ウーロン茶の巨大なグラスが運ばれてきて、ごとん、と言った。
私はなおも言いたかった。この、人生で一番アホな時代を共有した、
共有した筈で今でも充分アホなこいつらに、なお言いたいことが涌いてきて仕方なかった。
「はい、この中に自分は今幸せだって言えるヤツが居るのか。」
ウーロン茶は今飲みたくない。
「どうしちゃったの、宗田さん。」
ねえウインナーの盛り合わせ頼まない? 隣でヤッちゃんが気を使ってくれる。でも私は止まれなかった。
「だいたいな、
人間を30年もやってそんな簡単に幸せになんてなれるもんか。
おい小田切、お前は今幸せなのか。幸せと断言出来るのか。
出来たら、私はイヤだな。そんな単純なもんじゃないだろ。
みんな何しに立川に戻ってきてんの? それなりに面白くないことばっかりだから、もう嫌だと思って帰ってきたんだろ。私はそうだ。
あったよ。
嫌なこと山ほどあったよ。私は言わないよ、自分が今幸せだなんて絶体に言わない。
ぜっっっったいに言わない! そんな私が小川さんも何も知ったこっちゃないのよ。
お前らだって同じ筈だ。
自分も幸せになれずにのらりくらりしてるのに、
たまたま目の前に不幸そうな人が出てきたからって、何で、今、その人のことをこんなに話してなきゃ行けないんだよ。」
私は思っていたこと、話せるだけ言った。全部は言わなかった。
でも言う必要の無いことは沢山話してしまった。
「こんなところで俺らが幸せかどうかなんて、わざわざ話題にしなくてもいいだろう。」
なんでそんなこと言うんだ。
と小田切が冷静に私を責めた。お店の奥さんがウインナーの盛り合わせを運んできてくれた。
坂岡くんがついでに厚切りベーコンも頼んでいた。
私は私で、ますます訳が分からなくなっていた。