

慎重に次の一歩だけを見て

 

間違えて戻ってやり直す

 

何かを失い続けながら

 

涙を堪え目をつぶる

 

その繰り返し

 

どこに向かっているのか

 

終わりはあるのか

 

終わりの先はあるのか

 

終わりの先の終わりはあるのか

 

そんなことより次の一歩

 

繰り返して

 

繰り返して

 

そんな僕を見て友人は言った

 

「公園のど真ん中でなにやってるんだ」と

 

「そこに絶対的な道はないし

 

昼間にランタンは意味ないだろ」と

 

時と空間を同じくしても

 

僕と彼は同じ世界にはいなかった

 

 

午後5:00


ベンチに座る


誰もいない森の中


古びたベンチはだれの遺産か


ゆったり空気に溶けていく


周りの空気をめいっぱい


入れて、出して


自分に取り込み一体化


だんだん自分がなくなって


輪郭を失いかけて…


ん?


やらかい輪郭が少し固くなる


かゆい


輪郭が戻ってく


小さい虫が輪郭を取り戻す


帰ろう


森を抜けて電車へ


1時間後にはいつもの家に


そうして僕は街に溶けていく

声がした


後ろから雪の中を走って僕を呼び止める声


前から暑い日の鍋も美味しいんだと語る声


隣で幾度となく聞いた笑い声




声がした


もう失った声がした




人は声から忘れるらしい


君の声は


世界で一番大好きだった声は


まだ僕の鼓膜を幻想の中で震わせる


また春が終わる


君と共に去って行った春が終わる


君と出会った春が終わる




声がする


ただそれだけのことが


どれほど僕を強くしていたのか


気づいた時には手遅れだった


今はただ思い出の中で記憶の中で


伸ばしては空を切る手で君をかき集める




声がした


君を思い出しては


カタチのないものを抱きしめて


溺れるように呼吸が浅くなる僕を叱る声


優しく仕方ないなぁと困ったように微笑む声




いつか


その声を忘れるのだろうか


記録がないと思い出せなくなるのだろうか


思い出す度に君の声が


本物か記憶の中で改変してしまったものか


不安になる


忘れたくない


僕の人生でたった1度だけ


心から愛した君の声を


僕は忘れたくない

もう 朝は来ない


私が望んでいた朝が沈んでいく


地平線を目指し海を彷徨い


この手で迎えに行こうと決めた朝が


顔も出さずに沈んでいく


どこまで来たのだろう


見渡す限りに陸は無く


細切れの息継ぎには慣れてしまった


このまま体力が尽き


溺れて終わるのか


いっそあぶくになれたなら


ここに馴染めるのか


サカナ達は不審者を遠巻きに観察し


ヒソヒソと話しては去っていく


冷たい海には溶けることもできず


間髪入れず来る波に襲われる


奪われ続ける感情と体温を守ろうと


心とは裏腹に体は必死に生きようとしている


もういい


もういいよ


心はとうに諦観を持ち始めているのに


なぜ楽に諦めさせてくれないのか


体は朝を望んでいる


太陽に照らされた温かな海を望んでいる


心は終止符を望んでいる


もう頑張ったと理由を並べ


この渇きに期待に切望に


そして失望と絶望に


涙を流す時間を望んでいる

愛を語る化け物がいた


あなたは愛されている


あなたが生きた軌跡は全て祝福されている


あなたの世界はまるで愛のキャンディ


一見硬くて辛いけど


実は甘くてとても素敵なもの


なぜなら私たちには愛があるから。


愛とは目に見えないもの


愛とは熱を帯びあたたかなもの


愛とはとても細やかなもの


愛とは粒子


愛とは空気


愛とは栄養


愛とは 愛とは 愛とは


この世を満たすもの


ラブソングを歌いましょう


全ては世界の愛を理解するため


そしてこの世の全ての愛を認めた時


あなたは愛そのものとなるのです


我々のような気づけぬ愛に悲しむ存在を


優しく赦し包み込む存在になるのです


