八月納涼歌舞伎 新・水滸伝、中村隼人の宙乗りを堪能、歌舞伎座、東銀座 | ワインは素敵な恋の道しるべ

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白ワインは天使の如く貴方の心を解き放ち、赤ワインの真紅のグラスの底には悪魔が潜む。そして貴方は天使の如く大胆に、悪魔の如く繊細に、新たな恋の道を歩み始める。

8月のこと、ちぃさんと共に『82 東銀座店』でクイックディナーを済ませると、徒歩1分の歌舞伎座に向かう。

 

この建物に一足歩を進めると、いやが上にも舞台への期待感が盛り上がる。

 

今日の緞帳は、歌舞伎座の新開場十周年を記念して伊藤園が寄贈した、中島千波画伯の「富貴花競苑図」。

2023年7月から掲飾され、製作は龍村美術織物。

 

八月納涼歌舞伎は三部構成。

観る舞台は、三代猿之助四十八撰の内、新・水滸伝。

 

四代目猿之助不在の中で、澤瀉屋が総力を挙げて取り組む舞台だ。

 

主要な出演者15人には魅力的な名前が並ぶ。

そして見せ場は、”中村隼人宙乗り相勤め申し候”。

 

左上に張られたワイヤーが見えるだろうか。

ここを中村隼人が宙乗りで渡ってくるのだ。

間近で観るため、この左側の席を発売開始と同時に購入した。

実際に手が届きそうなほどの近くで観ることが出来、ちぃさんは大喜び。

でも近すぎて、中村隼人が乗る龍の口から吹き出されるドライアイスの白い雲を頭から浴びることとなった。

 

登場人物のご紹介。

(写真は「ステージナタリー」からお借りしました。)

 

主役は、萬屋 初代中村隼人。

父親は中村錦之助。

迫力満点の演技で、素晴らしい存在感を示していた。

宙乗りで間近に観ると、本当に鼻がキリリと高い。

 

成駒屋 初代中村壱太郎は好きな役者の一人。

父親は中村雁治郎。

役は凄腕の女殺し屋で、軽妙な演技が光っていた。

 

成駒屋 三代目中村福之助。

父親は中村芝翫、母親は三田寛子。

この二本の斧が結構重いのだそうだ。

 

澤瀉屋 五代目市川團子。

話題の團子の好演は心地よい。

しかし澤瀉屋を背負って立つにはまだまだ荷が重い。

 

澤瀉屋 二代目市川青虎。

三代目市川猿之助(現、猿翁)の弟子で、澤瀉屋を支える役者の一人。

梁山泊の敵役を好演。

 

原作では絶世の美青年の燕青を演じたのは、澤瀉屋の長老、二代目市川寿猿。

御歳93歳にして立派に舞台を勤められていた。

まさに澤瀉屋総出演といったところ。

 

成駒屋 四代目中村歌之助。

父親は中村芝翫、母親は三田寛子。

朝廷軍の指揮官役で、気品のある演技が役に合っていた。

 

”チビ玉”の愛称で親しまれているだけあり、機敏な動きのコソ泥の役を上手く演じていた。

 

澤瀉屋 三代目市川笑三郎。

梁山泊の女親分の存在感を好演。

 

澤瀉屋 二代目市川笑也。

剣捌きも鮮やかな女戦士役。

最後は恋に落ちる役どころの演じ分けがベテランの技量を感じさせる。

 

澤瀉屋 二代目市川猿弥。

梁山泊きっての猛者が青華に一目惚れ。

恋する男に変身する役どころ。

 

「スーパー歌舞伎Ⅱ」にも出演し、澤瀉屋との繋がりが強い。

朝廷の重臣で林冲の敵役。

 

瀧乃屋 八代目市川門之助。

父親は七代目市川門之助。

梁山泊の参謀役で林冲を牢から助け出す重要な働きをする。

 

澤瀉屋 九代目市川中車。

梁山泊の頭領だが、あまり目立った役回りではない。

中車(香川照之)が30歳ほども若い一般女性と再婚し、一子を儲けていたことが報道されたばかりだった。

澤瀉屋は話題に事欠かない。

 

高麗屋 十代目松本幸四郎。

ストーリーがほぼ完結した一番最後に登場。

友情出演といった感じ。

 

中村壱太郎が「新・水滸伝」を解説しているYouTubeがあるので貼り付けておく。

 

 

素晴らしい舞台だった。

歌舞伎座の前では興奮冷めやらぬ観客たちが記念撮影。

三部構成の時の第三部の終演は夜遅いので、急いで帰途に就く。

 

ちぃさんと過ごす、歌舞伎鑑賞の楽しい夜でした。