※ 子供さんの脱毛症についての情報を、本ページ中ごろに載せています
円形脱毛症では
自分を守るはずの
免疫細胞である
Tリンパ球(細胞障害性T細胞)が
自分の毛包を攻撃しています
免疫の暴走
炎症状態
自己免疫疾患
暴走を抑えるのが
制御性T細胞
Treg・Tレグ
これも免疫細胞(Tリンパ球)です
円形脱毛症では
局所や末梢血(全身)で
Tレグが少なく
うまく働けていません
2006-2008
浜松医科大学
円形脱毛症における調節性T細胞の関与と局所免疫療法との関連について
一部抜粋・加筆など 正確には原文を
※初期の円形脱毛症では毛包周囲にリンパ球が密に浸潤しており、毛包のimmune privilege(免疫特権)が破綻し、毛包がリンパ球に攻撃される自己免疫性脱毛がおこると考えられている。
※我々は、健常人の毛包の免疫特権の維持のために調節性T細胞(regulatory T cell、以下 Tレグ)が重要な役割を演じており、その機能や数の減少が免疫特権の破綻とそれに引き続く円形脱毛症の発症において一定の関与があるのではないかと考えた。
※局所免疫療法を施行し、発毛を認めた部位では、過剰な免疫反応を抑制する細胞やTレグが増えていた。
※局所免疫療法によってTレグが浸潤し、自己反応性T細胞(自身の組織や蛋白を攻撃してしまうT 細胞)の活性を抑制することで、毛包に対する自己免疫反応を抑制している可能性が示唆された。
2009年
京都大学の研究
円形脱毛症患者の末梢血中の制御性T細胞(Tレグ)は
健常人より減少していた。
制御性T細胞(Tレグ)は、
急性期よりも慢性期に少なく、
限局型よりも広範型症例で、
より減少していた。
正確には原文を
2017年の研究
Tレグにも活性化、非活性などがあり
活性化Tレグが増えると
疾患活動性が早期に抑制され
自然寛解が誘導される
正確には原文を
Tレグは
発毛自体(全ての? 脱毛症)
にも 関係があるようです
2017年
Tレグとグルココルチコイドが
免疫系を抑制する
(免疫の暴走を抑える)
だけでなく
髪を成長させる
AIにて一部要約 正確には原文を
- 研究者たちは、制御性T細胞(Tレグ)とグルココルチコイド(副腎皮質ホルモン、ステロイドの一種)が、免疫系を抑制する(免疫の暴走を抑える)だけでなく、毛髪の成長を促進する細胞である皮膚の幹細胞とコミュニケーションして新しい毛包を生成する仕組みを明らかにしました。
- この仕組みは、Tレグの免疫抑制機能とは独立しており、ステロイドホルモンの一種であるグルココルチコイドがTレグにシグナルを送り、Tレグが成長因子TGF-β3を分泌して毛包幹細胞を活性化するというものです。
Med Sci (Paris) 2020
から引用の図です
図 A 図B
図A 活性化LTreg(制御性T細胞)の蓄積により、HFSC(毛包幹細胞)におけるNotch経路(細胞分化や増殖を制御するシグナル伝達経路の1つ)の関与が可能になり、休止期から成長期への移行が確実になります。
図B LTregの頻度と機能の低下は、成長期の毛包を攻撃する活性化されたLTc(細胞障害性T細胞)の出現を促進し、円形脱毛症の発症につながります。
考察
図A 毛包周囲に活性化Tレグが多ければ、(休止期の髪が活動を始めやすくなり)発毛につがる。
図B Tレグが減弱すると、毛包を攻撃するT細胞が出現し、円形脱毛症が発症してしまう.
という感じでしょうか。
円形脱毛症の改善には
毛根を攻撃しているリンパ球を抑える
ことに加え
毛包幹細胞を活性化させる
Tレグ に注目
です
2023年5月に公開された研究です
円形脱毛症に対する制御性T細胞(Tレグ)ベースの治療法の可能性
ブログページ作成しました
以下、追加情報等もあり
まとまりがないので、
興味のあるところからでもご覧ください
免疫調整と発毛細胞である
Tレグの機能向上・増産には
亜鉛・酪酸・ビタミンDなど
亜鉛欠乏は
Tレグ機能ダウン
一部抜粋 正確には本文を
自己免疫疾患の進行を遅らせるか、進行を止めるには、適切な亜鉛の恒常性が不可欠です。
亜鉛の補給は、自己免疫疾患を軽減する治療法となる可能性があります。
制御性T細胞を増やす
腸内の「酪酸」を増やすには
酪酸を産生する菌のエサ
水様性食物繊維
を摂ること
※ 水溶性食物繊維は、酪酸産生菌だけでなく、他の善玉菌も増やし、短鎖脂肪酸の産生を助け、腸内環境を整える働きがあります。
健康ポータル @YakujiMan
5分で動画解説
↓動画から引用させていただいた図です
感染などをした異常細胞を破壊する働きをする細胞障害性T細胞と
それを調整する制御性T細胞
制御性T細胞を増やすのが酪酸
というイメージです
腸内環境の影響によるビオチン欠乏で脱毛が発生?
