9月のこと、しづちゃんと飯田橋の南インド料理のお店、『トウキョウ・バワン』でディナーとワインを楽しんだ後は、神楽坂に移動。
向かったのは『ぼっちりや』。
ここは高知のお酒と物産が揃ったお店。
おお、土佐名物のウツボのからあげもあるようだ。
日本酒が並ぶ冷蔵庫を覗き込み、今日のグラス日本酒の中から好きなものをチョイス。
ボトルを取り出し、お店の方に渡すと、こうしてグラスに注いでくれる。
選んだ酒はこの二種。
しづちゃんとグラスを交換しながら味較べ。
高岡郡中土佐町久礼の西岡酒造店が醸す、久礼 純米吟醸 CELうらら 生酒。
CELうららということは、高知酵母のCEL-24を使い、米は高知の酒造好適米、土佐麗ということ。
久礼は鰹の一本釣りで有名な町。
西岡酒造が醸す酒、純平と久礼はいずれも素晴らしい切れ味の辛口で、鰹によく合う。
その西岡酒造が甘口の吟醸酒を生み出すCEL-24酵母を用いて酒を醸すと、驚いたことに甘口に感じない。
しっかり酸があるので、芳醇でありながら爽やかな酒に仕上がっている。
日本酒度は-5だが、亀泉や豊能梅や桂月が醸すCEL-24の吟醸酒はいずれも-10を超えているのに較べれば、やはり甘くない酒だ。
もう一杯は、安芸市の有光酒造場が醸す、安芸虎 純米吟醸 雄町 ひやおろし。
秋になれば、ひやおろしを飲みたくなる。
ひと夏越して旨みが増したひやおろしは秋を感じる美味い酒だ。
備前赤磐雄町を用い、精米歩合は60%。
おつまみも一皿お願いする。
椎茸のたたき。
椎茸の南蛮漬けといった感じの料理。
二杯目の酒は、この二種類。
香南市赤岡町の高木酒造が醸す、大吟醸 絵金。
絵金の屏風絵をラベルにした、限定酒。
2019年7月に、しづちゃんと高知に旅した時に、高木酒造と西岡酒造を訪問しているので、この二つの酒蔵には思い入れがある。
(この記事のあと、2023年11月にも西岡酒造を訪問しています。)
絵金とは、江戸末期から明治初期に活躍した狩野派の絵師、絵師金蔵こと広瀬金蔵のこと。
赤岡に居住し、歌舞伎や浄瑠璃を題材にした芝居屏風絵を多く残している。
赤岡町では、この屏風絵を飾って絵金祭りが毎年7月の第三土曜日と日曜日に開催されている。
酒は華やかな香り。
口当たりは爽やかで、そのあとにコメの旨みが続き、後味は切れの良い辛口。
安芸郡芸西村の仙頭酒造場が醸す、土佐しらぎく 生詰 純米吟醸 山田錦。
秋の限定酒だ。
山田錦を50%まで磨き、醸されている。
米の旨みをしみじみと感じる、綺麗な酒だ。
二杯目も、グラスを交換して飲み比べ。
お店のオーナーの石元握美さんから、いろいろな酒蔵の情報を聞くのも楽しい。
気持ちよく酔って店をあとにする。
帰りも毘沙門天の前で立ち止まり、「今夜もお世話になりました」と御礼。
このまま帰るつもりだったが、何となくもう少し飲もうかということに。
しづちゃんを案内したのは、ショットバーの『ロゼッタ』。
『ロゼッタ』が開店したのは1988年4月。
今のオーナーは2006年8月に店を引き継いだ二代目。
私はウォッカマティーニをステアで。
しづちゃんのカクテルはホワイトレディ。
乾杯。
『トウキョウ・バワン』でビールとワイン、『ぼっちりや』で日本酒を飲んできているので、強いカクテルで酔いが一挙に回る。
もう理性の抑制が効かなくなり、一杯だけのつもりが二杯目をオーダー。
私は大好きなアイラモルト、アードベッグの10年をストレートで。
しづちゃんは、マスターにお任せのカクテル。
出されたのは、フランスのマスカット・リキュール、ミスティア。
しづちゃんと乾杯。
ミスティア・スプモーニは、ミスティアにグレープフルーツジュースを加え、トニックウォーターで割ったカクテル。
アイラモルトやアイランズモルトで一番好きなのは、ポートエレン、その次がタリスカー。
でもポートエレンは今では一本50万円の値が付き手が届かなくなったし、タリスカーの30年も入手困難となっている。
そこで最近は普段飲みにはヨード香が強いアードベッグの10年を飲むことが多くなっている。
ここで、写真が途絶えている。
翌朝起きると、ちゃんと家で寝ていた。
でも、帰りの記憶はあやふや。
しづちゃんと飲み過ぎた、飯田橋と神楽坂の夜でした。