2月のある休日、彼女と東銀座で待ち合わせ。
とても良い天気で、2月とは思えない暖かさ。
目的のビルはすぐそば。
今日は新橋演舞場で歌舞伎鑑賞。
開演15分前なので、観客がどんどん館内に入場していく。
歌舞伎座には年に数回訪問しているが、新橋演舞場は久し振り。
前回来たときは片岡愛之助さんが演技をしながら私の席のすぐ隣まで来てくれた。
ご結婚されたばかりだったので、小声で「おめでとう」と言うと、目を合わせて頷いてくれた。
今日の席は一階の右側。
席から館内を撮影してみる。
開演時間となり、ざわざわしていた館内が静寂に包まれる。
演目は”スーパー歌舞伎 三代猿之助四十八撰の内 ヤマトタケル”。
「古事記」を題材に、日本神話のヤマトタケルの波瀾に満ちた半生と伝説を大胆に描いた作者は、哲学者梅原猛。
この作品は、昭和61(1986)年2月4日に新橋演舞場で初演され、大きな反響を呼んだ。
今回の公演は、若手人気役者、中村隼人、市川團子が主役を務め、一人二役で活躍する評判の舞台。
私たちが鑑賞する日はAの配役で、ヤマトタケルは中村隼人。
市川團子は帝の使者として出演予定だったが、体調不良のためお休みとなってしまった。
参考までに、あらすじを貼り付けておく。
人間関係が複雑なので、関係図を頭に入れて観ると理解しやすい。
正面は小碓命(おうすのみこと)、後にヤマトタケルで、大碓命(おおうすのみこと)と一人二役:中村隼人(この写真は市川團子)
後ろは左から、老大臣:市川寿猿、皇后:市川門之助、帝:市川中車。
小碓命はまだ若々しく、不安に苛まされながら、熊襲討伐に向かう。
(写真は歌舞伎美人からお借りしました。以下同様。)
左から、熊襲弟タケル:中村錦之助、小碓命:中村隼人、熊襲兄タケル:市川猿弥。
見事熊襲を征伐した小碓命は熊襲からタケルの名をもらい、ヤマトタケルとして凱旋。
帝から褒美として、誤って手にかけてしまった兄の大碓命の未亡人、兄橘姫(えたちばなひめ)を与えられ、妻に迎える。
ところが、同時に蝦夷の地を所領として与えられ、蝦夷征伐を命じられる。
左から、弟橘姫:中村米吉、倭姫:市川笑三郎、ヤマトタケル:中村隼人。
父帝の愛情を求めながらも得られず、ヤマトタケルは失意の中に蝦夷の地に向かうこととなる。
途中、伊勢神宮に伯母の倭姫(わのひめ)を訪ね、草薙剣(くさなぎのつるぎ)を与えられる。
更に倭姫の勧めで、妻の妹の弟橘姫(おとたちばなひめ)と結ばれ、蝦夷征伐に帯同する。
左から、姥神:市川門之助、犬神の使者:嘉島典俊、山神:市川猿弥。
弟橘姫を失うという悲劇に見舞われながらも、蝦夷征伐を成し遂げたヤマトタケルは意気揚々と引き揚げ、途中立ち寄った尾張で国造の娘、みやず姫を妻に迎える。
ここで帝から伊吹山の山神の討伐を命じられたヤマトタケルは、傲慢にも素手でも退治してみせると草薙剣を持たずに伊吹山に向かう。
山神との死闘で深手を負ったヤマトタケルは、故郷に帰りたいと願いながらも命を落としてしまう。
左から、ヘタルベ:中村歌之助、兄橘姫:中村米吉、タケヒコ:中村福之助。
再び未亡人となった兄橘姫は忘れ形見のワカタケルを伴い、ヤマトタケルの忠実な部下、タケヒコとヘタルベと共に墓の前でヤマトタケルを偲ぶ。
ここに帝の使者が現れ、ワカタケルが帝の後継者として指名されたことが告げられる。
帝の使者は市川團子の配役だったが、体調不良のため、市川青虎が務めた。
全員が舞台を去ると墓が割れ、中から白鳥に化身したヤマトタケルが現れ、天空に舞い、幕となる。
最後はカーテンコール。
数十人にも及ぶ出演者が舞台に並ぶ様は圧巻。
万雷の拍手と共にお開きとなりました。
さて、お昼ご飯抜きで鑑賞したので、お腹はもうペコペコ。
彼女と過ごす、楽しい休日の午後は続きます。