10月のこと、ちぃさんと八重洲のフレンチ、『ブラッスリー ポール・ボキューズ 大丸東京』で過ごす楽しい夜の続き。
今夜は”16周年記念パーティー”。
アミューズ・ブーシュを食べ終え、シャンパーニュ、イヴ・ジャック、ラ・キュヴェ・セレクション、ブラン・ド・ブランを三杯飲んだところで、会が始まる。
客の全員が揃うまで飲み物も食べ物も出されないパーティーもあるが、到着した客に順次アミューズとウエルカムドリンクを出す、この運営方式が好きだ。
写真は、今夜の料理を説明する鈴木シェフ。
面白い前掛けをしているが、この種明かしは後ほど紹介された。
バゲットが届く。
ここのバゲットは美味い。
お供は、カレー風味の鶏のリエット。
アントレに合わせる飲み物は、土佐酒。
今夜は高知県の食材とのコラボディナーなのだ。
高知県土佐郡土佐町の土佐酒造が醸す、桂月 純米大吟醸 Sake Nature 2021。
酒蔵がある土佐嶺北地方の棚田で有機栽培された山田錦を45%まで磨き、生酛造りで仕込まれた酒。
アントレは、与力水産の日戻り戻り鰹のカクテル、土佐ベルガモットのジュレ、Akala Fruiitsのフィンガーライム。
与力水産は、高知県西部、宿毛市にある水産会社。
春野町では、イタリア原産の柑橘、ベルガモットが栽培されている。
そしてAkala Fruitsは宿毛市にあるフィンガーライム専業ファーム。
フィンガーライムはキャビアライムとも呼ばれる、オーストラリア原産の柑橘。
鰹は遠洋で獲るので港に戻るまで数日かかるが、日戻り鰹は釣ったその日に水揚げされる新鮮な鰹。
日戻りの、戻り鰹が美味い。
鰹もこうして食べるとお洒落なフレンチの一品となる。
ポワソンに合わせるのは、ラングドック・ルーションの白ワイン。
シャトー・ロスピタレ、ラ・クラプ、グラン・ヴァン・ブラン、2020年。
このワインは元ラグビーフランス代表、ジェラール・ベルトランが造るワイン。
ジェラール・ベルトランは幾つものシャトーを保有しているが、シャトー・ロスピタレは彼が本社を置く、フラッグシップ・ワイナリー。
彼にはフランス大使公邸で一度お会いしたことがある。
ジェラール・ベルトランは今や南仏を代表する人気の造り手で、高品質ワインで定評がある。
ぶどう栽培はビオディナミ。
バックラベルにはオーガニック認証マークのデメテールとユーロリーフが付いている。
ちぃさんと乾杯。
ライムやオレンジ、そのあとには熟した洋梨やマルメロの香りが続く。
芳醇な果実味を持ちながら、強いミネラルとハーブのニュアンスにより、洗練された辛口に仕上がっている。
ポワソンは、四万十鰻と高知香り米のパイ包み焼き、ソースマトロート。
マトロートは淡水魚をワインで煮た料理。
”う”の文字はマッシュルームのピュレで書かれている。
見た目はう巻きのよう。
濃厚な鰻の旨味をパイが優しく包み込む。
鰻にはマトロートがとてもよく合う。
ヴィアンドに合わせ、赤ワインが出される。
ドメーヌ・ジョルジュ・ヴェルネ、サン・ジョセフ、テール・ダンクル、2012年。
”テール・ダンクル”は”インクの大地”という意味。
ドメーヌ・ジョルジュ・ヴェルネはローヌ、コンドリューに本拠地を置くワイナリー。
2代目のジョルジュ・ヴェルネはコンドリュー名称保護委員会の会長を30年間務め、コンドリュー・ワインの品質向上に貢献した人物。
今の当主は、ジョルジュの娘、3代目のクリスティーヌ。
ちぃさんと乾杯。
テール・ダンクルの名前が示すとおり、濃厚な黒果実の果実味。
そして11年間の熟成により生まれた深い熟成感と、果実味に綺麗に溶け込んだタンニン。
やはりジョルジュ・ヴェルネのワインは美味い。
ぶどう栽培はビオロジック、セパージュはシラー100%。
ちぃさんと過ごす、八重洲の『ブラッスリー ポール・ボキューズ 大丸東京』での”16周年記念パーティー”の楽しい夜は続きます。