9月のこと、代官山のフレンチ、『メゾン ポール・ボキューズ』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
第一のアントレが届く。
スモークサーモンのタルタル仕立て、フロマージュブランの軽いクリーム、フレッシュトマトのクーリー。
レモン風味のフロマージュブランのクリームの下には、スモークサーモンのタルタル。
色鮮やかな一皿。
合わせて飲んでいるのは、ドゥ・カントナール、ブリュット。
ロワールの名門、ドゥ・ラドゥセット男爵が造るシャンパーニュ。
第二のアントレ。
帆立貝のポワレ、キャビア・オシェトラ、ソース・シャンパーニュとポワロー葱のアラクレーム。
ソース・シャンパーニュが注ぎ込まれる。
テーブル上がこんがり焼かれた帆立貝とソース・シャンパーニュの香りで満たされる。
シャンパーニュの次は、白ワイン。
アルザスのドメーヌ・ツィント・フンブレヒト、ゲヴュルツトラミネール、ロッシュ・カルケール、2020年。
フンブレヒトは1620年から12代にわたりワイン造りを行う名門。
12代目のオリヴィエ・フンブレヒトは26歳の若さでフランスで初めてとなるマスター・オブ・ワインを取得している。
ぶどう栽培はビオディナミ。
ECOCERT、BIODYVIN、AB、そしてEuro Leafの認証を取得している。
ロッシュ・カルケールとは、石灰岩という意味。
柑橘の爽やかな香り。
濃厚な果実味、切れのある酸、活き活きとしたミネラル、そして程よい甘味。
フォアグラに合わせるのならわかるが、帆立に何故ゲヴュルツトラミネールを合わせるのかと不思議に思ったが、甘くないので帆立にもよく合う。
帆立の上にはキャビア。
キャビアの塩味と帆立の旨みが上手く調和する。
ソース・シャンパーニュがたっぷりあるので、追い足し。
残ったソースはパンで掬って綺麗にいただく。
二種類目の白ワイン。
パトリック・ジャヴィリエ、ムルソー、クロ・デュ・クロマン、2019年。
ジャヴィリエ家はムルソーで代々続くぶどう栽培農家。
パトリックの代になり、1974年から醸造を開始し、元詰めを始めたドメーヌ。
コルトン・シャルルマーニュを筆頭に、9haの畑を有し、近年評価を高めている。
ブルゴーニュでも気温上昇により酸が弱いワインが増えているが、パトリックはぶどうを早摘みすることにより、酸を残したワイン造りに努めている。
熟した洋梨や蜂蜜の香り、芳醇な果実味を持つ重厚なボディ。
酸があるので綺麗な辛口に仕上がっている。
シャルドネの平均樹齢は60年で、中には100年の樹齢のものもある。
熟成はピエス(オークの小樽)で17~18ヶ月。
ポワソンは、天然平目のムニエル、ソース・ヴェルト、ノワイリーの香り。
この平目はかなりの大物。
平目の下にはキノコのソテー。
ソース・ヴェルト、緑のソースはホウレンソウのソース。
濃厚な旨みの平目と強いボディのムルソーの素敵なハーモニー。
「ムルソーはあまり好きじゃなかったけど、これは美味しいわ」と彼女も高評価。
彼女と過ごす、代官山の素敵な夜は続きます。