乳酸菌が脱毛症の原因に!?腸内環境を改善して薄毛を予防する2つの方法
酪酸と腸内環境のページです
制御性T細胞(Tレグ)と
ビタミンD
結論
ビタミンDの補給は
Tレグ機能を高める可能性あり
東北大学
一部抜粋
制御性 T 細胞(Tレグ)は過剰な免疫応答を抑制する働きをもち、 Tレグを増強する治療戦略は、自己免疫疾患や 炎症性疾患に有効である。 皮膚への活性型ビタミンD3 塗布は、 皮膚所属リンパ節でTレグ増殖を促進する、という機序が 明らかとなった。 |
円形脱毛症とビタミンD
円形脱毛症では
ビタミンD不足の人多し
結論を要約 正確には本文を
「血清ビタミンDの欠乏率は、非円形脱毛症者群と比較して、円形脱毛症群で有意に高く、血清ビタミンDレベルと円形脱毛症の重症度との間に逆相関があった。」
当ブログ ビタミンD関連のページです
一部重複記載あります
円形脱毛症と栄養について
海外での研究をまとめた論文
によりますと
円形脱毛症の人に不足している可能性が高い微量栄養素は
ビタミンD 亜鉛 葉酸
鉄、ビタミンB群、銅、マグネシウム、セレン
ということです。
あと
たんぱく質は基本的に重要です
円形脱毛症
生活習慣の影響
産業医科大学皮膚科
喫煙、アルコール摂取、睡眠、肥満、脂肪酸、グルテン摂取などの環境要因。
一部抜粋
「円形脱毛症は、さまざまな環境刺激に関連する炎症性皮膚疾患です。」
「日常生活は様々な炎症性疾患に関与していることがよく知られており、炎症性皮膚疾患の重症度に影響を与えます。」
詳しくは↓
石黒医師
自己免疫疾患など
2017年ごろからのもので
色々と参考になるサイトです
円形脱毛症の治し方
子供さんの脱毛症について
小児脱毛症診療のポイント
大山学教授(マルホ皮膚科セミナー)
大人の脱毛症診療の参考にもなります
海外の研究です
一部抜粋
ビタミンD欠乏症は円形脱毛症(AA)病因の唯一の病因ではありませんが、他の病因因子が存在する場合、この欠乏症はAAの重症度を悪化させる可能性があるため、ビタミンD補給は小児円形脱毛症の治療に有益である可能性があります。
海外の研究です
ビタミンDが欠乏している脱毛症児は
経口ビタミンD治療での改善の頻度が高い
結論から一部抜粋
ビタミンDの活性型は、標的細胞の核に位置する特定のVDR(ビタミンDレセプター)に結合することによってその作用を媒介する。
VDRは、ヒトの毛包の重要な構造に強く発現することが実証されています。
VDRの欠如は、表皮分化と毛包の成長の低下に関連している可能性があります。
この研究では、円形脱毛症患者と対照者の間で血清25(OH)Dレベルに統計的に有意な差は観察されませんでしたが(両者とも約半数がビタミンD欠乏) 、ビタミンDが欠乏している円形脱毛症患者における 経口ビタミンD治療は、毛包再生を改善し、完全改善頻度が高くなることが観察されました。
にも上の研究関連記事を載せています
全頭脱毛症/汎発性脱毛症/局所性脱毛症の治療:3つの症例報告と文献レビュー
※考察
円形脱毛症治療において
ビタミンDの
有効性を高めるためには、
本当の専門家?が必要だと思いました
小西ドクターのブログ
海外での症例研究です
2012年
韓国 中央大学医学部皮膚科
円形脱毛症 2か月の病歴を持つ7歳の男の子の症例
一部を要約 正確には原文を
局所ミノキシジル5%とヒドロコルチゾン1%クリームを3か月間使用しましたが、成功しませんでした。
その後、生検が行われ、毛包がビタミンD受容体の発現を欠いていることが示されました。その後、治療は局所カルシポトリオール(ビタミンDの一種)溶液に変更されました。
新しい治療から6週間後には髪の毛が生え直し、治療開始から3ヶ月後には完全な再生が見られました。その後、別の生検が行われ、今度は毛包でビタミンD受容体の発現が検出されました。
※考察「ビタミンD受容体」もキーポイントかもしれません。
植木理恵 医師
