ちぃさんと訪問した、国立西洋美術館で開催された「ピカソとその時代 - ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」での楽しい絵画鑑賞の続き。
第Ⅲ章は、”両大戦間のピカソ - 古典主義とその破壊”。
1920年代のピカソは、前半は古典主義への回帰、そして後半はシュルレアリスムによる古典主義の破壊と大きく変化した時代だった。
パブロ・ピカソ、「ギターを持つアルルカン」(1918年) 油彩、板
パブロ・ピカソ、「窓辺の静物、サン=ラファエル」(1919年) グアッシュ・鉛筆、紙
パブロ・ピカソ、「水差しを持ったイタリア女」(1919年) 鉛筆、紙
パブロ・ピカソ、「青い胴衣の女」(1920年) 鉛筆・グアッシュ・水彩、紙
パブロ・ピカソ、「座って足を拭く裸婦」(1921年) パステル、紙
1915年頃に始まるピカソの”新古典主義時代”の典型的な作品。
片足をあげて座るポーズはローマ時代の作品に見られる古典的なもの。
ルノワールも同様のポーズの裸婦を描いており、ピカソはその絵を購入している。
パブロ・ピカソ、「彫刻家と彼の彫像」(1933年) 水彩・グアッシュ・ペン・インク、紙
パブロ・ピカソ、「踊るシレノス」(1933年) グアッシュ・墨、紙
パブロ・ピカソ、「水浴する女たち」(1934年) インク・鉛筆、厚紙に貼った筋入りクラフト紙
パブロ・ピカソ、「ミノタウロマキア」(1935年) エッチング、紙
パブロ・ピカソ、「サーカスの馬」(1937年) グアッシュ、ペン・インク・パステル、紙
ゲルニカの数か月後に描かれた作品。
抵抗する馬と、鞭と手綱を持つ恐ろし気な男。
サーカスの裏にある暴力性、野蛮さを描いた作品で、同じ主題に基づく闘牛の絵も多く描かれている。
パブロ・ピカソ、「雄鶏」(1938年) 木炭・パステル、紙
第Ⅳ章は、”両大戦間のピカソ - 女性のイメージ”。
これはとても面白いテーマだ。
パブロ・ピカソ、「緑色のマニキュアをつけたドラ・マール」(1936年) 油彩、カンヴァス
この企画展のポスターになった絵。
ドラ・マールは、1936年から1943年までピカソの恋人だった写真家。
パブロ・ピカソ、「花の冠をつけたドラ・マール」(1937年) 色チョーク・鉛筆、紙
二つの絵のモデルはどちらもドラ・マール。
全く異なる表現方法なのだが、じっと見ていると確かに同じ人物だとわかってくる。
パブロ・ピカソ、「座る女」(1938年) インク・ウォッシュ、紙
パブロ・ピカソ、「横たわる裸婦」(1938年) グアッシュ・ペン・インク、紙
パブロ・ピカソ、「タンバリンを持つ女」(1939年) アクアティント・スクレイパー、紙
パブロ・ピカソ、「多色の帽子を被った女の頭部」(1939年) 油彩、カンヴァス
パブロ・ピカソ、「黄色のセーター」(1939年) 油彩、カンヴァス
第二次世界大戦開始直後に、疎開先の町、ロワイヤンで描かれた作品。
戦争に直面した不安や恐怖が描かれている。
モデルは、ピカソの恋人の写真家ドラ・マール。
パブロ・ピカソ、「女の肖像」(1940年) 油彩、カンヴァスに貼った紙
パブロ・ピカソ、「大きな横たわる裸婦」(1942年) 油彩、カンヴァス
1940年6月から1944年8月まで続いたナチス・ドイツによる占領下で描かれた作品。
”横たわる裸婦”でありながら、女性美や官能性全くなく、独房のような閉ざされた部屋の中で横たわる女性の身体はねじ曲がり、拳は固く握られている。
孤独、苦痛、絶望といった戦争の時代の感情を表す作品となっている。
第Ⅲ章、第Ⅳ章はこれで終了。
第Ⅴ章に続きます。