先日の上田ぶらぶらで見かけたバスの話題をいくつか。
街を歩いて最初に出会ったのは、上田バスの中型路線車日野レインボーII。
上田のヒーロー真田氏を象徴する赤備えを連想させるカラーに身をまとい、真田の家紋である六文銭を前面と側面に控え目に記している。
六文銭(六連銭)は「三途の川の渡し賃」と同じであることから、真田氏の死をも恐れぬ戦への意志を表すというような解釈が一般に流布されており、私もそう思っていたが、仏教の説くところの六道にそれぞれいらっしゃるお地蔵さまへのお供えのため六文銭を棺に入れる風習があるというのを今回初めて知った。
上田の街は六文銭のサインやデザインにあふれ、理由を知らない海外からの旅行客が、新種のQRコードと間違うのではないかと下らない懸念が脳裏をよぎる。
まぁたしかに、真田の武士の兜に掲げられた六文銭は、討ち死にを果たした時の事前決済のようなものだし、と勝手に巡り始めた己の不謹慎な想像に気づき背筋に冷たいものを覚える。


上田バスの赤備えでも、最近のクルマには六文銭は描かれていないようで、少し残念。

上田駅に出入りするのは中型バスがメインで千曲バスのクルマもこんな感じ。

街なかでバスの写真を撮ろうとすると、通行人の映り込みを避けるのに苦労するのが常だが、上田ではそうした面倒はなく中心市街地の空洞化を感じる。

こちらは日野ポンチョにオリジナルの顔を施した元「ぐるっと循環バス 上田丸」用車両。
上田丸は、2015年に運行を開始し、翌2016年に放映された大河ドラマ「真田丸」ブームで上田を訪れる観光客の輸送に当たったが、2019年12月に運行を休止し、2021年に廃止となっている。
運行主体の上田市は休廃止の理由について「運行委託先の千曲バスの深刻な乗務員不足」を挙げており、大河ドラマに影響を受ける移り気な観光客よりも、地元住民の足の確保を優先した判断がうかがえる。
上田では現在、市街地を8の字状に巡る循環バスが運行され、走行方向によって「赤バス」「青バス」と名づけられている。
元上田丸の車両も上田バスに移籍の上、市街地循環バスに充当され地域住民を中心とした移動の足を支えているようだ。

こちらは市街地循環バスのレギュラー車両のうちの1台として活躍する三菱ローザで、小さく六文銭のマークが入っており、この日はボディーカラーとは異なる「青バス」に運用されていた。