12月のこと、ちぃさんと京橋の「アーティゾン美術館」で過ごす楽しい午後の続き。
6階で”マリー・ローランサン-時代をうつす眼”を鑑賞した後は、5階に下り、”石橋財団コレクション選”を鑑賞。
”石橋財団コレクション選”では、印象派から現代絵画に至るまで、選りすぐりの約100点が展示されている。
新規収蔵品も多く、充実した展示となっている。
正面にはルノアールの「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」。
拡大していただくと、多くの素晴らしい絵画が展示されていることがわかります。
こちらには、クロード・モネの「睡蓮」と「黄昏、ヴェネツィア」。
たっぷり一時間余りをかけて鑑賞したが、あまりに点数が多いので記事では割愛。
”石橋財団コレクション選”のパネルにも採用されている、好きな画家の新収蔵作品のみアップ。
パウル・クレー、「双子」(1930年) 油彩・カンヴァス 石橋財団アーティゾン美術館蔵
バウハウス(ドイツの総合造形学校)で教鞭をとっていた時代の終盤の作品。
複数の面や線や点、そして色彩が入り混じる、愛嬌のある活気に満ちた作品だ。
特集コーナーで、”野見山暁治”の展示が行われていたので、ご紹介。
野見山暁治は油彩画を始め、版画、絵本、本の執筆など幅広い分野で、戦前、戦後、現代にいたるまで約80年間にわたり活動を続け、2023年6月に102歳で逝去されている。
石橋財団は1952年から野見山の支援を始め、1958年と2011年に野見山の個展を開催している。
今回、新規収蔵作品3点を含む、7点の収蔵作品が展示されている。
野見山は1920年福岡県穂波村(現、飯塚市)生まれ。
なるほど、久留米市出身の石橋家と同県人なのだ。
東京美術学校に進み、1952年に渡仏、この時に石橋財団が支援者に名を連ねている。
約12年の西洋生活ののち、帰国した野見山は東京と福岡を拠点に活動。
参考までに年表も添付。
旧ブリヂストン美術館時代に、”野見山暁治展”が二度開催されている。
ポスターは左から、1958年”野見山暁治作品展”(ブリヂストン美術館)、2011年”野見山暁治展”(石橋美術館)、2011年”野見山暁治展”(ブリヂストン美術館)。
作品だけでなく、壁に野見山の言葉が描かれているのが面白い。
野見山暁治、「タヒチ」(1974年) 油彩・カンヴァス 石橋財団アーティゾン美術館蔵 新収蔵作品
こちらを睨む猛禽類のようにも見えるが、タヒチの何を描いているのだろう。
そう思いながら横の壁を見ると、こんなことが書かれていた。
やはり何かが覗き込んでいるのだ。
この絵は1971年に結婚した野見山が妻との最初の旅行で訪れたタヒチの印象を描いたもの。
何が描かれているのか色々想像するのが楽しい。
野見山暁治、「予感」(2006年) 油彩・カンヴァス 石橋財団アーティゾン美術館蔵 新収蔵作品
自分の絵に関する記述がとても正直で自然。
作品とタイトルが合っていないと言いながら、この作品にはこのタイトルが思い浮かんだのだろう。
それともタイトルを決めてから描き始めたら、こうなったのだろうか。
野見山暁治、「かけがえのない空」(2011年) 油彩・カンヴァス 石橋財団アーティゾン美術館蔵
2011年の回顧展で初めて発表された作品。
ステンドグラス制作を通じて光を通して見える赤の色彩に感化され、赤を作品に取り入れた最初の作品。
90歳を超えてなお新しい表現に挑戦する野見山の意欲が素晴らしい。
野見山暁治、「振り返るな」(2019年) 油彩・カンヴァス 石橋財団アーティゾン美術館蔵 新収蔵作品
2020年、東京メトロの青山一丁目駅に野見山のステンドグラス壁画が設置された。
この作品はその壁画の制作にあたり描かれた3点のうちの一枚。
青山一丁目駅周辺を散策し、印象に残った赤坂御所の緑にインスピレーションを得て描いたのだそうだ。
2020年と言えば、既にほぼ100歳。
この絵の力強さは驚きという他に言いようがない。
記述が本当に正直で面白い。
青山一丁目駅に野見山の壁画があることを知らなかった。
観に行かなければと思う。
野見山暁治、「あしたの場所」(2008年) 油彩・カンヴァス 石橋財団アーティゾン美術館蔵
この作品に関する野見山の言葉を知りたいと思うが、壁には何も書かれていない。
何を表現したいのか平凡な私には理解を超えているが、左上に書かれた異様な物体の存在により、絵に遠近感、深みが生まれている。
遠くに見える地平線上の青い場所が、あしたには行きつきたい理想の場所なのだろうか。
野見山暁治、「風の便り」(1997年) 油彩・カンヴァス 石橋財団アーティゾン美術館蔵
この絵を見て最初に感じたことは、風の強い日の海と海岸。
説明を読むと、福岡県糸島に建てたアトリエのバルコニーから見える海の景色をイメージした作品なのだそうだ。
野見山暁治、「鉱山から」(1984年) インク、グワッシュ・紙 石橋財団アーティゾン美術館蔵
表題を知ったうえでこの絵を見ると、生まれ故郷の炭鉱を描いたものだとわかった。
筑豊生まれの野見山にとって、炭鉱、ぼた山は原点なのに違いない。
野見山暁治の作品をこれだけ収集しているのは素晴らしい。
平日の午後は空いているので、ゆっくり鑑賞することができた。
長時間の美術鑑賞で疲れ果てたが、折角なので記念撮影。
エジプト・テーベ(ルクソール)のセクメト神立像、新王国時代、第18王朝、アメンヘテプ3世治世(紀元前1390-1352)
ついでに私も。
「アーティゾン美術館」の今回の企画展も素晴らしかったが、展示作品数が多いので疲れてしまった。
お腹も空いたので、ディナーのお店に向かうことにする。
ちぃさんと過ごす、楽しい午後は続きます。
