それはとても素晴らしいこと


人々に崇められるようなこと


あなたも愛を知りましょう


あなたも愛となりましょう


私たちを救い導く


そう


それは


まるで



のような

あったかいなぁ


真冬の空が広がる下


「寒空の下」なんて誰が言い出したんだろう


僕は今こんなにもあったかいのに


喉から熱を帯びていく身体は


感覚がふわふわと


夢のように揺れている


誰の足音も聞こえない


風がただ木々をざわめかせる


そんなに祝福しないでおくれ


少しばかり恥ずかしくなる


ずっと思い描いていたことがやっと叶う


この世界を飛び出して


別の世界へ旅立つ


目に写るのは昼に散る星の輝き


肌で感じるのは春に爆ぜる凍雲の純白


あぁやっと終わりを迎える


そしてきっと始まりが僕を待っている


今行くよ僕の僕だけの僕のための天国へ

笑顔が素敵な人にはなれなくても


よく笑ってる朗らかな人でありたい


なんでも助けてくれる優秀な人にはなれなくても


よく話を聞いてくれる人でありたい


誰も憎まず羨まない楽しい人にはなれなくても


なんだか良い人と思われるようでありたい


心はドロドロでバキバキで


貼り付けた笑顔は端から崩れ始めている


それでも悲鳴も涙も閉じ込めて殺す


私って何がどうなんだっけ


表面に出ないように隠したものを


1つまた1つと見失っていく




愛にあふれる人にはなれなくても


よく感謝をしている人になりたかった


いつでも一緒にいたい人にはなれなくても


そこにいるとほっとする人になりたかった


誰からも好かれる人にはなれなくても


誰かからは愛される人になりたかった


私が愛せる人になりたかった


世は無常とは言うけれど


己で好きな宝物だけが変わっていき


かつて蓋をしたものだけは変わらなかった


他人に愛されるはずもなく


仮に好かれていても認められないのか


その気持ちは届かない


なんとなく嫌われているその槍は突き刺さり


現実以上に膨張する




お腹が空いた。


魂の純度を下げ続けるこの心臓を


裁き喰らえば満たされるだろうか。


生は罪だ


何も齎さなかった


雨と晴れは交互に訪れるが


キャパを超えた水量は乾き切ることはない


終わらせればいい


愛の詩を歌いながら


笑顔で踊り狂いながら


地面を踏みつけながら


私を今やっと解放するの


あはは


アハハ


縺ゅ?縺ッ


#%@;;¥-¥;;)$•£~€’)”/]{^*+!!!.☆♪〆







はじまった


地球規模で見てしまえば


何が変わるわけでもない朝日


少し改まった空気が


ひんやりと耳を掠めていく


1月1日 晴れ


この空を祝福ととるのか


何も変わらぬ陽光ととるのか


過ぎていく日常の1ページにするには


重い1日


強制的に迎えているのに


良い日にしなきゃというプレッシャーが


数日前から粉雪のように降り積もっていた


少し煩わしく


少し高揚する


今年は何が起きるだろう


どんな言葉を紡ぐだろう


生きるか死ぬかさえ


わからない物語が次の章を刻み出す

ぽつぽつと


街から音がする


光りはじめる音がする


何かを祝うためなのか


何かを生み出すためなのか


何かを追い払うためなのか


まだ少しだけ早さを感じさせるそれは


今年は僕に何を伝えるだろう


街が彩りを解き放ち


僕を飲み込むまであと数日


染まらない者は排され


灰色の輪郭を浮かび上がらせる


駅で耳をすませば


隔絶された個の世界を恐れ


色を求める声が聞こえてくる


完全な孤独に安寧を抱けない周囲の焦りが


少しだけ僕の覚悟を揺るがせた






(とっても余談なのですが、


ここまで読んでいただいて


3つの「何か」を想像したでしょうか。


元々1つの意味に留めるつもりもなく


最初は3つ目を植物保護のイノシシ避け


と、考えてたいたことは内緒なのでした。


失礼しました。)