円形脱毛症のセルフケア2023 Tレグを知って

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(※ 急速にびまん性に脱毛する急速進行型円形脱毛症・急性びまん性全頭脱毛症 その中で 無治療で自然軽快するself-healing ADTA (≒ADTAFS?)の診断、ステロイドパルス療法が奏功するタイプの評価法、のお話も出る 杏林大学皮膚科の先生の講演資料などを、このページ最下部に追加しました。)

 

 

米カリフォルニア大学の研究チームは、マウスを用いた実験を行い、炎症を制御する免疫細胞の「制御性T細胞TregTレグ)」の働きが「毛包幹細胞」による発毛の促進にも欠かせない要因である事実を確かめた。

「免疫細胞である制御性T細胞異常脱毛の真因」である根拠を掴んだことになる。

関連記事

毛根再生の意外なパートナー

Tレグが分泌するTGFβ3が、毛根の再生を抑えるBMPシグナルに拮抗することで、毛根幹細胞の増殖を誘導する。」

 

こちらも

2017年の研究

Journal of Dermatological Science

活性化された制御性T細胞は、

疾患活動を抑制するために円形脱毛症の患者で増加します

要約 

円形脱毛症において、Tレグを、

・活性化Tレグ(最も強い抑制活性)

・休止Tレグ(中程度の抑制活性)

・非抑制Tレグ、

に分けて調べたところ、

活性化Tレグ+休止Tレグ(中程度の活性Tレグ)レベルと疾患期間は負の相関があった(活性があるTレグが多いほど短期に改善、少ないほど長期化)。

活性化Tレグ+休止Tレグの増加により、円形脱毛症の疾患活動性が早期に抑制され、自然緩解が誘導される。

活性化Tレグレベルの維持は疾患の進行を防止し、新しい治療法の標的となる可能性がある。

以上です。正確には原文を.

 

 

Med Sci(パリ)2020

制御性T細胞は毛髪の成長を制御し、円形脱毛症の発症を予防します

 

 

考察

毛包を守っている(免疫特権)活性Tレグが、何らかの原因で減少すると、細胞障害性T細胞が毛包を攻撃して円形脱毛症が発症するが、活性Tレグが増えると、自然に治る。

活性Tレグが増えないと、長期化する可能性が高い。

活性化Tレグを測ってもらえれば、予後やセルフケアの成果が分かると思うのですが、現状では難しいようです(研究でのみ測れる?)。

 

今のところは、

Tレグの総数が増えれば、活性化Tレグも増え、自然緩解が起きるものと期待して、Tレグを増やすセルフケアを行うということで。

 

Tレグを増やすヒント3つ

その1

アトピー性皮膚炎と栄養 のまとめ?論文がありました、

血清25-ヒドロキシビタミンDレベルは、アトピー性皮膚炎患者(AD)では低いことが多く、経口ビタミンD補給はADを改善します。

ビタミンDは、ケラチノサイトでフィラグリンとカテリシジンの発現を誘導することにより、アレルゲンに対する耐性を促進し、アレルギー性炎症を防ぐ制御性T細胞Tレグを増加させます。

・エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)は、ロイコトリエン B4 の生成を抑制し、角質層内のセラミドを増加させ、その代謝産物であるレゾルビン E1 と D1 を介して炎症を解消することにより、アトピー性皮膚炎を改善します。

その2

※短鎖脂肪酸の中でもpTreg細胞の分化誘導能が最も高いのが「酪酸」です。

 
 

【薬を使った治療の研究

2023年5月2日にオンラインで公開

円形脱毛症に対する制御性T細胞療法の可能性

円形脱毛症に対する制御性T細胞(Tレグ)ベースの治療法の可能性

結論 
自己免疫疾患は、Treg細胞の障害を伴います。

患者の Treg 細胞を増強して異常な自己免疫を抑制することは合理的なアプローチです。 

円形脱毛症( AA )の病因はまだ完全には理解されていませんが、Treg 細胞が関与していると考えられています。 

Treg 細胞は、HF-IP(毛包免疫特権) の守護者として局所的な自己寛容の確立維持に主要な役割を果たしています。 

毛包幹細胞の微小環境に位置するTreg細胞は毛包の再生を促進する可能性があります。

AAはその独特の病態生理学のため、医学的に管理することが困難です。

JAK 阻害剤は有望な薬剤であるにもかかわらず、長期的な有効性は依然として限定的です。  

私たちは、Treg 細胞ベース治療が AA 管理の次の論理的なステップであり、最終的には患者の転帰を改善できる可能性があると信じています。

 

