砂丘を、我々は歩いていた。
4歳の息子ももくもくと歩いている。
本当はもっと早く帰るはずだったのだ
しかし砂丘は思いのほか広く
我々は帰還の途につくことに手間取った。
息子が立ち止まった。そして言う。
「さきゅうってなっがああいくるまみたいだなあ」
「なんだそれは。」
私は疲れて面倒だったが答えた。
「何で砂丘が車なんだよ。」
「だって。」
息子は立ち止まったまま
暮れ切ったのか未だ昼なのか曖昧な膿んだ空の
その境目までも広がる砂地を見る
「ながあああいから、くるまなんだよ」
と言う。
こいつの頭の中には
今途方も無いファンタジーが存在している。
若干四歳なれば
彼未だ言語未熟にして
顕にすること雑なり
なんであって
今にこいつが辞書一冊くらいの言語を識ったなれば
世界は彼に飲み込まれるのかもしれないぞ
先にたって歩きながら
私の背中に汗がつーっと垂れた