長編お話「雨の国、王妃の不倫」の7 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

雨の降る、
窓辺に持たれて酒を飲んでいたらそのまま寝てしまった。
眠ったら夢の中でも雨が降っていた。

いや、
曖昧な意識の中に雨音が染み込んで湧いただけだったかもしれないけれど。

とにかくその夢の中で雨が降っていた、私の心には常に雨が降っているのに、この街は常に雨が降っているのに、夢の中にまで雨が降る。

私は心も体もぺったりと濡れているような気分になる。

夢の中で、
ああ、また気配がする、と思って私はうれしい半分、迷惑半分で深い息を付いた。

気配だけがするのだ。いつも。会える訳じゃない。会いたい訳じゃない。
でも雨に打たれる夢を見るときかならずその人の気配がそこにある。

だからその人の気配は常に私の中に染み込んで居るんだろうな、
そう思って私は嫌な気持ちになる。

嫌な、哀しい、惨めな気持ちになる、しかし雨に打たれていたいと思ってしまう。
手のほどこしようがない。まったく手がつけられないな。

私は雨に打たれていたい夢の中、目を閉じて確かにそこにある気配にただ浸っていたい。

そういう自分を情けない、恥ずかしい物だと思っている。
会うでもなく、言葉を交わすでもなく。ただ微睡んでここに居られればいいだなんて。向上心も改善しようと言う気持ちも無いだなんて。

でも。
それでも私はここにいたい、この、雨の国に。
乾いた太陽のもとで干からびたくない。いつか腐ってしまうのだとしても、私には水分が必要だ。

どんなに馬鹿馬鹿しいと言われようが毎日だって毎晩だって私は泣いていたいのだ。

私の雨は、私の涙。