以上です。

Tレグにも種類・状態?に違いがあり、IL-2(インターロイキン2)単独作られたTレグは未熟皮膚への移行能がないので効果がないようです(IL-2治療とJAK阻害薬などの併用での効果が期待できる)が、他の治療をしている・いないにかかわらず、Tレグを作るようにすることは重要だと思います。

 

 

Tレグの機能を活性化させるための薬以外の方法

を、AIに質問しました

AIの答えは

  1. ストレス軽減: 長期的なストレスは免疫系に悪影響を与えることが知られています。ストレスを軽減する方法として、リラクゼーションテクニック(深呼吸、プログレッシブ・マッスル・リラクゼーションなど)、瞑想、ヨガ、ストレッチなどを取り入れることが有効です。これらの方法は心身のリラクゼーションを促し、免疫系のバランスを改善する可能性があります。

  2. 適切な栄養摂取: 栄養バランスの取れた食事は免疫系の健全な機能にとって重要です。ビタミン(特にA、C、E)、ミネラル(亜鉛、セレン)、抗酸化物質(ポリフェノール、カロテノイド)を含む多様な食品を摂取することが推奨されます。具体的には、新鮮な果物、野菜、全粒穀物、健康な脂肪(オメガ-3脂肪酸を含む魚やナッツ)、乳製品、健康タンパク(豆類、鶏肉、大豆製品など)を摂取することが重要です。

  3. 適度な運動: 適度な運動は免疫系の活性化に役立つことが示されています。有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリング)や筋力トレーニングは免疫細胞の循環を改善し、免疫応答を活性化させる可能性があります。研究によれば、運動によって制御性T細胞の数が増加することが報告されています。ただし、過度な運動は逆効果となる場合があるため、適度な強度と頻度で行うことが重要です。

  4. 充分睡眠: 睡眠不足は免疫系に悪影響を与えることが知られています。十分な睡眠をとることで、免疫細胞の正常な機能や免疫応答の調節が促進されます。個人によって適切な睡眠時間は異なるため、自分に合った睡眠スケジュールを確保しましょう。良質な睡眠を得るためには、規則正しい睡眠習慣を作り、快適な寝室環境を整えることが重要です。また、ストレス管理やリラックスのための方法(例:入浴、読書、音楽など)を活用することも役立ちます。

  5. 日光浴ビタミンDは、制御性T細胞の増加に重要な役割を果たします。日光浴によってビタミンDを合成することができるため、日光浴をすることがおすすめです。

  6. 自然療法やサプリメント: 制御性T細胞の機能を活性化するための自然療法やサプリメントは研究が進行中であり、いくつかの方法が提案されています。例えば、ビタミンDオメガ-3脂肪酸プロバイオティクス善玉菌)、プレバイオテクス(善玉菌のエサ)、抗酸化物質(例:ビタミンC、E、セレン)などが制御性T細胞の活性化に関連する可能性があります。

上記の方法は、制御性T細胞の活性化に対して効果がある可能性があるものの、科学的な証拠や効果の確実性には限定されています。医学的な方法や治療を追求する際には、医師や専門家と相談することが重要です。

 

以上 AIの答えでした。

Tレグ機能の活性化だけでなく、免疫力全体・健康のためにも役立ちそうですねニコニコ

AIの答えに、制御性T細胞(Treg・Tレグ)と「酪酸(らくさん)」の関係が抜けていたので、追加でAIに聞きました。

AIの答

  1. Treg細胞の誘導と維持酪酸は、腸管上皮細胞や腸内細菌によって産生され、腸管内で濃度が高まります。この酪酸は、T細胞の分化を制御し、Treg細胞の誘導を促進します。特に、酪酸はT細胞の分化に関与するシグナル伝達経路(例:HIF-1α、FOXP3)を活性化することによってTreg細胞の発生促します。

