小説「刃物の眼」 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

松尾ひさなと言う生徒の眼は私をうんざりさせる。
一年一組に授業に赴くのはだから私にとってやるせない作業である。

松尾の眼には容赦と言うものが無いのである。

12やそこらの女が何を偉そうに、
と思うのだが私は今日もつい、
松尾から眼を反らしてレジュメなど配布する。

情け容赦ない視線の持ち主である。松尾と言う生徒は。その無情、まるで刃物のように決定的である。

いったいどう育てばこんな非道と言ってよい視線の持ち主に人が育つのか。

松尾の眼には慈悲や寛容と言うものが一切ない。奴が眼を開けるとき、

それは中空から巨大な刃物が落ちてくるような威圧を私に感じさせる。

今日も私は一年一組で歴史を教えなくてはいけない。

非常にうんざりする作業だ。