四月初旬のこと、東銀座でちぃさんと待ち合わせ。
この日は歌舞伎座で鳳凰祭四月大歌舞伎の夜の部を鑑賞。
正面右側には、鳳凰祭の垂れ幕。
今夜の演目が貼り出されているので、ここは撮影しておきたい。
今回飾られている緞帳は、歌舞伎座リニューアル10周年を記念して2023年3月にLIXILから寄贈されたばかりの「朝明けの潮」。
原画は、皇居の長和殿にある東山魁夷作の壁画、「朝明けの潮」。
定式幕が引かれ、いよいよ開演時間。
今回は客席に外国人の姿が多い。
これは今までは無かったこと。
その中にゼレンスキー大統領にそっくりな人が居て、ちぃさんと思わず目と目を合わせて驚きを共有する。
鳳凰祭四月大歌舞伎の夜の部の演目は、”与話情浮名横櫛”と、”連獅子”。
どちらも歌舞伎を代表する人気の演目。
演者は、与三郎が片岡仁左衛門、お富が坂東玉三郎という豪華な顔ぶれ。
山場は与三郎がお富に再会する源氏店の場。
七五調の名台詞、「しがねぇ恋の情けが仇 命の綱の切れたのを どう取り留めてか木更津から・・・」は全て暗記している。
この長台詞を仁左衛門が語るのが堪らなく好い。
”与話情浮名横櫛”が終わると、”連獅子”が始まるまでに35分間の休憩時間がある。
この間に夕食を食べても良いのだが、バタバタで食事をしたくないので、終演後にレストランを予約している。
そこで、館内を散策。
ここは今日の演目の衣装が飾られている部屋。
源氏店の場でお富が着ていた衣装。
こちらは、源氏店の場で与三郎が着ていた衣装。
次の演目、”連獅子”には獅子と牡丹が登場する。
歌舞伎座の中にも獅子と牡丹を描いた日本画が飾られている。
川端龍子の「青獅子」(1950年)。
獅子身中の虫が騒ぐと獅子は身体が痛み命に係わるが、牡丹の花の夜露を身体に受けると虫を抑えることが出来るので、獅子には牡丹が欠かせないのだ。
尾上松緑と尾上左近親子の息の合った演技が素晴らしい。
白は親獅子、赤は子獅子。
赤と白の花は、牡丹。
このあと毛振りに入り、ダイナミックな演技が延々と続く。
親獅子が止める合図をするまで、子獅子もお囃子も止めることができないのだ。
客席からは渾身の演技に大きな拍手が沸き起こる。
(この画像は今回の上演ではありません。)
どちらの演目も素晴らしく、本当に充実した鳳凰祭四月大歌舞伎だった。
歌舞伎座から出てくる皆さんも、気分が高揚した様子が見て取れる。
でも、お腹はペコペコ。
急いで予約しているディナーのお店に向かうことにする。
ちぃさんと過ごす、銀座の楽しい夜は続きます。