  2. Treg細胞の機能改善: 酪酸は、Treg細胞の免疫抑制機能を向上させることが報告されています。酪酸は、Treg細胞が免疫応答を調節するために必要なシグナル伝達経路を活性化し、Treg細胞の抗炎症性および免疫抑制性の機能を強化します。

  3. 腸内環境とTreg細胞のバランス: 腸内細菌が生成する酪酸は、腸内環境を整え腸管上皮バリアの強化炎症の低減に寄与します。これにより、Treg細胞が正常に機能し、免疫応答のバランスを保つことができます。

  4. 自己免疫疾患への関与: 酪酸の不足や腸内環境の異常な変化は、自己免疫疾患の発症に関与する可能性があります。自己免疫疾患では、免疫応答が正常な組織や細胞を攻撃してしまうため、制御性T細胞の機能が重要とされています。  酪酸は腸管内で制御性T細胞の数と機能を増強することで、自己免疫疾患の発症や進行を抑制する可能性があります。 具体的な例として、炎症性腸疾患(例:潰瘍性大腸炎やクローン病)が挙げられます。 これらの疾患では、腸内細菌のバランスが崩れ、酪酸の産生が減少することが報告されています。 その結果、制御性T細胞の数や機能が低下し、炎症が慢性化します。

腸内環境の改善により酪酸が増え、制御性T細胞の数や機能が回復することで、自己免疫疾患の症状の緩和進行の抑制が期待されます。

 

以上AIの答えでした。

 

 

局所免疫療法(SADBEやDPCPなど)も、見方によってはTレグ増強療法? 

浜松医科大学

 円形脱毛症における調節性T細胞(Tレグ)の関与と局所免疫療法との関連について 

要約 正確には原文を

「治療前には、自分の組織を攻撃してしまうT細胞が毛包周囲に密集(毛包を攻撃)していたが、局所免疫療法で発毛した部位ではTレグが増加していて、毛包周囲の自己免疫反応を抑制する可能性が示唆されました。」

ということです。

 

※局所免疫療法の効果のためにも、Tレグを増やすような体内環境?を作っておいた方が良いかと。

 

※局所免疫療法について

日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017年度版の

10.治療

「CQ2 局所免疫療法は有用か 」

AA_GL2017.pdf

に評価や、解説が記されています。

※(免疫応答が前面に出る)急性期に、局所免疫療法は適さない(慢性期に効果)という考えもあるようです。

 

 

Tレグ増強療法としてビタミンD外用薬(塗り薬)での研究がされているようです

東北大学 2022

活性型ビタミンD3による制御性T細胞の増強と治療への応用 

一部抜粋 

制御性 T 細胞(Treg)は過剰な免疫応答を抑制する働きをもち、

Tregを増強する治療戦略は、自己免疫疾患や 炎症性疾患に有効である。

本研究では新規 Treg 療法として皮膚へ活性型ビタミン D3 を塗布する方法を開発する。

皮膚への活性型ビタミンD3 塗布による Treg増殖誘導法は、皮膚を利用して全身の免疫バランスを調節するという新しい発想に基づいており、低用量 IL-2 (インターロイキン2)ほど強力ではないものの、簡便かつ安価である。

以上です

 

海外では、ビタミンD外用薬(塗り薬)が、円形脱毛症に有益な効果があることを示唆する研究があるとして、(小規模ですが) ビタミンD軟膏とステロイド軟膏の有効性と安全性の評価の研究が行われていて、ビタミンD外用は、ステロイド外用と同等の効果、ステロイド以上の有用性があることを確認しました。

皮膚科と治療 2020年4月

円形脱毛症の管理における 局所カルシポトリオール(ビタミンD外用)と局所クロベタゾール(ステロイド外用)の有効性と安全性比較:

一部抜粋(詳細・正確には原文を)

紹介

最近の研究の結果は、ビタミン D3 類似体であるカルシポトリオールの局所適用が円形脱毛症(AA)に有益な効果があることを示唆しています 。 

このような背景を踏まえ、我々は、AAと診断された一連の 35 人の患者を対象に、局所カルシポトリオール 軟膏と局所コルチコステロイド軟膏 の有効性と安全性を評価しました。

議論

私たちの研究の結果は、局所ビタミンDと局所コルチコステロイド製剤の両方が円形脱毛症を治療するための安全で効果的な治療法であることを示しています。

差は統計的に有意ではありませんでしたが、カルシポトリオールは、クロベタゾールと比較して、より速い毛髪の再生と完全な反応を示すパッチの割合が高いことと関連していました。

