昨夜は突如の津波注意報を知らせる警報音で飛び起きた。奄美群島・トカラ列島・岩手県では警報が発令、この寒空に深夜避難された方々は大変だったろう。幸い国内では今のところ大きな人的被害は報告されていないが、トンガ王国やその他の地域で被害状況が掴めていないのも心配である。被害に遭われた方にお見舞い申し上げるとともに、昨日の事件や今日の津波で共通テストが受けられなかった受験生たちが、不利にならずに受験できるような配慮を是非関係者の皆様にお願いしたい。

 

 

 さて「ごめんね Darling」は、宏美さんの実妹・岩崎良美さんの7thシングル。1981年9月発売と言うから、宏美さんが「すみれ色の涙」「れんげ草の恋」を歌っていた頃のナンバーである。作詞・作曲に尾崎亜美さんを起用した爽やかなアメリカン・ポップス風の楽曲で、私は当時から気に入っていた。オリジナルの編曲は鈴木茂さんだ。鈴木さんは元々ギタリストの作編曲家だが、宏美作品では「I LIKE SEIJO」「ときめき」を、良美作品ではやはり尾崎亜美さんが書いた「化粧なんて似合わない」他のアレンジを担当している。また宏美さんのアルバム『私・的・空・間』では、ギタリストとして玉置浩二作品2曲にクレジットされている。

 

 今回調べたところ、「ごめんね Darling」はエモーションズの「ベスト・オブ・マイ・ラブ」(Best of My Love,1977)が元ネタらしいと判った。確かにイントロや歌い出しのメロディ、コーラスの入り方、サウンド全体の感じがよく似ている。

 

 

 私がこの曲を昔から好きな訳は、大きく二つある。一つは、ヨシリンのデビュー以来のヨーロッパ風の流れ(これも好きなのだが)から、この曲はアメリカのディスコ風のものに変わり、宏美さんの楽曲との親和性を感じたことである。「この曲、宏美さんが歌ってもいいかな」という感覚を当時から持っていたのだ。もう一つは、尾崎さんの歌詞世界への共感だ。誕生日に彼がくれた指輪のサイズが大きすぎてつい吹き出してしまう主人公。だが、本当は嬉しくて泣いてしまいそうなのを誤魔化すために大急ぎで笑ったのだ。それでケンカになってしまい、翌日に一日遅れの誕生日を祝うーー。そんな若いカップルの等身大の日常を描き出したような歌詞が大好きなのである。

 

 そして2008年5月16日、文京シビックホール。藤野浩一さん指揮の神奈川フィルハーモニー管弦楽団の演奏をバックに、お二人のデュオによる「ごめんね Darling」が実現したのだ。1番は宏美さんがメロディーで良美さんがコーラス、2番は攻守交代。その後の間奏のギターソロは、当時宏美さんのバックのメンバーだった懐かしい馬場一嘉さんだ。

 

 この曲は元々、「♪ Hu! 」「♪ ほんとは涙に…」「♪ Darling, want you/Darling, need you/Darling, hold you」「♪ Darling oh darling/Nothing but party」などのバッキングボーカルやハモりが散りばめられており、お二人で歌われるには打ってつけの曲だったと言えるだろう。姉妹ならではの息もピッタリ、声質もピッタリ、そして曲調も宏美さんにピッタリで言うことなし!

 

 特に好きなのが、「♪ 変りそうで/照れくさくて/大急ぎで 」と3回同じ歌メロを控えめに繰り返すところで、バッキングの方の「♪ Darling, want you/Darling, need you/Darling, hold you」がどんどん音域も上がっていって盛り上げるところである。

 

 このコンサートの「ごめんね Darling」が披露される直前のMCで、リリース当時『8時だョ!全員集合』で宏美さんが自ら希望して、ヨシリンのバックコーラスを歌ったエピソードが紹介された。その時の貴重な映像をYouTubeで見ることができるのでご紹介しておこう。

 

 

 次いで、2016年10月1日の東京国際フォーラムでは、国府弘子さんとの『Piano Songs』ツアーに、この日だけのスペシャル・ゲストとしてヨシリンが参加した。弘子姐さんのゴキゲンなピアノでこの曲が再び取り上げられたのだ。この時ははからずもヨシリンが先攻でヒロリンが後攻と、『Precious Night』と入れ替わっているのも嬉しい。そして間奏のピアノは姐さんらしいジャズっぽいアドリブである。この様子は、ダイジェスト映像ではあるがご覧いただける。副音声では、さかんに宏美さんが「ヨシリンの歌い方がぶりっ子。私もやってみようかな」と言う点に終始している。😊

 

 

 新型コロナの感染拡大状況が心配だが、来月13日には、富士市でお二人のジョイント・コンサートが開催される予定である。「にがい涙」はもちろんだが、この「ごめんねDarling」の再演も密かに期待してしまう私である。

 

(2008.9.24 DVD/Blu-ray 岩崎宏美・岩崎良美『Precious Night』収録)