3月のこと、日本橋のリストランテ、『代官山ASO チェレステ日本橋』で彼女と過ごす、素敵な夜の続き。
セコンドピアットに合わせるワインは、大友支配人が私のために特別なワインを抜栓してくれた。
ピエモンテ州のラ・トラヴァ、バローロ、2017年。
初めて飲む造り手のバローロで、輸入会社のH.P.にも情報が無い。
7年余りの熟成を経て、果実の凝縮感、熟成感が素晴らしい。
黒い土、錆びた鉄、シガーのニュアンスを持ち、余韻も長い。
伝統的な造りの、素晴らしいネッビオーロだ。
ワイングラスを透過した光が美しい像を結ぶ。
グラスは、ドイツ、バイエルンのツヴィーゼル・クリスタルグラス社が作る、ショット・ツヴィーゼル。
セコンド・ピアットは、はなが牛のタリアータ、ブラッドオレンジのソース、旬の野菜を添えて。
今夜のコース料理のテーマは愛媛県の食材。
はなが牛もブラッドオレンジも愛媛県産。
焼き色が食欲を誘う。
はなが牛は、愛媛県西予市の歯長峠の自然豊かな牧場で育てられたブランド牛で、米、稲藁、米糠などを飼料とすることにより、旨味が強く、必要以上にサシが入っていない肉質が特徴。
付け合わせの野菜は、プチヴェール、セルバチコ、大根、ジャガイモ、赤蕪。
プチヴェールは、芽キャベツとケールの交配種。
牛肉にバローロが良く合って美味い。
肉に合わせ、黒オリーブのフォカッチャを追加。
ドルチェが届く。
はるかのムース、ミントでマリネした紅まどかとブラッドオレンジ、アールグレイのジェラート。
スプーンは漆塗りの木製。
アールグレイのジェラートが乗ったチョコレートの蓋に、熱々のチョコレートソースがかけられる。
チョコレートの蓋が溶け、ジェラートはグラスの中へ吸い込まれる。
はるかは、日向夏の偶発交雑種で、遺伝解析で日向夏が種子親、夏蜜柑が花粉親であることが判明している。
アールグレイと柑橘の香りのハーモニーが素晴らしい。
紅まどかは、台湾産の麻豆文旦と長崎県の平戸文旦を交配して作られた早熟の文旦。
スプーンで掬う場所によって異なる様々な味を楽しむことができる。
食後は熱いコーヒー。
飲み終えるとお代わりをもらい、ゆっくりお話ししながら食事の余韻を楽しむ。
ミニャルディーズは四種。
お腹はいっぱいでも、スイーツは別腹。
今夜の菊池シェフの料理も、そして大友支配人が選んでくれたペアリング・ワインも素晴らしかった。
大友支配人とは長いお付き合い。
彼のお陰で寛いで美味しい料理とワインを楽しむことが出来る。
記念撮影をし、満ち足りた思いで店をあとにする。
エレベーターのドアが閉まるまで、大友さんは店の前に立って見送ってくれた。
日本橋三越本店新館を出ると、小雨。
暖かい夜なので、大手町まで外を歩くことにする。
常盤橋を渡り振り返ると、常盤橋公園、日本銀行本店越しに、日本橋のビル群が明るく輝く。
彼女と過ごす、日本橋の素敵な夜でした。