7月のこと、日本橋のリストランテ、『代官山ASO チェレステ日本橋』で開催された”夏の晩餐会”に彼女と共に出席した素敵な夜の続き。
今夜は、『リストランテASO』の高階総料理長と、『代官山ASO チェレステ日本橋』の菊池料理長の二人によるコラボディナー。
支配人の大友さんが、「今夜は私が高原様のテーブルを担当させていただきます」と次のワインを持って現れる。
ヴェネト州のピエロパンが造る、ソアヴェ・クラッシコ、カルヴァリーノ、2020年。
ピエロパンはソアヴェ最高の造り手。
そしてカルヴァリーノはイタリア最高の白ワインの一本と評されている。
ぶどう栽培はオーガニックで、バックラベルにはEUのオーガニック認証のユーロリーフが付いている。
カルヴァリーノはピエロパンが誇る単一畑で、急斜面にあるぶどう栽培者泣かせの畑。
名前の由来はキリストが十字架に架けられた地、”カルヴァリオ”。
イタリアでは苦しいことがあった時に”カルヴァリオ”とつぶやくのだそうだ。
ぶどうの樹齢は30~60年と古木が多い。
輝く黄金色。
レモン、ハーブ、洋梨、蜂蜜の香り。
素晴らしい果実の凝縮感、活き活きとしたミネラルと引き締まった酸。
どんなに苦しいことがあっても、このワインを飲めば”カルヴァリオ”とつぶやくことは無くなりそうだ。
セパージュは、ガルガーネガ70%、トレッビアーノ・ディ・ソアヴェ30%。
アンティパスト・フレッドが届く。
ここから三品は、『代官山ASO チェレステ日本橋』の菊池シェフの担当。
シェフによると、冷たい料理、常温の料理、そして熱々の料理と、温度変化を楽しんで下さいとのこと。
まずは冷たい料理。
鹿児島県鹿屋市の三ツ星カンパチと佐渡島産南蛮エビ、マスクメロンと胡瓜のガスパチョ、自家製リコッタと山葵のアクセント。
冷たいガスパチョの中には、マスクメロンと胡瓜。
ガスパチョには、ハタハタのしょっつるが隠し味として加えられている。
中央の島は、カンパチと南蛮海老。
フォカッチャが届く。
スープを綺麗に拭って食べるのにフォカッチャは丁度良い。
アンティパスト・カルドは常温の料理。
八幡平サーモンのコンフィ、発酵トマトとスパイスの2種のソース、黒ゴマと黒胡椒のクロッカンテ。
八幡平サーモンは、岩手県八幡平市で養殖されているニジマス。
43℃の油で1時間かけて調理され、生の食感を味わうことが出来る。
黒い板状のものは、黒ゴマと黒胡椒のクロッカンテ。
赤は発酵トマトのソース。
緑はピスタチオとスパイスのソース。
この料理には、少し温度を上げたピエロパンのカルヴァリーノがグラスに注がれる。
素晴らしい料理に素晴らしいワイン、それを細心の温度管理で食べる幸せ。
続くワインは、また好きなものが出された。
トレンティーノ・アルト・アディジェ州のコルテレンツィオが造る、ラフォア、シャルドネ、2020年。
ラフォアはコルテレンツィオ最上級のキュヴェであり、紛れもなくアルト・アディジェで最高の白の一本。
少し緑がかった麦藁色。
パイナップル、メロンの芳醇な香り。
果実の熟成感、心地好い酸、仄かな樽のニュアンス。
まだまだ熟成のポテンシャルを感じる素晴らしいボディ。
プリモ・ピアットは熱々の料理。
自家製パンチェッタと味来のカネロニ仕立て、にらのジェノベーゼソース、味来とローズマリーのジェラート。
カネロニはエミリア・ロマーニャ地方の巻いて作るパスタで、”大きな葦”という意味。
熱々のカネロニの上に冷たいジェラートが乗せられる。
カネロニの中には味来の粒がぎっしり。
味来はミラクルスイートコーンと呼ばれる品種で、平均糖度は12度以上。
熱いカネロニと冷たいジェラートを同時に味わう楽しさ。
今夜も菊池シェフの料理は創意工夫に富んでいる。
食べ終えた後もラフォアを注いでもらい、プリモ・ピアットの余韻を楽しむ。
彼女と過ごす、日本橋での”夏の晩餐会”の素敵な夜は続きます。