12月のこと、ちぃさんと丸の内のブーランジュリー&カフェ、『ポワン・エ・リーニュ』で過ごす楽しい夜の続き。
生ビール、スパークリングワインを飲んだあとは、白ワイン。
ロワールのヴィニョーブル・ベルティエ、ランスタン、ソーヴィニヨン・ブラン、2022年。
ちぃさんと、白ワインでも乾杯。
白い花、レモン、ライチの香りに、ミントやタイムのハーブのヒント。
フレッシュな果実味に、活き活きとした酸とミネラルが続く爽快なボディ。
コールド・プレートの前菜のあとは、タコとジャガイモのアヒージョ。
熱々のオリーブオイルの中には、たっぷりのタコとジャガイモ。
プリプリのタコが美味しくワインが進む。
三つ目のパン籠が届く。
ロサンジュはクラストの香ばしさ、芳醇なバターの味わいを楽しめるクロワッサン。
ノーチェはクルミ、カシューナッツ、ピスタチオを使ったサワーブレッド。
もう一つは何だったか失念。
白ワインを飲み干すと、珍しいワインを選ぶ。
ジョージアのベディアニが造る、マラニ・アンバー、2020年。
ジョージアのアンバー・ワインとは、今でいうオレンジ・ワイン。
伝統的なクヴェヴリ製法で造られたワインで、クヴェヴリとはエチケットの絵のとおり底が尖った卵型の素焼きの壺。
この壺の中に破砕したぶどうの果汁に加え、果皮、果肉、種も入れ、土に埋めて熟成させている。
ベディアニの名前は、1000年以上前にグルジア王国の最初の王が設立したベディア修道院に由来し、この修道院ではクヴェヴリ製法でワインが造られていた。
名前の通り、オレンジというより琥珀色に近い。
ドライフラワーや果実のシロップ漬けのような香り。
複雑な果実味、穏やかな酸とミネラル、後味にはスパイスや炒ったナッツのニュアンス。
初めて飲むアンバー・ワインはなかなか面白い。
ぶどうはルカツィテリ。
バックラベルによれば、2020VTのこのワインのボトリングは、2022年5月18日。
クヴェヴリで一年半余り熟成されていたことになる。
今夜のメインは、牛ロースのロースト、ジュのソース。
付け合わせは、ジャガイモのドフィノワ、ニンジン、ベビーコーン、ズッキーニ、ミニトマト。
この焼き色、この肉厚が素晴らしい。
とても柔らかく、ナイフの自重で刃が通る感じ。
肉料理に合わせる赤ワインは、馴染みのある造り手のもの。
オーストラリア、南オーストラリア州のクレア・ヴァレーのキリカヌーンが造る、チェロ・シラーズ、2018年。
チェロの名前は、キリカヌーンの前オーナーのネイサン・ワックス氏がシドニー交響楽団の首席チェロ奏者であったことからの命名。
随分以前のことだが、ネイサン・ワックス氏がキリカヌーンのプロモーションで来日した時、彼とテーブルを囲んで夕食を共にしたことがある。
ダークベリー、プルーン、カシスの香り。
濃厚な果実味とタンニンを持ちながら、重過ぎず洗練されたボディ。
ぶどうはシラーズ100%、フレンチとアメリカン・オークの樽で15ヶ月間熟成されている。
濃いシラーズが牛のローストとよく合って美味い。
4籠めのパンが届く。
今回のパンは、今まで出された9種類の中から三種類をピックアップした組み合わせ。
ということは、ディナーで出されるパン籠は基本は三つで、私たちが沢山食べるので追加で四つ目が出されたようだ。
パンと赤ワインはベストフレンド。
チェロ・シラーズの二杯目と共に味わう。
料理に加え、パンを12種類も食べるともうお腹はいっぱい。
支配人に今夜の礼を述べ、見送られて店をあとにする。
丸の内仲通りのクリスマスイルミネーションを観て帰ろうと外に出たら、何と雨。
仕方がないので「新丸ビル」に戻り、帰途に就くことにする。
京橋の「アーティゾン美術館」での”マリー・ローランサン展”を鑑賞し、丸の内の『ポワン・エ・リーニュ』でディナーを楽しんだ、充実した午後と夜でした。
ところで、『ポワン・エ・リーニュ』の支配人さんからお土産をいただいた。
中には、アンビザーとニダベイユ。
アンビザーは、オリーブオイルと黒糖風味のなめらかこしあんパン。
これは以前食べたことがあるパンで、甘さ控えめでとても美味い。
ニベダイユは、チーズをそのまま食べているかのような濃厚ブリオッシュ。
これも美味い。
支配人に感謝のお土産でした。