長編お話「鬼子のヒオリ」の16 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

「間崎さんは嫌じゃないんですか?」
私は尋ねた。
「何が?」
「だってしんじゃうんでしょ?」
「そうだね。」

なんだって間崎さんはこんなになんでも無いことみたいに言うんだろうか。
「嫌じゃないんですか? その、埋められちゃうの。」
「まだ埋められてないからなんとも言えないけど。」
ひょうひょうとして言うのだ。

「他の奴が埋められた所に立ち会った訳じゃないし。」
「もう誰か埋められてるんですか?」
「うん、何人かはもう埋められてるよ。」
「神さまを食べた後で?」
「そう。
そうだね。俺もどんな埋められ方するのかな。
えげつなく生きたまま埋められるのかな。それとも薬でも使って寝てる間に埋めてくれるのかな。
あるいはその時もう俺にはまともな意識は無いのかもしれない。
容量の限界まで神が入った所なんて想像できないからな、まだ。」
「容量一杯まで神さまを食べるのに、どのくらい掛かるんですか?」
「長くても十年あれば。
十年仕事を続けたら俺の限界。二十年はたぶん無理。」
「十年ですか、じゃあ。」
「うん。
俺は運が良くてもあと十年くらいしか生きられない。」