さらに、カルシポトリオールで処理されたパッチは、クロベタゾールで処理された病変よりも長く利益を維持しました。

局所コルチコステロイドで治療された患者は、局所ビタミンD類似体で治療された患者と比較して、再発する傾向が強く、より速い傾向を示しました。

私たちの研究は、局所ステロイドに対するカルシポトリオール製剤の次の利点を強調しています。

:入手の容易さ、手頃な価格、AAの治療における有効性、および最小限で可逆的な副作用。

結論

結論として、局所ステロイド製剤と比較して有害事象の発生率が低く、限られたAAの治療に対する局所ビタミンD製剤の有効性を支持するエビデンスが見つかった。

以上です。

参考 カルシポトリオールは、活性型ビタミンD外用剤。

カルシポトリオールは、ビタミンD受容体と結合することで、細胞内の特定の遺伝子の発現を制御し、炎症反応を軽減させます。また、皮膚細胞の分化と増殖を調節します。

 

 

Tレグ(免疫調整・ 発毛)や育毛のためには、

亜鉛重要です。

円形脱毛症では、亜鉛ビタミンDが不足している、また、亜鉛やビタミンDが不足しているとTレグが上手く働いてくれない、という研究もあります。

ビタミンD3と亜鉛を組み合わせると 相乗効果でよりTレグが増えるという研究もありました。

栄養生化学ジャーナル

ビタミンD3と亜鉛は制御性T細胞を相乗的に誘導し、混合リンパ球培養におけるインターフェロンγ産生を抑制する 

一部抜粋 詳細・正確には原文を

ビタミンD3 と亜鉛は、どちらも免疫応答を寛容に向けて変化させることが知られていますが、それらを組み合わせて投与した場合の効果についてはほとんど知られていません。

試験管内の実験ですが、ビタミン D3と亜鉛 の組み合わせは、制御性T細胞を増やしました。

ビタミンD3 亜鉛の組み合わせは、さまざまな症状における免疫応答調節不全治療するための、有望で安価な選択肢となる可能性があります。

 

 

 

腸内環境と腸内細菌、酪酸が制御性T細胞(Tレグ)を増やし 免疫の暴走を抑える仕組み などの解説動画です。

健康ポータル@YakujiMan

免疫の暴走を防ぐ酪酸菌の増やし方 -5分 

上は 動画から引用させていただいた図です

感染などをした異常細胞を破壊する働きをする細胞障害性T細胞と

それを調整する制御T細胞

制御性T細胞を増やすのが酪酸

というイメージです

その酪酸を増やすのが酪酸産生菌で、水溶性食物繊維やフラクトオリゴ糖などが、その菌のエサになりますすおねがい

※最新の研究では酪酸を含む短鎖脂肪酸が、制御性T細胞を増加・活性化させる、ということです。

短鎖脂肪酸はヒト誘導制御性T細胞の分化と機能を増強します

 

 

🆕追加記事です

話題は変わります(Tレグとの関係は分かっていません)

 

日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017年度版の

9.予後について

AA_GL2017.pdf 

の文章の最後の方に

「急速に進行するが回復が早く 短期的には予後良好な病型が提唱されており」との記載があります。

2002年

川村先生 相馬先生

女性の頭皮の急性びまん性脱毛症と全脱毛症。予後が良好な びまん性円形脱毛症の新しいサブタイプ - 

2004年

円形脱毛症の新しいタイプ(ADTAFS

2008年

急性びまん性全頭脱毛症の新しい型 

「円形脱毛症にはいろいろな臨床型がある.そのなかで,突然ばさばさと髪の毛がびまん性に抜けて数カ月で全頭脱毛に至るが,その後まもなく毛が生えはじめ,約半年ほどでショートヘア状態まで治癒するのが,本稿のacute diffuse and total alopecia of the female scalp(ADTAFS)型である.」

 

※「ADTA」は acute diffuse and total alopecia(急性 びまん性 全 脱毛症)

 

急速にびまん性に脱毛する急速進行性型円形脱毛症・急性びまん性全頭脱毛症

その中で予後の良いタイプ(ステロイドパルス療法が奏功?)、

さらに無治療で自然軽快するタイプがあります。

その見分け方?診断についてもお話しされている、杏林大学皮膚科の先生のセミナー3題、など。

 

 

