3月のこと、彼女と日本橋のリストランテ、『代官山ASO チェレステ日本橋』で過ごす楽しい夜の続き。
菊池シェフの今夜の料理は、広島の食材を使ったフルコース。
セコンドピアットに合わせ、赤ワインが出される。
今夜のワインは、イタリア、フランス、イタリアと続き、最後はフランス。
オー・メドック、ムーリス・アン・メドックの、シャトー・ブリエット、クリュ・ブルジョア、2010年。
ムーリスは、マルゴーとサン・ジュリアンの間の、ジロンド川から離れた場所の7つの村で構成されている。
ムーリス・アン・メドックのワインは果実味が豊かで、力強い長期熟成タイプのものが多い。
カシス、プルーン、ブラックベリーなどの香り。
豊かな果実味と熟成感、ビターチョコレート、シガー、スミレのニュアンスを持ち、まだまだ熟成のポテンシャルを保有。
セパージュは、メルロー54%、カベルネ・ソーヴィニヨン35%、カベルネ・フラン7%、プティ・ヴェルド4%。
新樽30%のバリックで12ヶ月熟成。
焼きたてのフォカッチャが届く。
ここのフォカッチャは美味い。
私は黒オリーブのフォカッチャを二つ。
彼女は黒オリーブとプレーンのフォカッチャを一つずつ。
セコンドピアットは、元就(黒毛和牛)のアロッスト、あわび茸のマリネ、赤ワインとハリッサのソース。
何故広島和牛のブランドが元就かというと、安芸の小豪族だった毛利元就は中国山地の豊富な砂鉄を用いたたたら製鉄による鉄器製造で強大化し、中国地方の制覇を成し遂げた。
このたたら製鉄には大量の木材を必要とし、山からの木材の運搬には牛が必要だったため、木材を切り出した跡地を牧草地として開拓し牛の繁殖に努め、優秀な広島和牛の基礎を築いたのだそうだ。
元就牛は濃厚なサシが入り、口の中でとろける美味しさ。
でもサシが強い肉は多くは食べられないので、この分量で充分。
緑のペーストは、イタリアンパセリの代わりに祇園パセリを使った、サルサヴェルデ。
赤ワインとハリッサのソースには、ポルト酒と牡蠣のジュが加えられている。
添えられている野菜は、クレソンとスティックセニョール。
その下には、あわび茸と赤蕪のマリネ、そしてポレンタ。
濃厚な味わいの黒毛和牛のアロッストにはフルボディのボルドーが合う。
スポイトが突き刺さったドルチェが届く。
甲斐農園レモンのレアチーズ、「沖美の輝き(はちみつ)」のソース、トンカ豆のジェラート。
甲斐農園は、東広島市でレモン、ミカン、ジャガイモを生産する農園。
スポイトの中には、沖美の輝き(はちみつ)のソース。
沖美の輝きは江田島の西側、沖美町のはつはな果蜂園の蜂蜜。
これが、沖美の輝き。
(写真はH.P.からお借りしました。)
蜂の巣を模したチュイルとチョコレートの蜜蜂に沖美の輝きのソースを掛ける。
リコッタチーズと甲斐農園のレモンのレアチーズの中には、トンカ豆のジェラート。
素晴らしく美味しいドルチェに感激。
食事の〆は濃いコーヒー。
今夜の菊池シェフの料理も素晴らしかった。
気が付くと、三時間余りが経っていた。
大友支配人に見送られ、店をあとにする。
「日本橋三越本店新館」の最上階には、三つの良いお店がある。
ここは銀座アスターが手掛ける中国宮廷料理の『日本橋紫苑(しおん)』。
そしてここは、老舗料亭の『なだ万』。
地下直結で地下鉄の駅にも行けるが、彼女がお腹がいっぱいなので少し歩きたいということで、一階から外に出る。
ディナーのあとの散策は楽しい。
ここは常盤橋タワー。
右側の壁の中では、東京トーチの建設工事が始まっている。
彼女と過ごす、日本橋での素敵な夜でした。