今から7年前の4月、ファン仲間周辺では宏美さんのデビュー40周年絡みで盛り上がっていた。そしてデビュー記念日を3日後に控えた22日、記念すべきシングル「光の軌跡」はリリースされたのである。

 

 作曲の池間史規さんは、「シアワセノカケラ」でお馴染みの方。編曲の渡辺俊幸さんも、オーケストラとの共演時の指揮などで宏美さんとの縁も深い方だ。最近も、3月の大阪交響楽団ともジョイント、昨年11月の『アレンジャーズ・サミット』などで宏美さんとステージを共にされている。宏美さんへの楽曲提供では、作曲はないが、編曲で「愛燦燦」「いのちの理由」そして『My Songs』では大ヒット曲をリアレンジなさっている。

 

宏美さんと渡辺俊幸さん

 

 作詞の京えりこさんは、あまり馴染みのない方なので調べてみた。京さんは、ムッシュかまやつの「キスの写真集」(1991)で作詞家デビュー。あまり多作の方ではないようだが、小島未散さんの昨年の配信アルバム『Sing for you ...』にも2曲詞を提供している。

 

 

 さて「光の軌跡」は、言うまでもなく宏美さんを「光」に見立て、その来し方行く末を「軌跡」と表現したデビュー40周年記念曲であり、岩崎宏美版「マイ・ウェイ」である。そのため渡辺さんアレンジの壮大なスケールで、洗足ドリームオーケストラをフィーチュアしたゴージャズなサウンドである。これも当時渡辺さんが洗足学園音楽大学の教授をしていらした(現在は定年退職して客員教授)からこそ実現したものであろう。

 

 基本的には「マイ・ウェイ」的な世界観だが、宏美さんらしく歌を聴いている多くの人に優しく語りかけ、力を与えてくれるのが好きだ。それは特に、

 

♪ この世界に 私たち ひとりひとり


 生きぬく力 授かって


 生まれてきたのよ 大丈夫

 

という部分などに表れている。

 

 そしてまた、2コーラス終わった後に次々と転調してゆく大サビは、宏美さんご自身が40周年当時よく引用されていらした。こう言い切れる人生、素晴らしい!

 

♪ もしも また 生まれ変わっても
 

 私はそう 私になりたい

 少し 臆病 きっと 不器用
 

 それも 私

 

 また、アコースティックなオーケストラをバックに、この曲で強烈な印象を残すのは、前奏・間奏そして後奏で掻き鳴らされるエレキギターのソロである。レコーディングでは遠山哲朗さんが弾いているが、アニバーサリー・イヤーのツアー『40周年感謝祭 光の軌跡』では、チェロとギターという異色の二刀流・伊藤ハルトシさんがバックのサポートメンバー入りしている。2011年のツアーから、バックをピアノトリオと弦カルテットとした宏美さんは、一旦ギターをバックから外していた。チェロとギターを持ち替えるハルトシくんという若手の逸材は、願ったり叶ったりだったのではないか。

 

伊藤ハルトシくん

 

 公式YouTubeチャンネルにアップされている、ビデオクリップをご覧いただこう。この映像は、ひとつ前の『Thank You !』ツアーの最終日に、ちょうど客席に来ていた闘病中だったゲルシーこと渡辺茂さん(故人)に頼み、ベースを弾いてもらったと言う。貴重なビデオクリップである。

 

 

 大サビの後、サビが戻ってくるところの、「私にはこの道しかない!」という確信に満ち溢れた宏美さんの歌声・謳い上げには、何度聴いても魂を揺さぶられるものがある。

 

♪ It's my way この道が続くかぎり

 まだ 走ろうと思うのは
 

 未来の私に 出会うため

 

 宏美ファン仲間で、ランニングブームに乗っかって「ジョギング部」ができたことがある。もちろん私は加入した。当初は幽霊部員を含めて20名以上いただろうか。スイーツマラソンだとかリレーマラソンだとか、楽しい大会を見つけては皆で楽しんでいた。

 

 そんな頃に、この「光の軌跡」がリリースされたのである。この歌の最後のサビの歌詞は、まるでジョギング部の面々のためにあるようなものではないか。当時、背中にこの歌詞を染め抜いたTシャツを作り、あちこちの大会で走ったものである。🥰

 

 その後、高齢化が進んだりメンバーの地方異動があったりして、徐々に衰退。現在では関東・関西中心に数名が活動している程度。それもコロナ禍で大会が激減しモチベーションの維持が難しくなっている。だが、ここは一念発起、宏美さんが頑張って歌い続けてくださっている限り、われわれも走り続けようではないか!

 

♪ まだ 走ろうと思うのは
 

 未来の私に 出会うため

 

 宏美さん、デビュー47周年、本当におめでとうございます❣️今まで以上に健康に留意され、1日でも長くわれわれに素晴らしい歌声と音楽を聴かせてください。心よりお祈りしております。🥰

 

(2015.4.22 シングル)