大甚 錦店 | 酔いどれパパのブログ

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「お風呂」と「酒」と「路線バス」に関する駄文を書き連ねております。

過日、名古屋で一杯。


名古屋でご活躍の呑み仲間Aさんと待ち合わせたのは、繁華街の錦にある「大甚(だいじん)錦店」。

大甚は、錦からほど近い伏見に本店を構える明治40年創業の名古屋を代表する大衆居酒屋で、今まで何度も本店を訪れているが錦店で呑るのは初めて。

錦店は大甚の直営ではなく、名古屋で19店舗の飲食店を展開する企業が運営しているそうで、大甚の伝統を受け継ぎつつ、カジュアルさを兼ね備えた雰囲気の店内に仕上がっている。

Aさんとともに入店し、案内された入口脇のテーブル席に腰掛けて、半年ぶりの再会を祝い瓶ビールで乾杯。

瓶ビールは大手各メーカーのものが用意されており、店の雰囲気からすると通称「赤星」ことサッポロラガーが似合いそうだが、名古屋に来ると条件反射的にキリンを呑みたくなるので、キリンラガークラシックの苦みを味わう。

肴は本店と同じく、店の中ほどにズラリと並ぶ小鉢の中からお好みを選んで自席に持っていき、どて煮や刺身は店員さんにオーダーするシステム。

私が先に席を立ち、イカと野菜のマリネなど軽めの小鉢2つを手に、どて煮と刺身を店員さんに注文して席に戻る。

Aさんもお好みの肴を選んで戻られ、かつて東京でともに巡った居酒屋の話に花が咲く。

そんな中、いくつかの店名を思い出すことができず悩んでいると、Aさんが「Oさん(私のこと)でも思い出せなくなるんですね。安心しました」とおっしゃり何だか嬉しくなる。

50歳を来年に控え、思い出せないことや思い出したくない過去が増えていくが、最近は忘却の味わいを受け入れながら吞めるようになってきた。

Aさんには東京でも数々の居酒屋を教えていただいており、この大甚錦店もAさんに案内していただくまで知らなかったが、かつて訪れた店の名前やメニューなどをいい具合に忘れながら、これからも一緒に吞んでもらえたら嬉しいと思う。

ビールは大瓶2本が空いて、私は熱燗の大、Aさんはお好みのドリンク(何だったか忘れました。失礼)を注文。熱燗は大甚本店と同じく広島は賀茂鶴の樽酒でじんわり沁みる。

熱燗をやっていると、Aさんのご出身地である愛知県岡崎市の名物居酒屋「つか本」の話が出て、懐かしい思い出がよみがえる。

「つか本」を初めて訪れたのは2016年12月。電車で何度も通過したことのある岡崎に40歳を過ぎて初めて降り立ったのもAさんと知り合ったのがきっかけのようなもので、その後もAさんと丸石醸造さんを訪れたり、「つか本」リニューアル後に独り一杯傾けたりした。

  


今は「東海オンエア」や「どうする家康」で岡崎の知名度が爆上がりだが、繰り返し訪れたくなるよい街で、ブームによる賑わいが落ち着きをみせたら「孝の司」を醸す柴田酒造場訪問を兼ねてまた行きたいと思っている。

今回は大甚錦店に入るまで食欲も酒欲もあまりなかったので軽めに一杯と考えていたのだが、程よいペースで酒と肴をいただきながらAさんとの会話を楽しんでいると、生まれ変わったかのように心と体が軽くなった。

やはり気心知れた仲間とゆっくり呑む酒はいいなぁ、という当たり前を確認した大甚錦店の夜はあっという間に閉店時間を迎え、地下鉄の入口でAさんを見送った。