小説「地獄の門」 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

そこを通り過ぎた人は体に火が点くんです。

そんなこと知らなかったよ!
ってびっくりして恐怖で居てもたってもいられなくなってのたうち回る人も居ます。

あるいは自分の体に火が点いてるって言うに、全く平然としているひとも居ます。こういう人たちはきっと何か、今まで大事にしてきた誰かや何かがある瞬間どうでもよくなったのかもしれない。

あるいはそこを通り過ぎたのは全くひょんなことで、でも本性が素晴らしいひとだから、ちぇっ、しょうがねえな。
そう思って燃えるに任せているひとも居る。


そしてもちろん、桁外れの高温で焼けながら、焼けながら焼けながら
ずっとずっと光を放つひとが居る。
そういう人は火が点いてると言うか、
もう人はじゃなくて焔なんだ。
マグネシウムを燃やした時みたいな、目も当てられない、ただ単純な焔なんだ。

そしてみんな消えていく。
だって火が点いてるだもの。いつかは焼き尽くされてしまうでしょう?

長く燃えるかすぐ掻き消えるか、それだけなのです。

地獄の門の内側ではこういうことが毎日行われている。
そして何も地獄の門の内側でなくても、
こういうことは至るところで行われている。