私は、覚めた。
覚めたら何時ものように深い息をはかなくてはならなかった、ああまたあの夢の中に居たんだな、と思って私は覚めた。
ものすごく、疲労していた。ぜえぜえ言っている。
寝て起きたのに起きた後のほうが疲労しているなんて、私も年を取ったなあとおもう。ただあの夢を見ると私は心底疲労するのだった。
夢のひなたで、またあの人に会ったような気がする。
誰なんだか解らない。誰だかしらないひとに、私は曖昧な夢の向う側でいつも会っている。
何をしたということもおぼえていない。ただその人が夢のあかるい光の最中に立っていた、
表現するとそんな感じに成る。
その人が夢のさなかに私を待っている。覚める度に私はそれをまざまざ感じる。
その人の顔も名前も知らない。ただ其処にいるのを感じる。夢の明るみで光を為した、その人が其処にいるのをいつでも感じている。
そして目が覚めると私はどうしようもなく疲労しているのだった。
思うに其処は私なんかが行ってはいけない場所なのかもしれない。
でも私は疲労困憊しても其所へさ迷っている行ってしまう。
あの人はだれなんだろう。彼処はどこなんだろう。
そして私は何故こんなに惹き付けられるのだろう。溺れかけた人が空気に焦がれる様に。
私は疲労した体を布団からべりべり剥がして朝の支度を始める。どんなに疲労していても今日という日を始めなくてはならない。
あの光る夢の中で私を待っているのはどんな人なんだろうか。
おっとそれを考える前に珈琲を作らなくては。