ショパン コンクールが終わってしまった。私の中では、オリンピックが終わったような淋しさを感じている。寝不足になりながら、世界の若き才能たちがひしめく中、ロマンティックかつエネルギッシュな演奏を毎晩楽しんでいたから。激戦だったファイナルで、特に私の琴線に触れたコンチェルトの演奏は、反田さんの1番とヒョク・リー君の2番。目頭が熱くなり、思わずスマホの前で拍手した(笑)。

 

 当たり前と言えば当たり前だが、これが新聞の見出しに要約されると「ショパン コンクール、反田さん2位、小林さん4位」。今回、入賞した反田さん小林さんはもちろん、牛田くんをはじめ多くの日本の方が素晴らしい演奏をされたし、その健闘を心から称えたい。だがその一方で、オリンピックやカンヌ映画祭、ノーベル賞などと同様に、多くの報道や人々の関心が「受賞した日本人」一辺倒になるのが何となく淋しいと感じてしまうのだ。そんな私はやはり変わり者だろうか。

 

ありがとう、ショパン コンクール!

 

 さて、昨日はわれわれ夫婦の結婚記念日であった。🥰平日だったので、お祝いは改めて今回家族4人でしよう、ということになっている。家族として積み重ねて来た歳月、その結果今ここにあるささやかな幸せ。そんなことを思って、今日は『Thanks』の2曲目に入っている「心に咲く花」を取り上げたい。

 

 作詞:Rina、作曲:indigo blue、編曲はわれらが古ちゃんこと古川昌義さん。Rinaさんはindigo blueのメインボーカル、アコギ、作詞担当ということなので、この曲は indigo blue のお二人による作詞・作曲と考えてよいだろう。indigo blue は宏美さんと同じインペリアル・レコード所属の男女2人組のユニット。男性の相方はKouさんで、コーラス、アコギ、編曲担当だ。

 

 恥ずかしながらindigo blue の曲を聴いたことがなかったので、YouTubeで何曲か聴いてみた。Rinaさんのボーカルはなかなかに味がある。「みんなのうた」に採用されたという「パパとるすばん」を皆さんにもご紹介しておこう。

 

 

 『Happiness』に収録されている「手紙」「ひととき」の頃から、何気ない日常の幸せ、いつも当たり前に側にいる人への感謝などをよく題材にするようになった宏美さん。その流れが全開になったのがこのアルバム『Thanks』だ。この「心に咲く花」も、共に歩んだ幾年を振り返りつつ、笑顔でいつも側にいてくれる人への感謝を伝え、これからも心に咲く愛の花を大切にして進んでいこう、という温かな内容である。

 

 ギターのストロークが心地よい、ややフォーク調のアレンジ。キャッチーで覚えやすいメロディー。スーッといつの間にか心に沁み入ってきて自然に口ずさんでいる、そんな歌である。indigo blue の Rina さんも、コーラスで参加してくれている。

 

 キーはGメジャー、ABC×2+C’C”コーダという形をしている。ツーコーラス終わった後は、リフレインのCパートが少しずつ形を変えながら繰り返される。そしてコーダは「♪ ずっとふたりで Ah- いつまでも」の太字にした僅かな部分だけである。突如8分の3拍子になり、ガラッとトーンが変わる。なかなか心憎い作りである。

 

 

 肝腎な宏美さんの歌声についてである。このアルバムは、全体に落ち着いた柔らかな大人のトーンが中心に支配している。だがこの曲に限っては、年月を重ねても変わらない愛する人に対するときめきを表現するかのように、明るく若やいだ声で歌われているのだ。太川陽介さんの言われた「パンと表に出る声」だ。聴いているわれわれまでも一緒に幸せにしてくれる宏美さんのハッピーボイスである。😍

 

(2009.5.20 アルバム『Thanks』収録)