2月のこと、六本木の「国立新美術館」にあるお気に入りのフレンチ、『ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
シャンパーニュはイヴ・ジャックのブラン・ド・ブラン、白ワインはドメーヌ・ド・ロアリーのヴィレ・クレッセを飲んだ後は、赤ワイン。
今夜の赤は、ボルドーのバックヴィンテージ。
シャトー・オー・モーラック、メドック、クリュ・ブルジョワ、2010年。
メドックの中、サン・イザン・ド・メドック地区のジロンド川に近い場所に本拠を構えるシャトー。
カシス、プルーン、ブラックベリーの香り。
強い果実の凝縮感、バラやスミレ、ビターチョコレートのニュアンス、強くシルキーなタンニン。
濃厚で洗練されたフルボディ。
メルロー主体で、カベルネ・ソーヴィニヨンがマリアージュされている。
肉料理が出される前に、ソースを掬えるようにバゲットを追加。
鹿児島県産黒薩摩地鶏胸肉とシャンピニオン・デュクセルのルーロー、モリーユ茸の香るソース・シュプレーム、季節の野菜と共に。
季節の野菜は、菜の花、芽キャベツ、小タマネギ、小ニンジン。
植田シェフの最近のお気に入り、黒薩摩地鶏を使ったルーローが艶やかで美しい。
モリーユ茸の風味を付けた牛乳のエスプーマが香しい。
モリーユ茸は香りが素晴らしく歯応えが良いので大好きな茸。
人工栽培できないので、高価な茸だ。
中には、みじん切りにしたシャンピニオン、タマネギ、エシャロットをバターで炒めて味付けしたシャンピニオン・デュクセル。
鶏料理ではあるが、濃厚な旨みを持つ黒薩摩地鶏であり、シャンピニオン・デュクセルのルーローになっているので、強い赤ワインにも合って美味い。
デセールは、『ポール・ボキューズ』の春の定番。
イチゴのヴァシュラン、カルディナル風。
ヴァシュランは、焼いたメレンゲでアイスクリームやホイップクリームを挟み、フルーツを加え、ソースをかけたデザート。
メレンゲの下には、大きなバニラアイスクリーム。
ストロベリーソースを絡めて食べるととても美味い。
今夜の料理もワインも素晴らしかった。
熱いコーヒーがいっぱいになったお腹を癒してくれる。
食後も彼女との楽しい話が終わらず、長居をしてしまった。
すかさず、二杯目のコーヒーがとどく。
お店のホスピタリティに感謝。
レセプションの横に、物品販売のコーナーが出来た。
スープの器がお気に入りだが、4,400円もする。
コーヒーカップとソーサーのセットは3,300円。
松尾支配人によると、仕入れ原価が大幅アップとなり値上げをせざるを得なくなったとのこと。
お世話になったお店のスタッフに礼を述べ、満腹満足で店をあとにする。
美術館自体は夕方に閉館しているので、展示スペースは明かりが落とされている。
まさにナイトミュージアム。
美術館のエントランスは閉じているので、非常口から外に出る。
今夜の東京タワーはダイヤモンドヴェールではなく、普通の冬の暖色系の照明。
黒川紀章の美術館としては最後の作品の「国立新美術館」は夜の帳の中に黒く佇む。
奥の明るい部分は、先程まで居たレストランがある場所。
正門のガードマンにお休みの挨拶をし、敷地を出る。
目の前には「六本木ヒルズ 森タワー」。
外苑東通りに至ると、「東京ミッドタウン六本木」は目の前。
今夜もミッドタウンガーデンが明るく輝いている。
コロナ以降、六本木でも夜が更けてくると人通りが急に少なくなる。
(2月のことです。)
地下に下り、プレッセ・プレミアムに立ち寄る。
ここには仕事帰りに食材やお弁当を買う多くの人で、レジには長い列。
私達も明日の朝食用にサラダ類を何品か購入。
ここに来ると何故か必ず撮影してしまう、安田侃氏の作品、”意心帰”。
彼女と過ごす六本木の夜は素敵に更けていきました。