今夜のディナーは馴染みのフレンチで、ブラッスリー ポール・ボキューズ 銀座 2 | ワインは素敵な恋の道しるべ

ワインは素敵な恋の道しるべ

白ワインは天使の如く貴方の心を解き放ち、赤ワインの真紅のグラスの底には悪魔が潜む。そして貴方は天使の如く大胆に、悪魔の如く繊細に、新たな恋の道を歩み始める。

今月のこと、彼女と銀座の馴染みのフレンチ、『ブラッスリー ポール・ボキューズ 銀座』で過ごす楽しい夜の続き。

 

ポワソンに合わせるワインは、人気の造り手の白。
ジェラール・ベルトランがラングドック・ルーション地区で造る、シャトー・ロスピタレ、ラ・クラープ、グラン・ヴァン・ブラン、2020年。
 
ジェラール・ベルトランは人気の造り手で、元フランス代表のラグビー選手の経歴を持つ。
今や14のドメーヌを所有し、ラングドック・ルーション地区にある6つのドメーヌはビオディナミに転換済み。
シャトー・ロスピタレは、ジェラール・ベルトランのフラッグシップと言えるワイン。
「ジェラール・ベルトランには一度お会いしたね」と私。
「覚えていない」と彼女。
「フランス大使公邸でのパーティーの時に来られていたワイン醸造家がジェラール・ベルトランだよ」。
「えぇっ、そんなに有名な人ならもっとお話しすればよかった」。
 
熟したオレンジや洋梨、ハーブの香り。
力強い果実味、豊富なミネラル、スパイスやトーストのニュアンスを持ち、余韻は長い。
セパージュは、グルナッシュ・ブラン50%、ブールブーラン40%、ヴェルメンティーノ10%。
アペラシオンがラ・クラープだけあり、ブールブーランが多く使われている。
ぶどう栽培はビオディナミで、バックラベルにはビオディナミ認証のデメテールとオーガニック認証のユーロリーフが付いている。
 

パンが届く。

星野シェフの時はバゲットだったが、鈴木シェフに交代し、プティブールになった。

 

ポワソンは、高知県産イトヨリのバプール、白ワインソース。

 

イトヨリダイの特徴である黄色い線が綺麗に見えている。

鯛の名が付いているが、鯛ではなく鱸の仲間。

ふわっと柔らかな白身にブールブランソースが良く合う。

 

緑はプティポワのピューレ、赤い野菜は赤キャベツのスプラウト。

 

アンチョビソースとトマトのタルト。

手で摘まんでいただく。

 

白ワイン二種の並行飲みも楽しい。

右は、シャトー・ロスピタレ、ラ・クラープ、グラン・ヴァン・ブラン、2020年。

 

左は、ドメーヌ・ド・シャトノワ、クレマン、ムヌトゥー・サロン・ブラン、2021年。

ぶどうは、ソーヴィニヨン・ブラン。

 

ヴィアンドに合わせ、赤ワインが出される。

今日の肉料理に合わせて竹内支配人が熟慮の末に選んだワインは、ドメーヌ・アルロー、ブルゴーニュ・パストゥグラン、2020年。

 

ドメーヌ・アルローは、モレ・サン・ドニのトップ生産者の一人で、三代目の現当主、シプリアン・アルローは100年に一人の逸材と評される醸造家。

 

華やかな赤系果実の香り。

パストゥグランとは思えないほどの果実の凝縮感と熟成感を持ち、しっかりとした酸とタンニンも心地よい。

これは今まで飲んだ中で最高のパストゥグランだ。

セパージュは、ピノ・ノワール50%、ガメイ50%、熟成は樽で14ヶ月。

モレ・サン・ドニとシャンボール・ミュジニィの樹齢30年のぶどうを使用。

ぶどう栽培はビオディナミで、バックラベルにはビオディナミ認証のビオディヴァンとオーガニック認証のユーロリーフが付いている。

 

ヴィアンド用に、二個目のプティブール。

 

ハンガリー産マグレ・ド・カナールのロティ、アピシウスソース。

何時もはフランス産なのだが、今夜は何故かハンガリー産。

 

鴨の焼き色が素晴らしい。

鴨のアピシウスソースは、17世紀ローマの美食家アピシウスが愛したと言われる料理。

オレンジはニンジンのピューレ。

 

『ブラッスリー ポール・ボキューズ 銀座』の先代シェフ、現在の『ジャルダン ポール・ボキューズ』のシェフ、星野さんの鴨肉のソース・アピシウスのYouTubeがあるので貼り付けておく。

 

 

付け合わせは、ジャガイモのガレット、スティックセニョール。

 

マグレ・ド・カナールのソース・アピシウスは最高に美味しく、ドメーヌ・アルローの濃厚なパストゥグランが良く合う。

 

今夜のデセールは、フォンダンショコラとキャラメルのアイスクリーム。

 

熱々のフォンダンショコラは大好物。

 

切り分けると、チョコレートソースがとろけ出てくる。

 

熱いフォンダンショコラに冷たいキャラメルのアイスクリームは素晴らしい組み合わせ。

 

濃いコーヒーで今夜を締めくくる。

 

気が付くと、広い店内はほぼ満席。

やはりレストランは活気がある方が楽しい。

 

竹内支配人に見送られ、満腹満足で店をあとにする。

 

外堀通りを数寄屋橋交差点に向かって歩く。

振り向くと、「マロニエゲート銀座1」はひと際背が高いので、先ほどまで食事をしていたレストランの窓が見える。

 

ここまで歩いてきた訳は、数寄屋橋公園の桜を見るため。

 

公園と呼ぶには狭すぎて、歩道の植え込みと言った方が良い場所だが、何本かある桜の樹は満開となっている。

彼女と過ごす、日本橋でのお花見と銀座の馴染みのフレンチでのディナーの楽しい夜でした。