夫 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

夫は家庭の暖かみを知らない人です。

結婚後もそれは変わりません。

「暖かい家庭」
がニュアンスとして分からないのでしょう。

彼は息子たちの写真を一枚も撮ったことはありません。
よくいらっしゃいますね。運動会にハイスペック一眼でもってお子さんを激写するお父さん。

夫はそんなことをしません。
「そんなことして、どうするの?」
と言います。
そう言えばどうするんだろう、と思ってしまいます。

幼児期から親に徹底的に疎外されて、中学時代には
「自殺したらちょっとは気にかけてくれるかな。」
と思うほど生活が荒れて、

今でも感情の機能が一部破綻してしまった私の夫。

その彼が、
それでも実父の病状について明確に語りません。

明確に出来ないということは、
察すべき事なのでしょう。

ほとんど精神的な交流の無かった親でも、死に直面して明らかに動揺しています。

血のつながりは哀しいものです。
どんなに、無意味でも、誰にも打ち消すことは出来ない。

血が繋がっている、ほとんどそれだけの関係性だったのに、
冷徹無比の彼がここまで打ちのめされている。

私は、夫のそんな姿を見ていて、
その心境を言葉に編もうとする。どんなときでも私は自分の表現を言葉に託す。


重く、固く、冷たく、静に、
夫は動揺しています。

それが分かるのは恐らくこの世に私一人なのでしょう。

それはとても哀しいことです。