3月のこと、ちぃさんと丸の内のフレンチ、『エリックス バイ エリック・トロション』で過ごす素敵な夜の続き。
ここは、M.O.F.、フランス国家最優秀職人賞受賞シェフ、エリック・トロション氏の東京店。
二本目のワインを抜栓する。
今夜はシャンパーニュ・ディナーだが、このワインはシャンパーニュではなくちょっと珍しいもの。
イギリスのガズボーン・エステートが造る、ガズボーン、ブリュット、リザーヴ、2019年。
ガズボーン・エステートは、2004年にイングランド南部ケント州のアップルドアに設立された新しいワイナリー。
その評価は高く、バッキンガム宮殿での国賓迎賓会や2012年のロンドンオリンピックの開会パーティで、そしてエリザベス女王のプラチナ・ジュビリー、チャールズ国王の戴冠式で公式サプライヤーを務めるなど、イギリスを代表するワイナリーとなっている。
イギリスのワインだけあり、取り扱いはベリー・ブラザーズ&ラッド。
このワインを飲むのは二度目だが、このミュズレも収集しておこう。
美しい黄金色。
レモンやライムの香り。
ファーストアタックはキリリと引き締まった辛口、そのあとに熟した洋梨や蜜入りリンゴの豊かな果実味が続き、後味にはトーストや炒ったナッツのニュアンス。
ぶどうは、ピノ・ムニエ56%、シャルドネ35%、ピノ・ノワール19%。
イギリスのワイナリーとしては珍しく100%自社畑のぶどうを用い、瓶内熟成期間は2年以上。
二皿目のアントレは、近江鴨、とちあいか、熟成バルサミコ。
近江鴨は、滋賀県のブランド合鴨。
鴨のテリーヌはピスタチオ入り。
ソースは、15年熟成のバルサミコ。
添えられているのは、とちあいか、アンディーブ、レッドソレル。
とちあいかは栃木県のブランド苺。
鴨のテリーヌとガズボーンがとても良く合い、グラスが進む。
今夜は飲み方がちょっと早すぎるようだ。
ガズボーンを二杯飲んだ後は、次のシャンパーニュを抜栓。
メゾン・コレリーが手掛ける、ジュール・ピエルロ、ブリュット、プルミエ・クリュ。
このワインに関する情報はあまり無い。
輸入元のアークセラーズのホームページでも情報は限られている。
初めて飲むシャンパーニュなので、ミュズレをコレクションに加えることにする。
熟した洋梨やプラムの香り。
口に含むと、強い果実の凝縮感と熟成感、後味にはスパイスのヒントも。
ぶどうの比率は不明だが、シャルドネをメインにピノ・ノワールとピノ・ムニエが加えられている。
ところで、ここのワイングラスは南ドイツ、バイエルンのシュピゲラウ。
シュピゲラウのワイングラスは薄く軽く口当たりが良い。
それでいて丈夫な優れものだ。
三皿目のアントレは、白子、白菜、柚子。
白子の上にはカダイフのフライ。
白子の下には白胡椒味の白菜。
ヴァプールされた白子は口の中でとろける美味しさ。
ソースは柚子ヴィネグレット。
ポワソンは、桜鯛のポワレ。
皮目はパリっと焼かれ、身はジューシー。
バターとほうれん草のソースが色鮮やか。
野菜は、菜の花、蕪、人参、蓮根。
美味しい白子と鯛のお陰でジュール・ピエルロのグラスを次々と重ねてしまう。
東京駅丸の内駅舎に明かりが点り、一層美しくなっている。
ちぃさんと過ごす、丸の内の素敵な夜は続きます。