お花が咲いていた
ただそこに咲いていた
その花には毒があった
それは花にとって必要な成分
芋虫や鹿から身を守るための鎧
その花は鮮やかな色をしていた
それは花にとって大事な色
花粉を運んでもらいうための目印
ヒトはその鮮やかな色を愛していた
摘んで花飾りを作った
素敵な花言葉のついた贈り物だった
ヒトが食べた
何も調べずその花を食べた
ヒトは倒れた
毒があるから当り前に倒れた
ヒトは死ななかった
花の毒は鎧であり武器ではなかった
ヒトは忌み嫌った
曰く、その花は人を殺すためのものだと
曰く、その花の色は毒々しく世を乱すと
曰く、その花は死神に魅入られたものだと
曰く、その花は生れ落ちるべきではなかったと
花は駆除された
ヒトを害する花は敵であった
花は燃やされた
飾ることは不謹慎とされた
花言葉は変わった
綺麗な見た目をして本性は醜いとされた
ただそこに静かに咲いていた花
食べないでねと伝えたかっただけの花
蝶や鳥とともに風に揺れたかっただけの花
ヒトに見つからなければ
ヒトに食べられなければ
ヒトがエゴにまみれていなければ
花は絶えた
種も記憶も残らず絶えた
思い違いと過言と妄信と憶測で絶えた
ヒトが絶やした