北陸鉄道8902編成 | 酔いどれパパのブログ

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過日、石川県で懐かしい電車と再会。


所用で訪れた金沢では、北陸新幹線ホームと駅前のエアライン系ホテルの往復のみで、茶屋街散策や片町での飲食はおろか、近江町市場で回転寿司をつまむ余裕もなかった。


ホテルでは北陸食材をふんだんに使ったコース料理をいただきながら日本酒やワインを楽しんだが、市内移動距離1キロ未満で帰京するのは虚し過ぎる。


そこで、若干の早起きをして、久々に北陸鉄道浅野川線を往復し、金沢の地元感を味わうことにした。


北陸鉄道はかつて、金沢を中心に石川県内各地に路線を展開していたが、現在残るのは2路線のみで、そのうち浅野川線は全線距離わずか6.8キロのミニ路線。


金沢駅前の地下にある北鉄金沢駅に向かうと、東京メトロ日比谷線から転じた03系が発車を待っている。

日比谷線を引退した03系は、北陸鉄道以外にも譲渡されており、4月には長野電鉄で須坂の遠藤酒造場を訪れた際にも世話になった。
8両編成から2両編成にスリム化された浅野川線の03系は、北鉄金沢駅をあとにするとすぐに地上に出て、市街地に敷かれた単線を進む。

終点の内灘までの11駅を17分で結ぶので、1分ほど走っては駅に停まりすぐに発車を繰り返す。

6駅目の三ツ屋で北鉄金沢行きの列車と行き違うが、そちらは03系ではなく京王電鉄井の頭線から四半世紀前に金沢に輿入れした8000系の8902編成。(撮影場所は内灘駅)
浅野川線は2編成の電車が三ツ屋ですれ違いながら北鉄金沢~内灘間を行ったり来たりしているので、帰りは8902編成を選ぼうと考えながら、03系でそのまま内灘を目指す。

蚊爪(かがつめ)という不思議な名前の駅を出ると、水面から線路踏面までの高さが電車の背丈より低いと思われる大野川橋梁を渡り、すぐに粟ヶ崎に停車。
三ツ屋以外の途中駅は片側1面のホームが電車の全長プラス数メートルしかなく、ホーム端を時速15キロほどの低速で進入する。

粟ヶ崎を出ると、横に沿う道路を進むクルマと併走し、約2分で終点の内灘到着。
内灘駅頭に立つのは約8年ぶりで、前回はもう一つの路線である石川線を乗り終えた後、北陸鉄道完乗を果たすため知人のTさんと訪れた。石川線完乗時の模様はこちら。 

隣接する車両基地には、今回会いたいと思っていた8000系の片開き扉車8801編成が休んでいる。(公道上から撮影)

8000系の種車である元京王(帝都)電鉄井の頭線3000系は5両編成が29本造られ、井の頭線から引退後は北陸鉄道をはじめとする各地の鉄道会社で第2の人生を送っているが、片開き扉を持つのは北陸鉄道に残るこの1本のみ。

しかも、4月には北陸鉄道創業80周年を記念して、北陸鉄道移籍時に塗られたオレンジから井の頭線時代のブルーグリーンにカラーを改めており、当時を知る身には懐かしい。

残念ながら今日は運用に入らないようだが、会うことができただけでも早起きした甲斐がある。

浅野川線の主力として5編成が活躍してきた8000系も03系への置き換えが進んでおり、残るのは先ほど三ツ屋ですれ違ったオレンジ色の8902編成と片開き扉の8801編成のみ。

群馬県の上毛電鉄や愛媛県の伊予鉄道などでは、まだしばらく元京王3000系の活躍が見られそうだが、北陸鉄道で会うのはこれが最後になりそうなので、浅野川線の象徴的な場所まで出向いて撮影。
先ほど03系で渡った大野川橋梁を進む8902編成を眺めながら、予報が外れて雨が降らなかったことに感謝。
内灘駅に戻ると、03系と8000系が交互に並んでおり、世代交代が進んでいることを再認識。
北鉄金沢までの帰りは予定通りオレンジの8902編成で。

片開き扉をホーム側から眺め直し、北鉄金沢行きに乗り込む。
幼稚園の頃から何度も乗った井の頭線元3000系の面影が色濃く残る8902編成の雰囲気を味わいながら、北鉄金沢までの17分を楽しんだ。


※8902編成は7月16日で運行を終了することが6月15日に北陸鉄道から発表されました。

おわり