2023年4月
脱毛症診療のポイント―専門外来における患者さんとの会話の中から―
福山 雅大 先生

脱毛症診療のポイント―急速進行型円形脱毛症に対するアプローチを中心に―音声(2023.4.17放送)

maruho_hifuka-230417.pdf 

 

2022年8月

脱毛症診療Update:教科書にはない実際のはなし

ステロイドパルス療法の位置づけ」など

木下 美咲 先生

脱毛症診療Update:音声(2022.8.1放送)

maruho_hifuka-220801.pdf 

 

上の2つの講演からの抜粋など

ステロイドパルス療法は、2017年度版円形脱毛症ガイドラインで、発症6か月以内、急速に進行しているS2:すなわち25%以上の脱毛を呈する成人症例に行っても良い治療として位置づけられています。
しかしながら、この条件を満たす急速進行型円形脱毛症の中には、

無治療でも自然治癒するタイプや、

逆にパルス療法を行っても奏功せず脱毛症状が遷延するタイプが存在することが分かってきました。

 

急性にびまん性に大量の脱毛がある急速進行型円形脱毛症の中に、予後良好ADTA(acute diffuse and total alopecia・急性びまん性 全脱毛症)があります。
そのADTAの亜型として、

無治療で自然軽快するself-healingADTA(自己修復ADTA、sADTA)と呼ばれる病型が存在することが近年明らかになりました。
杏林大学皮膚科の症例蓄積研究によると、
初診時に
①女性であること
②頭部の掻痒や疼痛などの随伴症状がないこと
③頭部以外に脱毛が無いこと
④抜ける毛の毛の根元が破壊されておらず棍毛(こんもう)主体であること

※「棍毛」:毛根がふっくらとしていて棍棒(こん棒)のような形をしていることから呼ばれる、 正常な抜け毛。

抜け毛には種類がある
⑤トリコスコピー(毛髪顕微鏡)にて全頭性に短軟毛が優位に多数見られること

⑥トリコスコピーにて空の毛孔像が全頭性に多数見られること
以上の6項目中4項目以上を満たす場合にはsADTAである可能性が示されました。

 

sADTAであれば、無治療でも改善するため、ステロイドパルス療法などの不必要な治療介入を回避することができ、患者さんの予後への不安も軽減できると考えられます。
この場合は、治療せずに3~4か月 密に経過観察する。途中、発毛傾向が無い場合は、診断を再検討。
3項目以下の場合は、急速進行性脱毛症の可能性が高いとして、治療介入推薦(ステロイドパルス療法、ステロイド内服療法、局所免疫療法など)。

 

トリコスコピーは大変重要みたいです

トリコスコピーについて詳しく(医療関係者向け)

毛髪疾患のためのトリコスコピー ~円形脱毛症を中心に  – 日本イーライリリー株式会社 

ステロイドパルス療法の効果の可能性について
パルス奏功群と非奏功群の比較
奏功群は、
①女性であること
②円形脱毛症の既往が無いこと
③末梢血好酸球増多が無いこと(250未満であること)

④生検組織でも毛包周囲炎症細胞浸潤が軽度~中等度であること、
以上4項目の頻度が統計的に高い、
⑤アトピー性皮膚炎の既往歴がないこと(統計的有意ではないが、比較的頻度が高い)。
①~④をそれぞれ2点、⑤を1点とした9点満点で、5点以上の場合、パルス奏功群に該当する可能性が高い。

 

※「末梢血 好酸球」は、白血球の一種で(普通の?)血液検査で測れます。

数値の目安の参考に好酸球増多症 - 国府台病院リウマチ膠原病科 

 

 

2021年10月

脱毛症の病理理解とその治療への活かし方
大山 学 先生

脱毛症の病理理解とその治療への活かし方音声(2021.10.4放送)

maruho_hifuka-211004.pdf

 

大山先生の講義を参考

病態・病期に応じた治療の選択が大切。

点滴静注ステロイドパルス療法は、免疫応答(炎症)が激しい急性期に施行(炎症を止める)してこそ有効な治療法と考えられる。

免疫応答が前面に出る急性期に、緩徐な免疫の変調効果を作用機序とする局所免疫療法(SADBEなど)は、適しているとは言えない。(慢性期に適応)

部分的ではあっても、短軟毛の再発毛が見られる慢性期から回復期の場合には、ステロイド局所注射ではなく、外用だけで経過を見ても良いと考えられる。

 

