新年1月初めのこと、彼女と「麻布台ヒルズ」、森JPタワーの33階、『Hills House Dining 33』で過ごす素敵な夜の続き。
ここは、フレンチの巨匠、三國清三シェフがプロデュースするフレンチ・レストラン。
スパークリングをボトルで、白をグラスで飲んだ後は、赤ワインのボトルを抜栓。
ドメーヌ・ルネ・ルクレール、ブルゴーニュ、2019年。
ルネ・ルクレールは父親の畑を兄弟で分割して相続したことによって1976年に誕生したドメーヌ。
今ではジュヴレ・シャンベルタンの4haを始め、ブルゴーニュに10haの畑を保有する、ジュヴレの人気ドメーヌに成長している。
素晴らしい果実の凝縮感を持ち、まろやかなタンニンと活き活きとした酸を持つ、クラシカルなタイプのブルピノ。
良いぶどうを使って造られたことを感じさせ、ACブルゴーニュとは思えない上級クラスの風格を備えている。
発酵は天然酵母、新樽の使用は極力抑え古樽で12~16ヶ月熟成、無濾過無清澄でボトリングされている。
ポワソンは、金目鯛の昆布出汁ポシェ、紅芯大根と金時人参のエマンセ、3種トマトと3種ビーツ、オニオンのフリット包み、ビーツコンソメ、羅臼塩昆布味。
ポワソンのソース、ビーツコンソメも別添え。
最初の写真は、私が撮影しようとすると、「ソースがある方が綺麗だから」と彼女が掛けてくれたもの。
二人の皿に取り分け、ソースをたっぷり掛ける。
紅芯大根のエマンセ、薄切りの中には、ミニトマト。
目に鮮やかな赤で統一されたポワソンが美しい。
ヴィアンド用のナイフが届く。
ナイフは、スイスのヴィクトリノックス。
そう言えばヴィクトリノックスのアーミーナイフを持っているが、最近見ないが何処にあるのだろう。
ヴィアンドは、雉のブーダン仕立て、トリュフソース。
雉のブーダン仕立て、というよりルーローの上にはたっぷりの黒トリュフ。
両脇に添えられているのは、雉肉のコンフィ。
彼女が私の撮影用にソースを回しかけてくれる。
雉のルーローの取り分けに使ってくださいと、別のナイフが届く。
ドイツのWMFの製品だ。
切り分けると、中には竹炭のリゾット。
二人の皿に取り分け、トリュフソースを掛けて完成。
淡白な雉肉にトリュフソースがよく合う。
イノヴェーティヴなフレンチが多い中で、伝統的な料理が却って新鮮に感じる。
デセールは三種盛り。
キウイのデリス、青リンゴのソルベとライムのジュレと泡。
金柑のシブスト。
サフランのアイス。
食後の飲み物は、マカイバリ茶園のオーガニック・ダージリンティー。
マカイバリ茶園はインド、ダージリン地方で最も長い歴史を持つ茶園で、栽培はバイオダイナミック。
シュガーポットが出される。
コロナ禍以降は個包装のフランスのプレミアム・シュガー、ラ・ペルーシュを使う店が増え、シュガーポットが出されるのは珍しくなった。
北海道産の甜菜糖が使われている。
ミニャルディーズは、御用蔵醤油のマカロン。
紅茶は大きなポットで出されているので、お代わりをして楽しむ。
お腹はいっぱいと言いながら、彼女も私も完食。
このクラスのお店で、ソースを自分で掛けたり、ポワソンやヴィアンドを大皿から自分で取り分けるのには最初は戸惑ったが、慣れてしまえばそれも楽しい。
伝統的な料理を基本としながら新しさも随所に取り入れられ、充実したワインの品揃えも素晴らしいフレンチ・レストランだ。
メニューが替わったら、また来たいと思う。
満腹満足で地上に降り立つ。
気が付くと、食事を始めて既に三時間半が経っていた。
春になると多くのハイブランドのショップが開業し、一層賑やかになる。
彼女と過ごす、「麻布台ヒルズ」での素敵な新年の夜でした。