1月のこと、銀座の『スペインクラブ』でたっぷりワインを飲んでランチを済ませた後は、歌舞伎座に向かう。
”壽 初春大歌舞伎”には他の月とは異なる華やかさがあり、とてもワクワクする。
新春の薦樽は八海山。
”十二月大歌舞伎”の時は大関だった。
夜の部の演目はお目出たいものを中心に四本立て。
いよいよ入場。
正月飾りが華やか。
定式幕が張られ、柝が入ると舞台の幕が開く。
正月にはお目出たい演目が並ぶ。
その中で異色なのは、夜の部の「息子」。
今回はこれを観に来たといっても過言ではない。
まさに初春を告げる華やかな舞踏。
左から、従者:尾上左近、亀:尾上松緑、女帝:中村福助、鶴:松本幸四郎、従者:市川染五郎。
(写真はenbutownからお借りしました。以下同様。)
曽我兄弟と言えば、仇討の話。
これが何故正月にと思うが、江戸歌舞伎では初春興行に”曽我物”を上演することが吉例だった。
左は曾我五郎時致:中村芝翫、右は曽我十郎祐成:中村扇雀。
ここで35分間の休憩。
皆さん館内のお食事処へ移動したり、席でお弁当を広げて食事を始める。
私たちは食事は済ませてきているので、おやつタイム。
私は鞄からスパークリングワインを取り出す。
保冷バッグに詰める前に、家で撮影したボトル。
エノテカで購入した、チリのマイカス・デル・リマリが造る、エスパス・オブ・リマリ、ブリュット、スペシャル。
最良区画のぶどうを使用した、エスパス・オブ・リマリの上級クラス。
ハーフサイズを二本買っておいた。
ちぃさんがおつまみをたくさん持ってきてくれた。
何だか、歌舞伎座内で楽しい宴会の雰囲気。
ちぃさんと乾杯。
グラスも持参した。
柑橘のフレッシュな香り。
口に含むと熟した洋梨のような果実味、後味にはブリオッシュのニュアンスを持つ、きりりと引き締まった辛口。
セパージュは、シャルドネ87%、ピノ・ノワール13%。
このドーナッツ、甘くないのでスパークリングワインによく合う。
ソーセージやチーカマも美味い。
アーモンドとカシューナッツ、そしてジャガビーでワインが進む。
昨年の歌舞伎座新開場10周年記念で新しく寄贈された緞帳、四枚が次々と披露される。
「霊峰飛鶴」 は、作:横山大観、寄贈:永谷園、製織:川島織物セルコン。
「富貴花競苑図」は、作:中島千波、寄贈:伊藤園、製織:龍村美術織物。
「春秋」は、作:田渕俊夫、寄贈:清水建設、製織:龍村美術織物、調整:三越伊勢丹。
「朝明けの潮」は、作:東山魁夷、寄贈LIXIL、製織:川島織物セルコン、調整:高島屋スペースクリエイツ。
ワインは二本目。
これなら、フルボトルを一本にしても良かった。
再び乾杯。
久し振りに観る松本白鴎の舞台。
その上、高麗屋三世代の競演なのだ。
左から、捕吏:市川染五郎、金次郎:松本幸四郎、火の番の老爺:松本白鴎。
白鷗の名演が心に沁みる。
〆は再び華やかな演目。
白拍子花子を演じるのは、尾上右近。
(この写真は中村壱太郎。)
切ない恋心を表現する踊りが素晴らしい。
引き抜きでの衣装の早変わりにも目を奪われる。
白拍子花子の役者は12月前半と後半で交代する。
私たちが観たのは、後半の尾上右近。
前半の中村壱太郎の演技も観たかった。
初春を寿ぐ公演の興奮が冷めやらぬまま、歌舞伎座をあとにする。
やはり初春公演は素晴らしい。
ちぃさんと過ごす、楽しい銀座の夜でした。