・子供の脱毛:共通および稀な原因(ヨルダンでの研究)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc
「髪の問題は鉄や亜鉛などの重要な栄養欠乏によるものであり」
皮膚科ではありませんが
栄養療法にも詳しいので
お子さんの円形脱毛症治療の相談にお勧めです
伊藤明子(みつこ)医師
近年、ビタミンDの働きに関する研究が進み、
「免疫機能や皮膚、脳、発達
などにも重要な役割を担っていることが分かってきました」
満尾正 医師
日光を避け、魚をあまり食べない、ビタミンD不足の母親の子どもに多い難病
ビタミンD依存性くる病Ⅱ型(大半の患者に脱毛がみられる)
徳島大学医学部
脱毛を合併するビタミンD依存性クル病Ⅱ型の5症例 | CiNii Research
「乳幼児,小児における脱毛の診察にあたっては,
鑑別疾患の1つにあげねばなるまい。」
以上 子供さんと脱毛症関連の記事でした
※ 円形脱毛症に関する日本皮膚科学会の考え方・治療法など
円形脱毛症以外の自己免疫疾患やアレルギー等でも
Tレグ不調、何らかの栄養不足、 腸内環境の乱れなど
が関連している可能性が高く、
患者さんが多いので研究も進んでいて
円形脱毛症治療の参考になります
日本医科大学雑誌
Journal of Nippon Medical School Vol.88 No.3 (jst.go.jp)
・アトピー性皮膚炎(AD)では血清ビタミンDレベルが低いことが多く、経口ビタミンD補給で改善する。
AD のスコア(SCORAD) 湿疹面積および重症度指数は、1,000 ~ 2,000IUのビタミンD3補給を 1 ~ 2 か月間 毎日行った後、減少(改善)した。
・ラクトバチルスとビフィズス菌は、腸透過性バリアを改善し、Tレグ細胞を誘導します。
・血清、毛髪、赤血球の亜鉛レベルは、AD患者で減少します。
亜鉛はTreg細胞を増やしたり、炎症を抑制するためのタンパク質の発現を調節することができます。
重症アトピー性皮膚炎患者に対する補助療法としての ビタミンD補給の影響:
渋谷セントラルクリニック
一部抜粋
・ビタミンDは、ケラチノサイトにあるビタミンD受容体に結合することで作用を発揮します。ビタミンDがビタミンD受容体に結合すると、ケラチノサイトにおける細胞の成長や分化、あるいは炎症に関与する遺伝子に作用して、単球やマクロファージ、T細胞、樹状細胞など多くの免疫細胞の働きを調節します。
・最近の研究では、ビタミンDの1日摂取量の上限値は4,000IUといわれています。
・ビタミンDは安価で手に入れることのできる薬であり、乾癬の治療だけでなく、がんや心血管疾患など多くの疾患を予防・改善できる非常に有効な治療法です。
スマイルライン矯正歯科ブログ
黒岩医師
アトピー性皮膚炎は軟膏を塗るよりも身体の内側からの治療が重要 -9分
自己免疫疾患と腸内細菌の関係
フロンテア
Dr.テリーの栄養チャンネル
※ 以下参考にさせていただいたサイト等です。
https://blog.with2.net/link/?2027506
「Th1細胞やTh17細胞が毛包を攻撃している」
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-24791132/24791132seika.pdf
円形脱毛症患者のTh17および調節性T細胞の不均衡
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26077574
ストレスは, アレルギー抑制的なTreg(Tレグ)を低下させる。
一部抜粋
「毛根サイクルにTregは必要ないが、Treg活性化がないと休止期が延びてサイクルが長くなることがわかり」
「Tregが分泌するTGFβ3が、毛根の再生を抑えるBMPシグナルに拮抗することで、毛根幹細胞の増殖を誘導する。」
「Tregが、毛根幹細胞の再生がスムースに行くよう見守っているというストーリー」
新型コロナの重症化予防にも「Tレグ」と「酪酸」が関係