急速かつ広範に脱毛を呈する点で、

急速広汎性円形脱毛症と類似するものの

「治療介入なしで軽快する sADTA」と、

「治療介入が必要な病型」

区別重要であり、

そのためのスコア法を、杏林大学皮膚科が考案?しました。

以上の他、

男性型、女性型脱毛症治療のお話もあります。

 

上記、スコア法作成に至る経緯?研究などです。

2020年
杏林大学の研究

自己治癒性急性びまん性および全脱毛症の早期診断のための人口統計学的、臨床的およびトリコスコープ的特徴の解明

グーグル翻訳です

「急性びまん性全脱毛症」(ADTA)という用語は、自己退行性の重度の円形脱毛症(AA)の同義語としてよく使用されています。

 しかし、ADTA は本来、回復が早く、介入(治療)に関係なく予後が良好な、急速に進行する AA のサブタイプ として定義されています。

 実際、ADTA の部分集団は自然に回復します。

 私たちは、AA のこのユニークなサブセットに焦点を当て、これを「自己修復(self-healing )ADTA」(sADTA) と名付けました。 

不必要な治療を回避するには、sADTA と他の RP-AA(急性びまん性に脱毛する 急速進行型 円形脱毛症)を迅速かつ正確区別することが重要ですが、予測診断の特徴が不足しているため、これは依然として困難です。

 この研究では、18人のsADTA患者を遡及的に分析し、穏やかな毛抜きテストや毛髪検査所見を含む臨床的特徴を描写し、続いてRP-AA患者との統計的比較を行った。 sADTA 症例は

すべて女性で、

平均年齢は 38.1 ± 15.9 歳でした。 

脱毛領域の進行は 3.6 ± 1.5 か月でピークに達し、

7.9 ± 1.7 か月で完全な毛の再生が達成されました。

 sADTA の診断を裏付ける特定された要因には、

・女性であること。

 ・頭皮の痛みやかゆみがないこと。

・ 頭皮以外の脱毛がないこと。 

・毛抜きテストではクラブヘア (棍毛・こんもう)が優勢。 

・短い軟毛が優勢。 

・毛髪鏡検査で空の卵胞口の増加。

など、6つありました。

 その後、sADTA の早期診断のためのスコアリング システムが、検査された症例に存在する 6 つの同定された因子の数を数えることによって開発されました。

 開発したシステムで分析したところ、追加の 4 症例を含むすべての sADTA 症例はスコア 4 以上(6つのうち4項目以上があてはまる)でしたが、RP-AA 症例は 1 症例を除いてすべて 3 未満でした。

 したがって、システムは sADTA を RP-AA から区別することに成功しました (P < 0.01)。

 いくつかの技術的制限にもかかわらず、今回の研究は、sADTAが独特の病態生理学を持つ特徴的な存在であり、その特徴に基づいて介入前の早期診断が可能であることを示唆した。

 

びまん性脱毛治療の参考に

びまん性脱毛症の患者では、治療前に血清フェリチンとビタミンDのレベルを評価する必要があります 

結論

脱毛を訴える患者では、血清フェリチンと25-ヒドロキシビタミンDレベルが一般的に低いことを明らかにしています。したがって、びまん性脱毛を訴えるすべての患者の治療前に、血清フェリチンとビタミンDのレベルを評価し、補充する必要があります。

 

2008年

中島武 医師

女性頭皮の急性びまん性脱毛症および全脱毛症におけるダーモスコピーの重要性:20例のレビュー 

ダーモスコピー(トリコスコピー)は、女性頭皮の急性びまん性全脱毛症(ADTAFS)と 女性型脱毛症(FPHL) を区別するために、有用な診断ツールです。

 

 

ステロイドパルス療法について

日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017年度版

AA_GL2017.pdf 

10.治療

CQ5 静脈注射によるステロイドパルス療法は有用か 」

に評価や、解説が記されています。

 

2017年

杏林大学皮膚科

急速進行性円形脱毛症に対する点滴静注ステロイドパルス療法が全身状態に与える影響に関する調査 

 

 

当ブログ他のページです

重複記事もありますが

円形脱毛症と腸内環境と酪酸 

円形脱毛症とビタミンD あれこれ

円形脱毛症と栄養や食事あれこれ 

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