そろそろ色が剥げてきたね、また染めないとね、とおかあさんに言われて鏡を見たら、
「あ、確かにまた地色になってきたね。」
と私は言った。
「だんだん色が濃くなってきたのねえ。」
とおかあさんが言う。
「ごめんねえ、毎月カラーリング代かさんで。」
「大丈夫よ、伯父さんちに頼んだら出してくれるから。」
私は生まれたとき髪が緑色だったんだそうだ。
赤ちゃんの髪の毛なんてちょろっちょろな物かと思ったのだけど、
後年写真を見たら、生後直ぐの私は赤子ならざるふっさりとした
緑色の髪をしていた。緑の髪の赤ちゃん。何枚も何枚も写真が残っている。
緑色の髪のあかんぼの写真をたくさんとったのは誰だ?
先祖がえりなんだそうだ。
むかしばなしなんだけど、我が家の本家のご先祖に龍神に婿入りされて子供を生んだという人がいるらしく、
(むかし話には違いないのたが、身内に起こったと聞けばなんとなく、信じてしまう。血縁て不思議だ。)
そのときは生まれた女の子の髪の毛が緑色だったと言う。
以来うちの家系では時々、五十年から百年だって、くらいのスパンで緑色髪のこが生まれる。必ず女が。
私は二百年目くらいのレア物らしい。だから本家の伯父さんにとても可愛がってもらっているのだ。
緑色は豊穣の証。
緑髪の子が生まれると田んぼの実りが良くなるんだそうだ(今どき田んぼも何も無いだろうが、
ともかく私が生まれてから毎年春も夏も気候が良いのは事実らしい。)。
だからこの目立つ髪を治すお金は頼めば伯父さんが出してくれる。
伯父さんは私の緑の髪が大好きだから染めるのを残念がっているけれど。
こうこうせいに成ったらかつらにしなさいね。
と私は伯父さんからそうおたっしされている。