3月のこと、日本橋のリストランテ、『代官山ASO チェレステ日本橋』で彼女と過ごす、素敵な夜の続き。
飲んでいるシャンパーニュは、イヴ・ジャック、ラ・キュヴェ・セレクション、ブラン・ド・ブラン。
シャンパーニュを合わせるストゥッツィーノは三種盛り。
フランス産フォアグラのムース。
ブレザオラと金柑。
松葉ガニと黒トリュフのクロケット。
濃厚な蟹味噌のソース。
アンティパストに合わせるのは、アルザスの白。
ドメーヌ・アンリ・フックス・エ・フィス、リボーヴィレ、リースリング、イクイノックス、2022年。
アルザスで1922年から続く家族経営のドメーヌで、現当主は4代目。
イクイノックスは昼夜平分時(春分、秋分)のことで、ワインの果実味、酸、アルコールの完璧なバランスを昼夜平分になぞらえたもの。
ラベルにも昼と夜の間を綱渡りする人が描かれている。
Qの文字には家名Fuchs=狐が描かれている。
地元リボーヴィレの特別に優良な0.5haの区画のリースリングを使ったワイン。
平均樹齢は50年、栽培はビオロジック。
ステンレスタンクで5ヶ月間熟成後、更にフードル(大型のオーク樽)で4ヶ月間熟成。
豊かな果実味、活き活きとした酸、強いミネラルを持つ、まさにバランスに優れた辛口のリースリングだ。
このワインはアルザスの三ツ星レストラン、『オーベルジュ・ド・リル』にオン・リストされている。
桜の葉でマリネした真鯛のカルパッチョ、八朔のラヴィゴットソース、旬の野菜と八朔のサラダ。
春らしい華やかな料理。
今日のコース料理のテーマは愛媛県の食材。
真鯛も八朔も愛媛県産。
白と赤の野菜は、イタリアの野菜の王様と言われるトレヴィーゾ・タルティーボという、レッドチコリの仲間。
茶色は菊池シェフお手製の醬油ベースのクランブル。
春の苦みや酸味を感じる料理に、アルザスの辛口のリースリングが良く合う。
焼き立てのフォカッチャが届く。
彼女は黒オリーブのフォカッチャを二個。
私は黒オリーブとプレーンを選ぶ。
このフォカッチャが美味い。
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プリモピアットに合わせるワインは、イタリアの白。
ピエモンテ州のカンティーナ・ロダーリの、ロダーリ、ランゲ、シャルドネ、2022年。
1939年にランゲで創業したカンティーナのようだが、情報が殆ど無い。
ラインナップのメインは、バローロ、バルバレスコやドルチェットのようだ。
完熟した洋梨やピーチの香り、濃厚な果実味と強いミネラルが程よくバランスし、強いボディを形成。
アルコール度数も14%と高い。
ぶどうは手摘みで収穫され、発酵・熟成はステンレスタンク。
プリモピアットは、愛媛甘とろ豚の自家製ハムとラグー、タリオリーニに絡めて、ペコリーノチーズの香り。
ハムもパスタも菊池シェフお手製。
このヴィジュアルが独創的。
愛媛甘とろ豚は、愛媛県産の裸麦で育てられ、オレイン酸含有量が高く、脂肪融点が36℃と低くて口溶けの良い高級豚。
パスタにはドライトマトとズッキーニ。
濃厚な味わいのパスタ料理に強いボディのシャルドネが美味い。
彼女と過ごす、日本橋の素敵な夜は続きます。