昨年9月のある休日、彼女と丸の内のフレンチ、『エスプリ・ド・タイユヴァン』で過ごす楽しい午後の続き。
『タイユヴァン』厳選のワインが並ぶセラーで選んだボトルを抜栓。
このワインはエノテカでは販売されていない。
『エスプリ・ド・タイユヴァン』のみで買うことができるワインなのだ。
ドメーヌ・ドミニク・ギヨン、ブルゴーニュ、オート・コート・ド・ニュイ、ルージュ、レ・ダム・ド・ヴェルジ、2020年。
オート・コート・ド・ニュイのワインは現当主のドミニク・ギヨンの名前で、それ以外のジュヴレ・シャンベルタンやムルソーなどは先代のアントナン・ギヨンの名前でリリースされている。
フランボワーズ、ダークチェリー、プラム、そしてバラやスミレの香り。
2020VTらしい果実の凝縮感、強くまろやかなタンニン、オーク樽、黒い土、落ち葉、錆びた鉄のニュアンスも。
しっかりとした骨格を持つ好きなタイプのブルピノ。
ぶどう栽培はビオロジック。
熟成は樽で18ヶ月、新樽比率は25%。
スープに続き、アントレが届く。
キャビアは塩分が強いので、このくらいの量が丁度良い。
パテ・ド・カンパーニュの前菜は好きだ。
温かいパンが届く。
ポワソンは、本日の鮮魚のポワレ、ソース・ヴェルモット。
前回来た時も不思議に思ったが、魚の置き方が左右で逆。
彼女が「背側が上になる方が好き」と言って魚を裏返す。
すると、裏面は良く焼けている。
「そうか。厚みのある切り身を焼き、それを切り分けて、腹身を右にして内側のピンクの面を上向きに盛り付けるので魚の向きが違うんだ」と私。
ミキュイのほんのりピンクの色合いが美しく、美味い。
今日の魚は、メダイ。
最大で80cmほどに成長する白身魚。
ヴィアンドは、ブフ・ブルギニョン、和牛ほほ肉の赤ワイン煮込み。
以前はメニューにブフ・ブルギニョンと記載されていたが、何時の頃からか、和牛ほほ肉の赤ワイン煮込みに表記が代った。
この肉のヴォリューム感が嬉しい。
彼女はここに10回くらいは来ているが、ヴィアンドはブフ・ブルギニョン以外食べたことがない。
赤ワインで煮込まれたほほ肉は口の中でとろける柔らかさ。
『エスプリ・ド・タイユヴァン』のブフ・ブルギニョンは旨い。
ブルゴーニュ料理にブルゴーニュワインは最高の組み合わせ。
デセールは、二人ともモンブラン。
普通のモンブランとは形状や作りが異なるが、マロンクリームが美味い。
ピノ・ノワールの最後の一杯を、彼女とお話ししながら味わう。
バイエルンのシュピゲラウのワイングラスを通してテーブルに投影された光の影が美しい。
食事の〆は熱いコーヒー。
ウォークイン・セラーとダイニングルームを仕切る壁には、タイユヴァン・コレクションのディスプレイ。
これらのボトルは透明の糸で固定されている。
今日の料理もワインも素晴らしかった。
彼女と過ごす、丸の内での楽しく美味しい午後でした。