小説「青絵具団の夜」 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

深夜。
仕事終わりの住宅地。
闇に沈んだ其処を一人歩いていたら、

かやあああああああああああああああい

けたたましく聞こえてそれから
「合図だ!」
と誰かが怒鳴る声がした。

すると辺り一面の
家の陰や角の向こうから顔中を青絵具で塗り潰した一団の人々が蝗の様に湧いて出て、
あるいは追いすがるように
あるいは逃げ延びようとするかのごとく
わあ、と物凄い勢いで駆け抜けていった。

寝静まって闇に押し黙る住宅街の、
電信柱やカーブミラーをもどかしく押し退けるようにして
青絵具の集団が死物狂いで走って行った。

ここはなにも地獄ではない。

さっきのは私の疲労がある基準以上になったときに起こる現象である。

わあ、と駆け抜けただけで青絵具の一団はまた何処かに消えてしまった。
私は、
おやおやそんなに疲れていたんだかな。
と自らを振り返り、

今日はちょっと強い酒でも飲むか。

コンビニにウォッカを買いに来た道をもどる。