錠剤か何かの入っていた瓶ではないだろうか。
砂浜で拾った瓶の中には紙の束と小さな封書が見える。
それがさらにフリーザーバッグの中に入って、海水の侵入から守られていたよう。
私は先ず二重になったジップを開いて、それから中の瓶を取りだしキャップをあけた。スクリューキャップだった。ひょっとしてコルク栓だったら水漏れしたんだろうか。
ともかく中の書面は無事だった。
コピー用紙? を十枚ほど重ねて四つ折りにしたもの。
それから十センチ×七センチ程のピンク色の封筒。私はまず封筒の中を改めた。
どこから流れてきたのやら、日本語でこうあった。
『同封の紙に一行ずつ物語を書いてまた海にほおって下さい。
願わくは素晴らしいストーリーになりますように。』
何処かの誰かがメッセージを込めるのではなく、
偶然に頼って物語の生まれるきっかけを造ろうとしたのだ。
不特定多数確認不可の
わたしたち
によってどんな物語が紡がれるか知る方法もない癖に。
私は何処に居るかも分からないこの第一作者が、瓶の中に紙をぎゅうぎゅう詰めているところを想像した。
これだけで既に物語。
なら二番目の作者である私の書き出しはこうだ。
『私が拾ったのは物語。』