10月末のこと、彼女と丸の内のフレンチ、『ブリーズ・オブ・トウキョウ』で過ごす素敵な午後の続き。
抜栓しておいた赤ワインを飲むことにする。
彼女が好きなブルゴーニュのピノ・ノワールを選んだ。
コルクの状態はとても良い。
ドメーヌ・ルイ・ジャド(ドメーヌ・デ・エリティエ)、ボーヌ、プルミエ・クリュ、ブシュロット、2009年。
ボーヌ最南端の小さな区画で、ボーヌ屈指のプルミエ・クリュ畑と評価されている。
そして2009VTはGood Year。
(パニエに入っていたので、この写真は飲み終わった後に撮影したもの。)
色合いは淡いルビー色、エッジに少しオレンジ。
フランボアーズ、ストロベリー、レッドチェリーなどの赤果実の香り。
クリアーな果実味、まだまだ健在な酸、なめらかなタンニン。
黒胡椒、アニス、ミントのニュアンス、時間が経つと出汁感が出てくる。
実にエレガントな熟成ピノ・ノワールだ。
バゲットとホイップバターが届く。
第二のアントレは、はかた地どりのヴァロティーヌ、柚子胡椒香るジュのソース。
博多の地鶏に柚子胡椒とは洒落ている。
鶏肉と野菜のみじん切りを鶏肉で巻いて低温調理されている。
この料理はガランティーヌと表記されることが多いので、ヴァロティーヌの名前は久し振りに聞くような気がする。
フランス語には似たような料理名が多く、どう違うのかと言われても説明に窮する。
まあ、日本語でも松笠焼きと鱗焼きはどう違うのかと外国の方に聞かれても、困ってしまう。
強いて言えば、和食の時は松笠焼き、フレンチの時は鱗焼きと呼ぶようだ。
添えられているのは、墨牛蒡、蓮根、銀杏。
墨牛蒡、または黒牛蒡は手間のかかる料理で、見た目と異なり薄味で美味い。
ポワソンが届く。
平目のヴァプール、スープ・ド・ポワソン。
白いスティックは牛蒡のソテー。
先ほどは黒い牛蒡、今度は白い牛蒡。
ヴァプールした平目にパン粉を乗せて焼いている。
ヴァプールは水蒸気で蒸すこと。
似た調理法のエチュベは材料そのものが持つ水分で蒸す調理法。
平目の下には、二色のズッキーニ。
平目の出汁で作ったソースは複雑な味わいで、淡白な平目に華やかさを加えている。
ヴィアンドはスペシャルな牛肉。
これを食べに来ているといっても過言ではない。
TOKYO COWBOY 特選和牛のグリル。
添えられているのは、里芋のピューレとジュのソース。
TOKYO COWBOYは世田谷にある和牛専門のフルオーダーカットの精肉店。
今日の和牛は群馬県産のランイチ。
ランイチはランプとイチボが重なり合った部分。
ナイフを入れると、ほとんど抵抗を感じずにスッと刃が通る。
口に含むと驚くべき柔らかさで、甘い脂と熟成された肉の旨み。
TOKYO COWBOYの実力を思い知らされる美味しさ。
もちろんシェフの火入れもこの肉の良さを最大限に引き出している。
デセールが届いたところで、お店のスタッフがお写真をお撮りしましょうと嬉しい提案。
彼女は写真のアップはNGなので、私のみ切り出してアップ。
ハロウィンなので、控えめながらそれらしき服装にした。
シャツは黒地に白のドット、ボウタイは黒地にオレンジのドット、ポケットチーフは絵柄は見えないがオレンジに黒のパンプキン、撮影用に着用したマスクはジャックオーランタン。
写真撮影ではしゃいでしまい、撮影しないままデセールを食べ終えてしまった。
彼女のハーブティーの後ろには食べ終えたデセールの皿が。
ストロベリーケーキにフランボワーズのソルベは美味しかった。
私はホットコーヒーで食事を締めくくる。
デセールだけでなく、コーヒーも半分飲んでから慌てて撮影。
中村支配人に見送られ、満腹満足で店をあとにする。
地下に下ると、何となく「マルチカ」へ。
彼女が前々から『BUTTER 美瑛放牧酪農場』のソフトクリームを食べたいと言っていたのを思い出したのだ。
支払いを済ませると、奥の女性スタッフの動きを注視しながらカウンターで出来上がりを待つ。
右手にはカフェがあり、今日も満席。
休日には入店待ちの長い行列ができる。
人気メニューはホットケーキで、画像の右下にホットケーキを焼く鉄板が見えている。
牛乳と甜菜糖だけで作られたソフトクリームは甘さを感じず、牛乳の美味しさをそのまま味わうことができる。
でも、牛乳だけで作られたソフトクリームはすぐに溶けるので要注意。
彼女と過ごす、丸の内の素敵な午後でした。