昨年9月のある休日、ちぃさんと丸の内のフレンチ、『サンス・エ・サヴール』で過ごす素敵な午後の続き。
ここはフランス、モンペリエのミシュラン星付きレストラン、『ル・ジャルダン・デ・サンス』の東京店。
オーナーシェフの双子のジャック&ローラン・プルセル兄弟は、1988年に23歳の若さで『ル・ジャルダン・デ・サンス』を開店し、僅か10年後に最年少(当時)でミシュラン三ツ星を獲得した天才料理人。
シャンパーニュ、白ワインの次は、持ち込んだ赤ワインを飲むことにする。
ボディが強いワインなので、ここに着いたあとすぐに抜栓しておいてもらった。
ウルグアイのボデガ・ガルソンが造る、ガルソン、シングル・ヴィンヤード、タナ、2020年。
実はこのワイン、ちぃさんから以前プレゼントでいただいたもの。
南アメリカ大陸のワイン用ぶどうはフランスのぶどうがフィロキセラで壊滅的打撃を受ける前に移植されたもので、オリジナルのぶどうが今も維持されている。
アルゼンチンのマルベック、チリのカベルネ・ソーヴィニヨンと並び、ウルグアイの国を代表する黒ぶどうが、タナ。
タナはフランス、スッドウエストのマディランの地ぶどうで、私はマディランの帝王、アラン・ブリュモンのシャトー・モンテュスが好きでよく飲んでいる。
ちぃさんと乾杯。
少し紫を帯びたガーネット。
熟したカシス、プラム、そしてブラックペッパーの香り。
濃厚な果実の凝縮感を持つが、タンニンはマイルド。
タナの語源はタンニン。
タナのワインはタンニンが強く時として重過ぎるワインとなるが、このタナはとても洗練されている。
ぶどうはタナ100%、熟成はフレンチオークの樽で12ヶ月以上。
二つ目のパンが出される。
日本ではパンは温めて出されるが、フランスではパンは二度焼きはしないので、レストランで出されるパンは冷たい。
邪道かもしれないが、フランスでも温めたパンを食べたいと何時も思ってしまう。
ポワソンが届く。
福井県産鰆、越喜来産ムール貝のデュクセル、ブイヨンサフラン。
越喜来(おきらい)は岩手県の大船渡市三陸町の地名。
ブイヨンサフランで見えないが、鰆の下にはムール貝のデュクセル。
ブイヨンサフランの中には、大きなムール貝も。
ヴィアンドは、栃木県の霧降高原牛のロティ、根セロリとリンゴのピュレ、ソースマデラ。
ソースマデラにはトリュフともろみが加えられている。
白は、根セロリとリンゴのピュレ。
周りには、ベアルネーズソース、オレンジとアプリコットのピュレ。
綺麗なサシが入った肉は口の中でとろける美味しさ。
タナの最後の一杯を飲みながら話しが弾む。
ここで、金坂支配人からハピバケーキのプレゼント。
デセールをハピバ仕様にとお願いしていたが、まさかハピバケーキが届くとは思っていなかったので嬉しい驚き。
チュイルのデザインがとても細かい。
「お持ち帰りされますか」と金坂支配人。
「ここで食べます」と私。
金坂さんが記念写真を撮ってくれた。
コース料理のデセールも届き、カボスの皮が振りかけられる。
素晴らしい香り。
福島県産さくら、リ・オレ、ラベンダー。
さくらは福島のブランド白桃。
生の桃と桃のコンポートに加え、透明のシートも桃のエキス。
リ・オレはライスプディングのフランス語。
メレンゲとマカデミアナッツ、ラベンダーのエキュームが添えられている。
ハピバケーキが二つに切り分けられ、テーブルに届く。
カモミールと洋梨のケーキ。
チュイルも綺麗に二分割されている。
テーブル上が賑やかになった。
第二のデセールが届く。
青森県産黒すぐり、玉露、ヴァローナ社ジヴァレラクテ。
中には、生の黒すぐり。
青森県は日本一の黒すぐりの産地。
黒すぐりは、英語ではブラックカラント、フランス語ではカシス。
ヴァローナ社のチョコレート(ジヴァレラクテ)、ヨーグルトのアイス、福岡県八女の玉露、そして香川県小豆島のオリーブオイルが使われている。
”食後のやすらぎ”は二種。
長野県バティアス農園の鬼灯、”太陽の子”。
ショコラのブリオッシュ仕立て。
発酵アメリカンチェリージャム、ヴァローナ社のチョコレート(アラグアニ)、北海道江別市のアカシア蜂蜜。
食後はいっぱいになったお腹を熱いコーヒーが癒してくれる。
でも、コーヒーの写真が無い。
『サンス・エ・サヴール』のシェフは長年鴨田猛さんが務めてこられた。
その鴨田さんは2024年4月に独立し、水天宮/茅場町の近くにご自身のレストラン、『ル・ジャルダン・ド・カモ』を開業された。
鴨田さんからシェフを引き継いだのは、鈴木孝徳さん。
今回初めて鈴木シェフの料理を味わったが、素晴らしかった。
挨拶に来てくれた鈴木シェフと記念撮影。
気が付くと、食事を始めて三時間が経ち、私たちが最後の客となってしまった。
金坂支配人に見送られ、店を後にする。
ちぃさんと過ごす、丸の内の素敵な午後は続きます。