4月のこと、銀座の馴染みのフレンチ、『ブラッスリー ポール・ボキューズ 銀座』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
今夜はシェフの特別コースを楽しんでいる。
ポワソンが届く。
リヨン風鱸の軽いクネル、オマール海老のポワレ、ソースアメリケーヌ。
皿を180℃回すと、オマール海老の後ろにクネルが隠れていた。
リヨンの名物料理のクネルは、リヨンではカワカマスが使われるが日本には生息しない魚なので、代わりに鱸が使われることが多い。
ポワソンに合わせるワインは、コルシカ島のドメーヌ・オレンガ・ド・ガッフォリーが造る、クロ・サン・キリコ、パトリモニオ、ロゼ、2020年。
ドメーヌ・オレンガ・ド・ガッフォリーは1974年にコルシカ島北部のワインの銘醸地、パトリモニオで創業し、現在では56haの畑を所有。
ぶどうは有機栽培で、オーガニック認証のユーロリーフとABマークが付いている。
オマール海老の存在感が大きい。
フランボワーズ、ストロベリーの香り。
フルーティーな果実味を持ちながら、しっかりとしたミネラルと酸がボディを引き締めた、洗練された辛口。
ぶどうは、ニエルッキオ80%、シャカレロ20%。
しっかりとしたボディのロゼが濃厚なアメリケーヌソースによく合う。
プリプリのオマール海老とフワフワのクネルを一皿で味わえる贅沢な逸品。
ヴィアンドに合わせる赤ワインは、ラングドック・ルーションのマス・ド・ドマス・ガサックが造る、ムーラン・ド・ガサック、テラ、2022年。
マス・ド・ドマス・ガサックは、ラングドック地域で最高峰と評される造り手だが、そのファースト・ヴィンテージは1978VTと新しい。
ぶどうは有機栽培で、オーガニック認証のユーロリーフとABマークが付いている。
ムーラン・ド・ガサックをヴィアンドに合わせる。
熟したカシス、プルーン、ダークチェリーの香り。
洗練された果実味、程よいタンニンと酸を持つ、エレガントなボディ。
ぶどうは、シラー、グルナッシュ、カリニャン。
ハンガリー産鴨ロースのロティ、ソース・オランジェ、グリーンアスパラガスとキノコのブリック包み。
鴨とソース・オランジェは王道の組み合わせ。
鴨の焼き色が素晴らしく、柔らかな肉には旨みが凝縮されている。
ブリックはチュニジア料理で、玉子やジャガイモを薄い小麦粉の皮で包んで揚げたもの。
ここではグリーンアスパラガスとキノコのソテーを包んで揚げている。
ソースは、ジュとオレンジのソース。
じゃがいものムースの上には、クルミオイル。
デセールは、フレッシュ苺のキルシュ風味、軽いバシュランとバニラアイスクリームと共に。
バシュランはサヴォワ地方発祥のスイーツで、メレンゲでフルーツとアイスクリームを挟んだスイーツ。
大好きなスイーツだ。
食後の〆は、濃いコーヒー。
カップをぐるっと回すと、”ポール・ボキューズ”の文字が現れる。
コーヒーを飲んでいると、星野シェフが『ポール・ボキューズ大丸東京』の鈴木シェフと共にテーブルに挨拶に来てくれた。
何故お二人で、と思ったら、星野シェフが金沢の『ジャルダン ポール・ボキューズ』のシェフに5月に異動となり、後任が鈴木シェフとのこと。
星野さんは『ジャルダン』のスー・シェフから『銀座』のシェフに来られた経歴を持つ。
『大丸東京』ではスー・シェフがシェフに昇格。
そして『ジャルダン』の現在の藤久シェフは、代官山の『メゾン ポール・ボキューズ』のシェフに就任。
『メゾン』の入砂シェフは退職し、独立されるとのこと。
大好きな星野シェフが金沢に行かれてしまい、もう一人の大好きな入砂シェフが独立されるという、大きな変化の春となってしまった。
在りし日のポール・ボキューズさんの写真にお休みの挨拶をし、店を出る。
星野シェフが見送りに来てくれたので、竹内支配人にお願いし、記念撮影。
揃ってボキューズ・ドールのトロフィーのポーズをとる。
今夜の料理もワインも素晴らしかった。
星野シェフに会いに、金沢旅行の計画を立てなければだ。
外堀通りを渡り振り返ると、「マロニエゲート銀座1」が明るく輝く。
数寄屋橋交差点までのんびり歩くことに。
目的は、小さな数寄屋橋公園。
ここの桜を見に来たのだ。
淡いピンク、濃いピンク、白の三色の桜が満開となっている。
ソメイヨシノも満開に近くなっている。
夜空に桜の花が美しい。
彼女と過ごす、銀座の楽しい夜でした。