SANA VS SAMSON:10
「もういい加減に、他人の記憶から解放されて闘いたいものだわ」
強く踏み込み、片足を軸に一回転するようにサナは蹴りを放つ。
「まったくだよ。迷惑さ」
サムソンはサナによって破壊され、最早ガラクタとなり、留め金とバンドがたれ下がった状態の心臓部のプロテクターに気付いて、残りの部品を引き千切って放った。
蹴りはガードする。力強い一撃だが、やはり女の力だ。
それはサナもわかっているのだろう。
彼女の最終極技は”氣”による「何か」であろうが、ここでは体術を競いたいのだろう。
サナの肋骨は軽く二本は折れたはずだ。やや動きは鈍くなったが、それでも並の武術家よりは遥かに優れた動きを見せる。
「わたしたちは同じ考えをもっているのにやってることってまるで殺し合いね」
サムソンはその言葉を胸に染み込ませながら
ついに自らも”氣”を練り始めた。サナのように自分以外のものに”氣”を伝える高度なことはできない。
そのかわり、自分の筋肉・身体能力を極限まで高める。
掌打も蹴りも威力は数倍になる。
勝つためにはサナに直接攻撃を加える必要がある。
達人のこの女がそうそう簡単に、次の攻撃をヒットさせてはくれないだろうとわかる。
それでもやる必要はある。
勝つためにはそれしかない。
空には今は雷雲に隠れた月、そして雷。この闘技場そのものであれサナは利用するだろう。
今サムソンが恐れていることがあるとすれば、”太陽”。
もしサナが太陽の力まで取り入れることができるのなら、そう考えるとさすがにぞっとする。
体術戦を望んでくる今がチャンスか?
しかし・・・・・・。
もしこのまま朝がきてしまったら?
ひとつだけ
宝物は手に収まるだけのもので満足なさい
溢れたものを拾い上げるとき もっと大切なものを落としてしまいますからね
どちら?
と尋ねられたら インスピレーションで ”これ!”
そう選んでみて 正解は最初から決まっていないんです
その宝物を光らせることができるかは
あなた次第です
もっとすごい宝物を手にしたら?
前のものは手放しなさい
人は一度に二つのものは背負いきれない
ローレンスの記憶:2 統治者ロバートを守るべし
今は昔の天才 ”博識のローレンス”。
サムソンがまだ彼の記憶に縛られているのでもう少し。。。。。。
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ローレンスは天才だった
そしてエヴァンが残した血文字”TU FUI, EGO ERIS それが答え 魔力のある者が唱えれば・・・・”
ローレンスの頭脳は天才的だが、彼は生まれつき”魔力”をもっていなかった。
だから、その謎が解明されても、呪文を発動することができず、ダイナマイトを使い続けた。どんな理由も通じないが、あえて言うならそれが彼の戦い方。
やがてわかる。
今のリースロット大陸でアダムという統治者に生まれ変わったロバートは、先代の命令で読み書きを学ぶことができなかったが、生まれついての天才的魔法使いだった。
その魔力は凄まじい。
いずれ破滅の呪文を唱えることのないように、という先代の親心ではあったが、それが様々な悲劇を生んだ。
”終生、なにがあってもロバートを守れ”
ローレンスはそのような使命を受けていた。
だから主(あるじ)のためならなんでもした。
自分の心を破壊しても、やがてその身すら爆風に吹き飛ばされ、ひとかけらの生きた証すら残せなくても。
それを知ったロバートはすべての罰を受ける誓いをたてる。
だからロバートは*アダムとなって半永久的に人々を救う道を選んだ。
1,500年昔のことである。
*統治者となった者は男性であればアダム、女性であればミリアムというリースロットの神の啓示がある。

