4thアルバム『ウィズ・ベスト・フレンズ』の最後に爽やかな印象を残す名曲。作詞:中山大三郎、作曲:うすいよしのり、編曲:田辺信一。中山さんは「思い出さないで」の作詞・作曲者である。デビュー5周年記念アルバム『宏美』にも収録されている。

 

 

 アルバム『ウィズ・ベスト・フレンズ』は、宏美さんの高校卒業を機に企画されたと言い、学生風の雰囲気を湛えた曲が散見する。曲調もそれに合わせてか、フォーク調のものが目立つ。この曲のイントロのギターもそれっぽく、「♪ いのーちーかけてとー」と歌い出したとしても全く違和感がない(笑)。

 

 もちろん、それに弦楽器・管楽器が加わって、アルバムのラストを締めくくるに相応しいスケールのアレンジにはなっている。眞峯隆義氏も指摘した通り、別離の悲しみをいつまでも引きずるというよりも、あくまで前を向いて歩いて行くという明るさが、曲調からも宏美さんの歌唱からも窺える。

 

 また、その失恋の痛手から立ち直って行く時間的経過を、中山さんの詞が見事に表現している。中でも「一日一度だけ」の言葉の使い方が巧い。1コーラス目は「♪ 日暮れから夜明けまで/泣くだけでいいの」という、夜通し泣き明かす悲痛な悲しみである。2コーラス目は、回数は同じく「一日一度だけ」泣いているが、「♪ 少しづつかなしみは/うすれゆくみたい」と歌う。そして、3コーラス目には「♪ 一日一度だけ おもいだしてます」と、トーンダウンするのだ。

 

 この曲が、1978年に放映されたNHK『ビッグショー〜19才と別れる秋に』のラストを飾ったことは、古くからのファンの方なら、よくご存知であろう。レコードリリース時点よりも1年以上経過していたこともあり、歌詞を変えて歌われたこともすでにご案内のことと思う。もう一つ個人的に気になるのは、エンディングである。

 

 

 「半音上がって盛り上がる宏美さんの歌ベスト20❣️」のブログで、ベスト3入りを果たした(と言うか私がそうしただけだが😅💦)ように、オリジナルは2回半音上がった後は、リピート&フェイドアウトになっている。ところがこの『ビッグショー』バージョンでは、「♪ さよーならー(GG-GG-)」と延ばした後、一拍休みが入り「じーゆーうーへ〜(A-B♭-C-B♭〜)」と、「自由」の3音節に四分音符を割り当ててテヌートをかけ、フィナーレを演出しているのだ。

 

 これは、『ビッグショー』だけのことだったのか、それとも当時コンサート等ではいつもこのようなエンディングだったのか、気になるところだ。先輩諸兄、もしご存知でしたら是非ご教示ください。

 

 また、2005年に作詞者の中山大三郎さんが亡くなられた折り、特集番組に宏美さんが出演されて、この「さよなら そして自由へ」を披露された。ところが繰り返し観ることなくDVDに焼いて放置していたら、今回チェックしようとしたところ、残念ながら再生不能になっていた。エンディングもどうだったのか記憶にない。併せて情報をお願いします。

 

 とまれ、この歌を高らかに謳い上げて10代に別れを告げ、宏美さんは新たなる自由への道に一歩踏み出したのだ。自由への道は、時に茨の道であることも、当時の宏美さんの視界には、まだ捉えられていなかったであろうか。

 

(1977.5.25 アルバム『ウィズ・ベスト・フレンズ』収録)

 

P.S.jimlaker3さんから情報提供がありました。中山大三郎さんの追悼番組は、Youtubeに上がっていました。サイズは2コーラス目カット、半音上がるのは1度だけで2度目はカット。エンディングはごく普通でしたね。

 

 

 jimlaker3さん、ありがとうございました❣️