小説「今日、失恋、に決めました」 | 文学ing

文学ing

森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

なんか、もう、いいやあ
と言う恋の終わりは我ながらなんて覇気が無いんだろう。
そりゃあね、最初からあちらには彼女が居ましたよ。
そして山口先輩の彼女の北高のなんとかさんは
私とは似ても似つかないヒトですけども。
それが分かっていて、
分かっていてだからこそなんにも望まないつもりで、
ずーっとずーっと
売れない、じゃなくて熟れないままの恋をしていたんだけど、
もういいやと今日思ったのです。
今日を持ちまして、
失恋、
にすることにしました、今までありがとうございました、
LINEで慰めてくれたみなみなさま。
もう、これで失恋です。
今日が終われば最期です。
明日からは、うるうるでもなければしくしくでもなければ、
で、ある以上どきどきではない毎日が、
灰色のマントを着てかっこよく
もなく現れるでしょう。
それにしたって、なんて覇気に欠ける失恋だろうなあ、
と我がことながら情けないんですけど。
どうしてそういうことを思ったのかと言うとね、
原因はね、
私は今日、山口先輩のロッカーの名札が落ちているのを見つけました。
ボール紙にね、
「山口」
と書いてあるだけのね。それでどして山口先輩の名札と分かったかと言うと、
先輩のロッカーの前に落ちていて、
先輩のロッカーには名札が無かったから。
私はね、6秒くらいか、その紙切れを見ていたんだけど、
どうしても、
それを拾って先輩のロッカーの名札入れに戻そうと思ったの。
それが原因。
上手く説明は出来ないけれどね、
それが原因で私はもう、
ああこんな恋をしているのはやめようと思ったのです。
報われるとかそうじゃなとか、そういうことを言うんじゃない。
こんな程度の恋ならば、
今温かいうちに自分で止めてしまおう。
そう思って、だからこそ温かい今のうちに、
失恋したことにしてしまいたかった、ということだったのです。
温かかったことくらいは、
記憶に留めて居たいから、そういうことでしかないんです。